百人一首(10) 雪と霜の詩 4 6 15 28 29 31 91 96 + 84 88

ついに雪の季節がやってきました。今週の百人一首は、雪や寒そうな情景を表したものを探します。検索にはまとまったサイトが便利です。下記を参照しています。 https://trc-adeac.trc.co.jp/Html/Home/1171055100/topg/hyakunin.html 寒い情景の歌は前半と最後に配置されています。藤原定家による緻密な構成であると言われていますので、いろいろ考えると面白いです。 英訳はPeter McMillan文春文庫。 4(既出) 田子の浦にうちいでて見れば白たへの富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人 6 かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞふけにける …

世界の研究所 カッパドキア遺跡の研究所がギリシャとトルコにある理由

今週の世界の研究所は、トルコの世界遺産カッパドキアに関する研究所を紹介します。ギリシャとトルコに2つあるようです。 https://www.cappadocianstudies.com/about-us/ https://kapadokya.edu.tr/en/research-and-development/cappadocian-studies-research-center 2つある理由はおそらく1923年~の二国間住民交換がかかわっています。複雑な歴史を持つ隣同士の国で、単一民族化を図るために計200万人の両国住民を強制的に移住させたとのこと(一部は第一次大戦とその後のギリシャ・トルコ…

百人一首(9) 山の字が入っている歌 2 3 4 5 7 8 16 22 24 25 26 28 32 42 58 60 66 69 73 74 83 94

今週の百人一首は、山という字が入っているものを紹介します。たくさんあるので、英語は勉強になりそうなのだけ載せます。 (英訳はPeter Mcmillan, 文春文庫) 2 春すぎて夏来にけらし白たへのころもほすてふあまの香具山 持統天皇 3 あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麻呂 4 田子の浦にうちいでて見れば白たへの富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人 Coming out on the Bay of Tago, / there before me. Mount Fuji - / snow still falling on her peak, / a splen…

MITの公開講座は高い

MIT-CSAILのページを見ていたら、公開講座をいろいろやっていますね。 https://professional.mit.edu/course-catalog/designing-efficient-deep-learning-systems?utm_source=mit-csail&utm_medium=web&utm_campaign=sp-dls-2023 などは、深層学習のシステムのデザインの講習ですが、2日で$2500、日本で同等の講義をやるよりもだいぶ高いと思います。それを考えると大学の授業料は割安・・・ではないですね。。 下記は講演会ですが、面白そうです。一日…

百人一首(8) 時には月を見上げて昔を思いましょう 7 21 23 31 36 57 59 68 79 81 86

ときどき空を見上げていますか?上空に氷粒ができてきたためか、月が橙色っぽく見えるようになりましたね。今週金曜日の百人一首は、月に関するものを探してみたら、たくさんあり、傑作が多いです。日本人は月が好きなのかもしれません。他の言語の詩で月はどう扱われているか、調べてみたいです。(英訳はPeter Mcmillan, 文春文庫) 7 あまの原ふりさけ見ればかすがなるみ笠の山にいでし月かも 安倍仲麻呂 I gaze up at the sky and wonder / is that the same moon / that shone over Mount Mikasa / at Kasuga /…

百人一首(7) ヨモギがなぜたくさん詠まれているか? 9,54,59,74,75

今週金曜日の百人一首は、薬を扱ったものを探しましたが、薬の効かない恋わずらいや老いに関する歌しかありませんでした。恋わずらいだけでなく、目についたものを写してみました。英語と比較すると、日本語は感情の機微を詩にしやすいように思いますが、英語の詩をちゃんと読まないと判断できませんね。 ※「さしもぐさ」=ヨモギ が古い和歌にはたくさん出てきます(例:百人一首 51,75など)。地味な植物なのに不思議ですね。ヨモギはお灸につかう「もぐさ」の原料なので、医薬品としてなじみがあったためでは?というのはいま私が思いついた説です。 お灸は6世紀に伝来し、平安時代には使われていて、百人一首の編纂者の藤原定家も…

百人一首(6) 悪天候の歌 48, 57, 58

今週金曜日の百人一首は、雷を扱ったものは無いので、悪天候(に近いもの)を探しました。 48 風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな    源重之 Blown by the fierce winds / I am the waves that crash upon your impervious rock. Through my heart shatters, / my love rages yet. 57 めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに 雲がくれにし夜半の月かな  紫式部 Just like the moon,/ you had come and gone / bef…

百人一首(5) 記憶に関する歌 34, 35,100

今週金曜日の百人一首は、昨日、海馬(hippocampus)の話をしたので「記憶」に関わるものをピックアップします。英訳はPeter McMillan先生(文春文庫) https://www.peter-a-macmillan.com/ (34) 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに (藤原興風) Of those I loved, none are left. / Only the aged pine / of Takasago has my years, but, alas, / he is not an old friend of mine. (35) ひとはいさ 心も…

百人一首(4) 秋の歌 47, 69

昨日は最低気温4℃で、寒くなりました。今週金曜日の百人一首は、 47恵慶法師(えぎょうほうし)と 69.能因法師(のういんほうし)です。 (英訳は Peter McMillan、文春文庫Kindle版) (47) 八重葎(やえむぐら)茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり How lonely this villa / has become, overgrown with goose grass weeds. No one visits me - / only automn comes. (69) あらし吹く三室の山のもみぢ葉は 龍田の川の錦なりけり Blown by storm wi…

百人一首(3) 西行法師 - 日本語の魔術師

今週金曜日の百人一首は、86.西行法師です。下記サイトに日本語と英語が出ています。 https://www.samac.jp/search/poems_detail.php?id=86 嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな です。西行は後鳥羽上皇に「不可説の上手なり」と評された言葉の魔術師です。私は気が滅入ったときに彼の歌集「山家集」を開くのですが、日本語による描写の傑作が多く詰まっていて、気持ちが晴れます。私がしばしば貶す(けなす)「yahoo 知恵袋」にもちゃんとした解説があります。 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/qu…