知的創造企業(11) 知識創造のための処方箋7つ(その2)

金曜日の「知識創造企業」は第8章(最終章)の2回目です。下記の3と7を英語で見ていきましょう。 処方箋 guidelines 1.知識ビジョンを作れ Create a knowledge vision. 2.ナレッジクルーを編成せよ Develop a knowledge crew. 3.企業最前線に濃密な相互作用の場を作れ Build a high-density field of interaction at the front line. 4.新製品開発のプロセスに相乗りせよ Pigyback on the new-product development process. 5.ミドル・ア…

知的創造企業(10) 知識創造のための処方箋7つ

金曜日の「知識創造企業」は第8章(最終章)です。知識創造のための処方箋を7つあげています。1週間で見るのはもったいないので、2~3回に分けようと思います。 大学教師にも参考になる話がいくつもあります。 ※日本語は東洋経済新報社の和訳から。 処方箋 guidelines 1.知識ビジョンを作れ Create a knowledge vision. 2.ナレッジクルーを編成せよ Develop a knowlede crew. 3.企業最前線に濃密な相互作用の場を作れ Build a high-density field of interaction at the front line. 4.新製…

知的創造企業(9) 日本型の知識創造企業の世界展開(その2)

金曜日の「知識創造企業」は第7章後半です。日本人と欧米人の仕事のやり方が面白かったです。使うロジックが違う、という話が印象的です。 キャタピラ社と三菱重工業の合弁企業が一度壊れそうになって、見直しの結果、新キャタピラ三菱ができました。しかしこの本が書かれた後の2012年に三菱が撤退することで合弁解消し、日本キャタピラー合同会社になりました。 関係ないですが、「合同会社」は米国の企業の日本法人が名乗ることが多いです(例アマゾン)。経営と出資が分離していない形態で、株式は発行せず、株主総会も不要とのことです。外資の子会社には適していますね。税金や手数料が安いというメリットもあるそうです。 http…

知的創造企業(8) 日本型の知識創造企業の世界展開(その1)

金曜日の「知識創造企業」は第7章前半です。第6章までの日本スタイルであるグループリーダーの集団が研究開発を引っ張る middle-up-down management と ハイパーテキスト型組織が世界で通用するかという点において、世界展開している自動車の開発(前半=1986年の日産プリメーラ)や合弁企業(新キャタピラ三菱の油圧ショベルREGA)の例についてケーススタディが行われています。 日産の話で印象的なのは、テストドライバーが車の運転のしやすさや特徴を言語化し、設計にフィードバックする役職として機能していることです。また、3年間で1500人をヨーロッパに送り込んで実際に運転させ、現地の交通…

世界の研究所 Ganz Engineering (ハンガリー)

いま特殊なスイッチング電源を作っています。どうすればよいかほぼわかりましたので、あとは完成させる時間をはやく捻出しないといけません。ちょっとした電力(~1kW)を高速に制御するので、部品が燃えたり破裂したり、試行錯誤があります。 スイッチング電源は機械式のものが自動車のイグニッション用に1910年に発明されています。 https://en.wikipedia.org/wiki/Delco_ignition_system 現在のACアダプターや携帯の充電器等に使われている形に近いものは1958年にIBMが発明したそうですが、その時は真空管で作ったそうです。 https://www.xppower…

知的創造企業(7) ハイパーテキスト型組織

金曜日の「知識創造企業」は第6章です。グループリーダーの集団が研究開発を引っ張る middle-up-down management を実現する組織形態について説明しています。 組織形態としては、上下の階層でできている官僚型と小さいチームで一つの目標を短期間で達成するタスクフォース型が良く知られていますが、本章は一人が多重の所属を持つ「ハイパーテキスト型組織」を提案しています。 ハイパーテキストは、コンピュータ用語で、文章にタグとして多重の情報が埋め込まれているものです。ここでは通常は官僚型の指揮系統にあるが、必要な時は引き抜かれて小さいチームを作るという意味のようです。おそらく奇をてらってい…

知的創造企業(6) 現場も見るグループリーダー集団が知的創造の立役者

金曜日の「知識創造企業」、第4章はパナソニックを例にとった知の創造のスパイラルの実例です。パン焼き器→高級炊飯器→高級平面テレビなど1990年代によく売れた製品のコンセプトとその開発過程を説明しています。が、現時点からみるとその後海外の追撃を受けた複雑な経緯があるので本文に沿った解説が難しいです。  今週は第5章を解説します。5章は、知の創造を活発化させるための組織形態を論じていて、トップダウン、ボトムアップよりも良い方法として middle-up-down management を提案しています。トップダウンの例としてGEのジャック・ウェルチ(Jack Welch), ボトムアップの例として…

知識創造企業(5) 暗黙知を形式知に変えるシステムづくり

金曜日の「知識創造企業」5回目は3章後半です。前半に説明された4段階のスパイラル (1)暗黙知の共同化 (2) 暗黙知から形式知への表出 (3) 形式知の連結 (4) 形式知の内面化により個々人の暗黙知へ をどのように組織として実現するか、という問題への解答です。 組織として知識創造を意図すること、自治、多彩なバックグラウンドの人を集めたチーム、揺らぎと創造的混沌、重複、必須多様性、 だそうです。最後の必須多様性(requisite variety)は、本書には書いていないですが、アシュビーの法則「複雑な環境に対応するには同じくらい複雑なシステムが必要である」というのがあります。 数学的証明は…

知識創造企業(4) 暗黙知を形式知に変えるにはたとえ話が役に立つ

金曜日の「知識創造企業」4回目は3章前半です。暗黙知から形式知して新しい価値(製品、しくみなど)を創造するにはどうしたらよいか、を説明しています。 (1)暗黙知の共同化 (2) 暗黙知から形式知への表出 (3) 形式知の連結 (4) 形式知の内面化により個々人の暗黙知へ という4段階をスパイラル状に経由して知識が進化していくというモデルです。色々実例が上がっていて、(1)では、開発合宿が重要で、コピー機のドラムカートリッジの開発合宿でビール缶を見てひらめいたとか、(2)ではパナソニックのパン焼き機では開発者が有名ホテルのパン屋に弟子入りして苦労の末、パンをこねるときの「ひねり」の重要性に気づい…

知識創造企業(3) ゴミ箱モデルほか、従来の経営学理論は役立たない

金曜日の「知識創造企業」3回目は2章の後ろ半分です。古代からの哲学における「知識」の扱いを踏まえて、20世紀からの経営学研究における「知識」について解説しています。 いま、締切に追われているので、節の見出しだけ拾っていきましょう。Marshall, Hayek, Schupenterの比較、Penrose, Nelsom, Winterらが論じる「知識の蓄積場所」としての企業、 経営・組織理論における「知識」、科学的経営と人事の理論、およびその統一の試み、Simonの経営を情報処理パラダイムとしてとらえる理論、ゴミ箱モデル、 ビジネス戦略の科学、企業文化研究、Drucker(ドラッカーは有名で…