Hoffmann  奇跡について

今週のHoffmanは先週のLake Marahの奇跡(苦い水が謎の植物を入れたら甘くなった)に関連して、著者たちが奇跡をどう考えているかの手がかりを探ってみましょう。 個人的には、超伝導や磁性は奇跡的な現象だと思います。また、しばらく前のsuper volunteer の話は一種の奇跡だと思います。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BE%E7%95%A0%E6%98%A5%E5%A4%AB 1.The authority convinced by the miracle that repeats itself so many times - the …

iPS細胞による人工血小板

献血の話の続きです。赤血球や血小板は核を持たないので人工物で代替できそうに思います。私が子供のころから人工血液の研究は行われてきましたが、最近はiPS細胞から血球を大量生産することを目指したベンチャーが立ち上がっています。 http://www.megakaryon.com/technology/ iPS細胞は、がん化しそうなものを取り除く必要がありますが、分化して核を持たなくなったものはその心配がないと素人目にも思えます。放射線を当ててから使う予定だそうです。献血が過去のものになる日も来そうですが、いつごろでしょうか。 細胞 cell 核 nucleus 「ニュー」クれウス 複数はnucle…

成分献血と連続流遠心分離

最近は献血をしようとすると成分献血を勧められることが多いです。血小板以外を体に戻すのでドナーへの負担が小さく、献血不可能な時間が短くなります(全血400mLで12週間(男性)のところ血小板成分献血だと2週間)。当然遠心分離を使っているはずなので、どういう仕組みなのか調べてみました。 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0000 で、公開番号・公表番号のところに 2004-290354 と入れて出てくるもの(テルモ)が分かりやすいです(出願だけして、特許にはしていないようです。不思議です)。 毎分数千回転の遠心分離機に、連続的に血液を供給して取り出さないといけな…

世界の研究所 NPO形態のPlanetary Science Institute

今週の世界の研究所は、NPO(non-profit organization)形態の民間の研究所 Planetary Science Institute(惑星科学研究所、米国アリゾナ州ツーソン)を取り上げます。 https://psi.edu/about 1972年設立で、NASA等のプロジェクトに関与したり、博士号をとった人の腰掛に使われたりしています。カリフォルニアやボストンなど(さらに外国も)、家族の関係で遠隔で仕事をしている人も複数いて、勤務形態は時代を先取りしていると思います。最初は会社のサポートがありましたが、現在は独立しています。政府の補助金を入れるために会計面を整備して専門のス…

Hoffmann  Lake Marah の奇跡

今週のHoffmannは第4章に飛びます。Bitter Water Runs Sweet という題で、Lake Marah の奇跡に科学的な説明が可能かどうかを議論する43通のe-mail(mailing list)から構成されています。 https://en.wikipedia.org/wiki/Marah_(Bible) 1章もそうですが、演劇のような手法で書かれており、冗談やe-mail上の喧嘩もあって読ませます。 Lake Marahの話は、苦い水にモーゼ(Moses)が神様に教えられた植物を入れたら甘くなって飲めるようになった、という聖書の記述です。アルカリをクエン酸で中和した、鉄塩…

心が折れた犬の話

就職未定の博士課程学生のころ、落ち込みが激しかった時期がありました。そのとき流行っていた本(いまもいろいろ派生品が出ていますが)に、使う言葉の種類を解析すると人の心理状態が分かり、言葉に気を付けると心理状態を変えられるというのがあり、やってみたらある程度改善しました(また、時間がいちばんの薬でした)。 そのやり方は、言葉を数珠繋ぎ(じゅずつなぎ)に連想して100個並べてみてpositiveかnegativeかの点数をつけて統計解析するというものです。演説や書物から単語を拾って解析すると、昔の人の気質や心理状態を調べることもできるということでした。その時の単語の分け方はpositiveとnega…

E=mc2 の証明

今日はEinsteinの有名なE=mc2の解説を紹介します。 驚くほど簡単で、何度聞いてもだまされたような気になると思います。この乱暴な議論が真理だったというのが天才たるゆえんでしょう。 https://www.britannica.com/science/E-mc2-equation 光のドップラー効果で特殊相対論を使っています。 下記は単純ですが光のドップラー効果を実感できます。 https://www.shokabo.co.jp/sp_Xray/labo/redshift/light/light.htm 昔、Britannica百科事典のCD(少しイラスト付き、ほとんど文字)を さんざん…

深層学習の講演を聴く

昨日紹介したプリンストン高等研究所の講演ビデオ https://www.ias.edu/ideas/2017/machine-learning-lecun は、現在の機械学習の性能を引き出した「深層学習deep learning」を発明した 3人組(+ Yoshua Bengio, Geoffrey Hinton)の一人であるYann LeCunが演者です。 LeCunはFacebook社の副社長・AI研究部長とNew York大学教授を兼ねています。 http://yann.lecun.com/  地味ですが面白い個人のページです。 動画からいくつか面白いところを紹介します。youtubeで…

世界の研究所 Institute for Advanced Study (プリンストン高等研究所)

今週の世界の研究所は、Institute for Advanced Study (プリンストン高等研究所)を取り上げます。英語名にはPrincetonはついていないようです。 https://www.ias.edu/ https://en.wikipedia.org/wiki/Institute_for_Advanced_Study 研究所のMottoは”Truth and Beauty”とのこと。 Einstein, Goedel, von Neumann, Oppenheimerなどが有名です。また、数学者 Edward Witten (フィールズ賞)、経済学者Eric Muskin (ノ…

Hoffmann  枯山水

今週のHoffmannは京都の枯山水(かれさんすい、かれせんずい)を例にとっている一説です。この章では、学生、その親戚、Hoffman先生の往復書簡の形で自然と人工の違いについて議論してきました。音楽、絵画における「自然」の取り扱いの変遷を議論し、自然と人工の間に橋をかけようとする化学や生命科学の話になって、中世のユダヤ詩との関連で枯山水がちょっと出てきます。枯山水は室町時代に日本の禅寺で発明されたと考えていいと思います。枯山水は日本のethos(下記)を示す代表的な例だと思いますが、応仁の乱で水を流す工事をする経済的余裕がなくなったから、といううがった説があるようです。不利な環境で「もがく」…