テレビ装置の歴史 走査線の発明

テレビ装置の歴史は下記がよくまとまっています。 https://www.thoughtco.com/television-history-1992530 二次元の画像を時間で動く走査線上の点の強度を使って一次元化するというアイデア(1883年)は画期的で、無線の開発(Malconiによる接地の重要性の確立 1895年)、電気的表示装置(ブラウン管 1895年)の発明を伴ってテレビ開発の端緒となりました。走査線は現ポーランド、当時ドイツの生まれのPaul Nipkow(1860-1940)によるものです。しかもそれを円盤に描いたらせんに沿って開けた穴でメカで実現したのは素晴らしく、私は何度見ても…

世界の研究所 ドイツ Ferdinand Braun Institute とブラウン管

今週の世界の研究所は、ドイツのベルリンにある Ferdinand Braun Instituteです。これは、ブラウン管(昔のテレビにつかっていた陰極線管)を発明したBraunの名前がついています。ブラウンは無線通信を実用化したマルコーニとともに1909年のノーベル物理学賞を受賞しています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3 今週はテレ…

墨子(3) 良くまとまっているyoutubeの紹介

今週の墨子は、手抜きで申し訳ありませんが、うまくまとまっているyoutubeを紹介しましょう。私が調べて考えた解釈と一致していて、ちょっとふざけた語り口ですが、わかりやすいです。速度を上げて再生したほうが聞きやすいと思います。おそらく昔で言う「市井の学者」だと思いますが、専門家でなくても発信ができる良い時代になったと言えるでしょう。 https://www.youtube.com/watch?v=wXBs6esT4YA 英語はdefense の関連語から fortress 「フォー」トレス 要塞 trench トレンチ 深い溝、塹壕 warfare ウォーフェア 戦 trench warfar…

一人当たりGDPと社会実験

昨日は経常収支(外国からの収入)が年間20兆、その大部分が投資収益で、これを維持するには国際秩序の維持が必要、という話でした。が、年間20兆円は1億人の国民一人当たりにすると年間20万円で、生活を維持できる額ではありません。人口が少なければ、例えばルクセンブルクのように、それだけで食べていけるのだと思います。重要なのは一人当たりGDPで、日本は年間400万円です。この額が減って国別順位が落ちていることを嘆く人がいますが、高齢化で働き手やその労働強度が減っているので自然なことのように思います。GDPは給料の総和と言ってもよく、国内分の仕事も含みます。国内分だけでGDPを勝手に増やすことができるか…

ピケティの “r > g”と日本の国際収支

昨日解説したように、お金の総量は増える動機はあっても減る仕組みはないので、増え続けています。ちょっと前に流行ったThomas Piketty「21世紀の資本」には、古い記録からさかのぼって調べて導いた”r>g”という経験式が載っています。rは資本収益率、gは経済成長率で、資本を持っていると経済成長率以上に増える、ということです。 https://www.bank-daiwa.co.jp/column/articles/2018/2018_115.html 「富めるものはますます富む」が事実であることを言っていますね。私の素人考えでは、この背後のメカニズムはお金の総…

マネーの総量の膨張

今週はIMF(国際通貨基金)から始めたので、お金の話をしましょう。私なりの理解なので、間違っているかもしれません。技術の話と違って誤っても大きな危険はなく、皆さんが自分の経験から間違いを見つけるのも楽しみだと思うので、恐れず進めます。 現在のお金は紙幣や硬貨以外の、帳簿にしかない、いわゆる「マネー」が圧倒的に多いです。 https://data.imf.org/?sk=B83F71E8-61E3-4CF1-8CF3-6D7FE04D0930 に国別、年次別 monetary stock の詳細があります。 お金(金融)の大きな役割として、「信用創造」があります。 「発明をしたので工場を作りたい…

世界の研究所 International Monetary Fund (IMF,国際通貨基金)

今週の世界の研究所は、International Monetary Fund(IMF,国際通貨基金)です。ここは米国ワシントンDCにある国際的な行政機関ですが、研究者を約160人(名簿と経歴・業績がwebにあります。日本人も数人います)かかえており、各種レポートを無料で出版しています。日本語のページもありますが、一部最新情報は訳されていません。 https://www.imf.org/ja/Home https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%9F%BA%E9%87%91 によると、各国中央銀行のと…

墨子(2) 雲梯の発明者との駆け引き

今週の墨子は、巻13公輸 を紹介します。原文は下記です。 https://ctext.org/mozi/gong-shu/zh あらすじは https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E8%BC%B8%E7%9B%A4#%E3%80%8E%E5%A2%A8%E5%AD%90%E3%80%8F%E5%85%AC%E8%BC%B8%E7%AF%87 落ちもあって、面白いと思います。 公輸盤(別名 魯班 BC507-444) は伝説化・神格化した技術者で、鉋(かんな)・錐(きり)・鋸(のこぎり)の発明、3日間飛び続けた飛行機(凧とも)(下記銅像)を作った伝説があり…

量子もつれを発生する方法

量子もつれを起こした2つの光子が昨日の量子暗号鍵配付には必要です。どうやってつくるかというと、非線形光学結晶(KTP, KTiOPO4等)にレーザーを当てます。そのときにspontaneous parametric down conversion (SPDC)という効果で絡み合った2つの光子が発生します。これは数式で書くと出てくるのが分かるのですが、イメージしにくいですね。 https://arxiv.org/pdf/2007.15364.pdf  (英語のpdfです) https://www.youtube.com/watch?v=5Iv6dJD4q4A 下記は、違う目的(光検出器の感度校正…

量子暗号 量子もつれを使う方式

昨日は「単一光子」と「偏光」により傍受の恐れのない信号伝達を可能とするBB84という方式を説明しました。傍受すると偏光が変わってしまうためにバレるはいいのですが、信号が減衰すると「単一光子」が検出できなくなってしまってこの方式は使えません。そこで衛星を介するような長距離で使われるのが「量子もつれ」の状態にある光子です。量子もつれは集団に対しても適用できるので(例:二次元NMR)、信号を強くしても使えるのだと思います。 典型的なE91方式について、一般向け解説は下記。 https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2009/29/news050_4.html…