世界の研究所 Logistic Management Institute と 運輸総合研究所

この3月、スエズ運河でコンテナ船が座礁して騒ぎになりました。コンテナ船の巨大さに驚き、物流の現状について少し調べてみました。 今週の世界の研究所は、物流に関する研究もしている(?)アメリカのシンクタンク(think tank, consulting firm) LMI(Logistic Management Institute)と日本の財団法人 運輸総合研究所をとりあげます。 LMIはもともと、米国政府の物流(兵站へいたん)の管理のためにKennedy大統領とMcNamara国防長官により1961年に設立されました。 https://en.wikipedia.org/wiki/Logistic…

武士道 勇気(2):余裕と好敵手

今週の「武士道」は、先週にひきつづき、Courage, The Spirit of Daring and Bearing (第4章 勇気:敢為堅忍の精神)からです。戦闘時における余裕と、好敵手を大事にすることが勇気であると述べています。武士の実例では戦いの場面での連歌(上の句と下の句)のやりとりで、現代の感覚からすると「グロい」です。 ○太田道灌の暗殺時の連歌 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E9%81%93%E7%81%8C “「このような時、どんなに命が惜しいだろう(←暗殺者が槍でついて上の句)。前もって元から存…

ドリトル先生とナマケモノ

動物と話をする、というとドリトル先生の話を思い出しますね。 作者のHugh Lofting (1886-1947) はイギリスとアメリカを行き来した童話作家で、他の仕事をしているときに自分の子供むけに作った話が本になりました。機関車トーマス(The Railway Series by Rev. Wilbert Awdry オードリー牧師)もそうなので、よくあるパターンのようですね。 ネット上の自由出版プロジェクト Project Gutenbergで最初の話”The Story of Doctor Dolittle” その他が読めます。挿絵もついています。最初の話はボラ…

バウリンガル

若い人は知らないかもしれませんが、2002年9月に、タカラ(現・タカラトミー)からバウリンガル(Bow-Lingual)というおもちゃが発売されました。犬の首輪に装着したワイヤレスマイクの信号を本体が受けて、解釈します。「フラストレーション」「威嚇」「自己表現」「楽しい」「悲しい」「欲求」の6種類の感情が表示されたそうです。当時、これには驚きました。14800円が半年で30万個(44億円、そこでほぼ終わり)売れたヒット商品となり、イグノーベル賞「平和賞」を受賞しています。2009年に新型を出しましたが、この売り上げは不明です。そのあとiphoneアプリ版が出ています。 https://alla…

動物の鳴き声にも意味があるはずだ

動物の鳴き声にも意味があるはずだ、と考えた先駆者に米国のRichard Lynch Garner (1848-1920)がいます。 https://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Lynch_Garner 少年兵として南北戦争(1861-65)に従軍したという昔の人ですが、類人猿の言葉を録音機器を使って調べた最初の人です。Edisonが発明した蓄音機で動物園の猿の鳴き声を記録して,それを猿に聞かせて反応を見るなどの実験で意味を探りました。その結果を出版し、Edison, Bell(電話のベルの父親で、聾者のために発音記号を発明した教育者), Cleveland(22…

世界の研究所 Konad Lorentz Institutes

今週の世界の研究所は、AustriaのVienna(ウィーン) 近郊にあるKonrad Lorentz Institute for Evolution and Cognition Research (コンラート・ローレンツ進化と認知の研究所)とKonrad Lorentz Institute of Ethology(同・動物行動学研究所)を取り上げます。Konrad Lorenzは、動物生態学の創始によって1973年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。同時受賞者はミツバチが8の字ダンスをして蜜の方向を仲間に知らせる方法を解読したKarl von Frischと魚の本能行動を解明したNico …

武士道 勇気を養う

今週の「武士道」は、Courage, The Spirit of Daring and Bearing (第4章 勇気:敢為堅忍の精神)からです。 Courage was scarcely deemed worthy to be counted among virtues, unless it was exercised in the cause of Righteousness. In his Analects, Confucius defines Courage by explaining, as is often his wont, what is its negative is. &l…

運が悪い時どうするか & 貴族の呼称

「偶然」と関係ある概念として「運」があります。昔からいろいろなことが言われていますが、 「「ツイてない」「スランプ slump」と思ったらジタバタしないで基本に帰る」という教えは一致しているように思います。 上手くいかない精神状態の時に大きな決断をすると失敗する確率が高いのは道理なので、納得できます。 しかし、私の拙(つたな)い経験では、苦境でリスクを伴う大きな決断をしなければならないことは実は多いので、日ごろの修行が大切になります。昔の武士は、「心胆を練る」ために、子供(小学生くらい)の時から道場に通っていて、子供たちだけで夜中に神社に行ったり死刑場にいったりする肝試しをしたそうです(「海舟…

偶然を扱う数学的方法 確率微分方程式

偶然をきちんと扱うには、確率微分方程式(stochastic differential equations)を使う必要があります。これは、ブラウン運動の理論から発展したもので、確率的に値が変わる項が含まれます。保険、金融商品(デリバティブなど)の価格算定に応用可能です。電気的ノイズを扱うのにも使えます。統計力学の先の方に出てきます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E9%81%8E%E7%A8%8B stochastic スト「キャ」スティック 確率論的な 「偶然」の訳はいろ…

都市伝説 百匹目の猿現象

ユング心理学のsynchronicityを敷衍(ふえん)すると、「百匹目の猿現象」のような都市伝説ができてしまうので要注意です。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%8C%B9%E7%9B%AE%E3%81%AE%E7%8C%BF%E7%8F%BE%E8%B1%A1 これは、日本の小さい島の猿が芋を洗うことを覚えて、その数が増えていくと、他の島でも洗うようになったという話ですが、出典とされる論文には記載がなく、証拠のない「都市伝説」であるとされています。その題名の本も出ていますが、専門家から繰り返し否定されています。 一時期流行った「ミーム m…