世界の研究所 内蒙古伊利实业集团股份有限公司 欧州研発中心

昨日は講演会とパーティがあって日帰りで東京に行ってきました。何十年ぶりに会えた人もいて有意義でした。 さて、今週は乳酸菌の話をしようとしています。世界の研究所は、世界のヨーグルトの会社の2位であるYili(内蒙古伊利实业集团股份有限公司)のヨーロッパの研究所を取り上げます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E5%88%A9%E9%9B%86%E5%9B%A3 ちなみに世界1位はNesleで、5位にフランスのダノン、8位に日本の明治乳業が入っています。 ネスレはいろいろな部門でランキング1位なので、別の題材で取り上げます。 下記ページはどこをクリッ…

You_are_not_listening (2) 1章

今日の金曜日の読書は”You are not listening (Kate Murphy著)”という2年前のベストセラーの2回目、第1章 The lost art of listening です。現在では、聞く技術が失われていること、そのため人々が孤独に悩んでいること、著者がインタビューを仕事とするジャーナリストとして感じていることなどを綴っています。文章はリズムがあり、発想が豊かで、一貫した論理と流れがある一種の名文です。ベストセラーになったのも納得できます。作文のお手本によさそうです。 日本に関係する記述もありました。一つは、孤独をいやすためのビジネス(例えば成長…

カゼインのレネットによる沈殿、リコッタチーズ

ついに今年もあと1か月になってしまいました。体に気を付けて、気を抜かずにいきたいですね。 チーズの作り方は、昨日のyoutubeにあったように、牛乳を乳清と固形物に分け、脂肪分をバターとして除いてから、乾燥させながら発酵させることでチーズができます。その時に乳酸菌による糖の分解だけではなく、タンパク質の分解やカビによる脂肪の分解などがあり独特の風味が出るということです。乳酸菌やカビは面白そうなので来週以降調べることにして、牛乳を固化するところをもう少し見てみましょう。余談ですが、乳清にもタンパク質は入っているので、発酵による酸性化→加熱(または加熱のみ)により固化させてさらにチーズを作る方法(…

チーズの製法

チーズができるとき何が起こるかの解説はyoutubeにいくつも上がっています。 https://www.youtube.com/watch?v=g2N1eZPOcCk https://www.youtube.com/watch?v=uQcKLdy59qg https://www.youtube.com/watch?v=jMAlToEYHJM まず、rennetという反芻動物の胃からとれる酵素でカゼインタンパク質(Caでくっついたミセル)の負に帯電した表面を切り取り凝集させます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%BC%E3%82%A4%…

アイルランドは2014~2021で所得倍増した

チーズの話は明日にして、今日はアイルランドの経済成長についてみていきましょう。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ireland/data.html によると、2014年から2021年の7年間にGDPは2.07倍になっています。一人当たりGDPが日本の二倍であることを考えると、この7年間の成長が大きかったと言えるでしょう。一方で物価上昇率は同期間で9.4%(1.094倍)なので、生活が急速に豊かになっている(所得倍増)と思われます。 https://data.oecd.org/japan.htm によると、数学と読解力のスコアは日本とアイルランドはほぼ同じです…

世界の研究所 アイルランドTeagasc(農業・食品庁)傘下のチーズの研究所

今週の世界の研究所は、チーズの研究所を探していたら IrelandのTeagasc (Agriculture and Food Development Authority)という組織が引っ掛かりました。農業と食品関係の役所と研究所を兼ねていて、大学院生も指導しているようです。 https://www.teagasc.ie/food/research-and-innovation/research-areas/food-chemistry–technology/dairy/cheese-research/ によると “-Investigation of structure…

You_are_not_listening (1) 序章

今週から、金曜日はKate Murphy著 “You are not listening” (2020?)を読んでいこうと思います。 著者はフリーランスの記者(New York Timesのcontributoer)のようですが、経歴はよくわかりません。この本は新聞か雑誌の英語サイトの書評で見て面白そうだと思って買いました。 下記にweb siteがありますが、この本のことしか書いてありません。著者は科学的な要素を含むコラムで有名とのこと。 https://www.journalistkatemurphy.com/ 上記サイトにあるように、多くの言語(21か国語)に訳さ…

東洋医学の「経絡」の理解の現状

東洋医学には経絡(けいらく、英語はMeridian)やツボ(acupoints)という概念があり、そこの皮膚や組織を刺激すると対応する臓器に影響が及ぶとされています。個人的経験では、少なくとも神経性の下痢(魚腹、手の親指につながる手のひら)や長時間英語で講義した後の激しい胃痛(大衝、足の親指と人差し指の間の付け根)には効果があります。webを見ていると、鍼灸院のページのいくつかで「軸索反射 axon reflex」という言葉がありました。これは、皮膚からの刺激が脳や脊髄などの中枢を通らずに血管の拡張などの応答を起こすもので、体温調節、発汗、喘息などに深くかかわっていることが分かっています。 h…

麻薬様物質(オピオイド)が鍼刺激により体内で産生される

鍼による痛み止めの機構はendogenous opioid (体内産生麻薬様物質)が出るためというのは確立していますが、鍼刺激からそれが起こるメカニズムはまだ研究途上のようです。acupunctureとopioidで検索すると論文は300あまり出ています。鍼から電流を周波数(数Hzです)を変えて流すと、周波数によって何種類かあるopioid受容体を一種類ずつ選択的に活性化できるというのも確かなようです。鍼の手技でゆっくり回すというのがあると聞いたことがありますが、それと関係していそうです。 分子レベルの研究では、下記がopen accessなので購読していなくても読めます(2020年)。ネズミ…

鍼による鎮痛作用

昨日の研究所 National Center for Complementary and Integrative Health は鍼(はり)による痛み止めの臨床研究も組織しています。東洋医学で効果が確実とされているものの一つが「鍼(はり)麻酔」です。これは、鍼刺激によっていわゆる「脳内麻薬」(endogenuous opioid, 内因性オピオイドというみたいです)の分泌が起こることが実験的に確かめられていて、中毒性のある痛み止めの麻薬の代替を狙っている研究です。特に、線維筋痛症(fibromyalgia)、関節リューマチ、がんのような慢性の痛みに対する効果が期待されています。 https:/…