No B.S. Price Strategy(7): 12章 価格と集客方法の関係 13章 5つの計画=独自の売り方・価値・保証・経験+抵抗できない提案

金曜日の読書”No B.S. Price Strategy:…”は第12章と第13章です。 第12章はこの章だけを担当するゲスト著者によるものです。価格は集客方法と密接に関連していることを例を挙げて説明しています。子供の時野菜の直売所で働いているとき、品質重視で高く買ってくれるお客のグループを見つけて、その人たちが集まっているところに朝から売り込みに行くことでお客には手間を省かせることができ、野菜も確実にさばけるので一隻日朝だったという経験や、車のディーラーで顧客の年収や家族構成を絞り込み、その人たちの住所の名簿(!)を名簿屋から入手することで売り上げが3…

ゴリラガラス

シリコン+アルカリ(+ホウ素)の酸化物ガラスの破壊は日常体験するところですが、原子レベルの過程についてはあまり報告例がなく、研究は現在進行中のようです。下記2022年の論文のほか2025年のフランスの博士論文がある程度です。 https://arxiv.org/abs/2205.02461 試料づくりが難しい、絶縁物なのでチャージアップ(帯電)して電子顕微鏡が使いにくい、アモルファスなので原子配列の観察が難しいなど、実験には困難がいろいろ考えられます。X線顕微鏡の分解能がもうすこし上がれば研究対象になると思います。X線でも収束ビームをあてるとチャージアップは起こると思いますが電子線よりは影響は…

ナノ・インデンター

試料が大きくても小さくても、応力が小さいときは応力とひずみは比例関係にあり、これは弾性領域(elastic region)です。それを超えると応力がそれほど増えていないのにずるずる変位する領域があり、塑性領域(plastic region)です。その先に降伏(yield)、破壊(breaking)が起ります。下記の動画ではグラフが2段階に波打っている現象を説明しています。実際に使うときは弾性領域ですが、絞り加工などは塑性領域なので、その後の機械特性が悪くならないようにいろいろ研究しなければならないのでしょう。 https://www.youtube.com/watch?v=zAbxJ33qT-…

透過電子顕微鏡中での破壊観察

材料が力学的に破壊されるときに原子レベルで何が起こっているか、については透過電子顕微鏡(TEM)の試料をピエゾ素子を使って動かして破壊を起こしながら観察するという手法が1990年代から行われています。動画がなかなかないのですが、下記の論文に水素脆化した鉄の破壊の様子がMovie 1,2として載っています。今年発表されたマックスプランク鉄研究所と九州大学の共同研究です。おそらくタダで読めると思います。 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1748013225001100 TEMの試料は厚さ100Å程度に薄く加工しなければならないの…

世界の研究所:Max Plank Institute of Sustainable Materials, renamed from “Iron Research”

いま二次元物質の劈開のシミュレーションをやっています。物質の破断の原子レベルの過程の一種なので、関連してどのような研究が行われているか調べてみました。 ChatGPTに聞くと、一番有名な研究機関は デュッセルドルフのMax Plank Institute of Iron Researchとのことでしたが、この研究所は2024年の8月27日からMax Plank Institute for Sustainable Materials と改名されました(日本なら新年度に変えると思いますが、奇妙な日付ですね)。計算、界面化学、合金設計、微細構造力学の4部門があります。 https://www.mpi…

No B.S. Price Strategy(6): 10章 商品と価格の関係の既成概念を断つには 11章 価格以外で選ばせるにはどうするか

金曜日の読書”No B.S. Price Strategy:…”は第10章と第11章です。 第10章は商品と価格の通常のつながりを断つ方法について解説されています。考えるべきことは、1 誰が買おうとしているのか 2 誰が売ろうとしているのか 3どのような状況で売買が行われているのか(the context in which the product is being sold)で、この3つは望めば制御可能であるとのこと。1については、スターバックスが典型的な例で、「できるビジネスマン」はセブンイレブン(7-11)のコーヒーや自分で淹れた魔法瓶(thermos…

有限要素法、発散定理(ガウスの定理)、グリーンの定理、ストークスの定理、プラニメータ

有限要素法の具体的な計算方法を見てみましょう。物理法則は通常、短く記述できるため微分方程式で与えられています。流体に関するものはエネルギーの保存則と物質の保存則になります。まとめたのがナビエ・ストークス方程式ですが、ややこしくなるので、保存則から出てくる熱や物質の拡散を表す拡散方程式(熱伝導方程式)を例にとります。これはフィックの法則の3次元版で、 k△T=-∂q/∂t (熱伝導の場合)、∂c/∂t=DΔc のような形をしています。ただし、Tは温度、cは濃度、kやDは係数。また、ラプラシアン Δ=(勾配∇の二乗)で、1次元の場合は ∂2/∂x2 です。 導出は https://ja.wikip…

有限要素法と関数解析学

有限要素法は、機械工学(構造力学)の分野で発展した手法で、当初は「力が変形に比例する」性質をもつ弾性体で実際の部品の形状を作って力の分布を調べて破壊が起こらない形状を求めるような用途が重要な応用でした(1950年代)。実際の物質は力(応力)と変形(ひずみ)は比例関係にない(塑性をもつ)ため、任意の関係を扱えるように拡張すると、熱、電磁気や流体なども扱えるようになった、という理解をしていますが、順序については要確認です。 https://www.asahi-kasei-plastics.com/knowledge-cae/plastics-cae1/ https://ja.wikipedia.o…

シミュレーションソフト Elmer のチュートリアル

Elmerは、同種のオープンソースであるOpenFOAMに比べてチュートリアルが充実しています。下記は公式のyoutubeです。コロナの時(2021)に行われたwebinarのようです。開始時刻のアナウンスには22時JST(Tokio)開始と書いてあって、日本のユーザー/開発者もいたのだと思います。 開発の歴史なども語られています。 https://www.youtube.com/watch?v=XfHqaq2bbgU 著作権はライブラリはLGPL(修正の場合ソースコード公開), モジュールはGPL(派生作品はソースコード公開)で、どちらも無料で商用利用可能です。 最初はシリコン結晶の融液成長…

世界の研究所:CSC – IT Center for Science, Finland

先週説明した半導体のCMP(化学機械研磨)のシミュレーションでは、流体力学(スラリー)と粘弾性(研磨パッド)のシミュレーションが必要です。フリーソフトとしてOpenFOAMが有名ですが、Elmerというのもあるのを見つけました。 これは、フィンランドの公的機関であるCSC - IT Center for Science が国内の大学を結集して作っているようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/CSC_%E2%80%93_IT_Center_for_Science https://csc.fi/en/ 流体および材料力学の計算のほかに電磁気や熱も扱えるようです。これ…