Also Sprach Zarathustra(11)解説サイトを見つけました

金曜日のZarathustraは今日でおしまいにします。検索エンジンBing(ChatGPT使用)に色々聞いていたら、下記を見つけました。Zarathustraのあらすじと解説のサイトです。 https://www.sparknotes.com/philosophy/zarathustra/section10/ なるほど、という記述もあります。例えば、第4部の最後にでてくるライオンは、第1部の説教にでてくるラクダ→獅子→幼子という人間の精神的進化と対になっていて、「もうすぐ子供たちが来る!」と喜んでいるのは幼子が来るのが近いという意味である、というのはそうかもしれません(私は弟子のことを言って…

Also Sprach Zarathustra(10)第4部のあらすじ

今週は日曜日からずっと出張していました。今日もまた出かけます。金曜日の読書はもう少しZarathustraを続けましょう。最後の第4部は、第3部までとは違って多くの登場人物が自分のセリフを話します。演劇にしたら面白いと思いますが、Youtubeにはあがっていません。2つほど見つけましたが、中身ではなく、脚本家のインタビューや音楽などです。第4部を扱った劇ではなさそうです。やはりニーチェは人気がないのでしょうか。 http://www.nietzschecircle.com/Staging_Zarathustra.pdf https://www.releasemagazine.net/laiba…

Also Sprach Zarathustra(9)永劫回帰とタイムマシンSF

先週金曜日はお休みしましたが、Zarathustraを続けましょう。今週は以前予告したように趣向を変えて、永劫回帰をモチーフにしたSFを紹介します。タイムマシンを扱ったものは必ずループの問題が出てきます。確証はありませんが、ニーチェを意識しているのではないか、という描写に気づくことがあります。確認する時間がないので、下記はかなりうろ覚えです。 ・Isaac Asimov: The end of eternity 永遠の終わり 1955 タイムマシンの発明によって、タイムパトロールが発足し、悲惨な現象が起こらないように歴史の流れが制御されるが、一般の人はそれを知らない。結局、未来にわたって歴史が…

Also Sprach Zarathustra(8)噛め!噛むんだ!頭を噛み切るんだ!

金曜日のZarathustraの今週は、前回紹介した部分の直後で第3部で最も印象的な場面です。自分の運命から逃れられないことを意味する「永劫回帰」を納得できずに苦しむZarathustraは幻覚を見ます。 Where was now the dwarf? And the gateway? And the spider? And all the whispering? Had I dreamt? Had I awakened? ‘Twixt rugged rocks did I suddenly stand alone, dreary in the dreariest moonlight. BU…

Also Sprach Zarathustra(7)永劫回帰の時代背景

金曜日のZarathustra、今週は「永劫回帰」の時代背景を説明します。19世紀後半になって、熱力学第二法則(エントロピー増大則)の仕組みを解明しようとする研究が盛んになりました。S=k log Wで微視的状態数WとエントロピーSを結び付け(1877)、H定理(1872)とあわせてこの問題をほとんど解決に導いたのがボルツマン(L.E.Boltzmann)です。一方、天体運動のような少数の物体が関与する系では単純な微分方程式である運動方程式で運動の時間変化を追いかけられることがわかっていました。エネルギーは保存するため、微分方程式で書ける運動は止まることがなく、同じ状態を繰り返すのではないか?…

Also Sprach Zarathustra(6)永劫回帰の予感

金曜日のZarathustraは第二部の末尾、Zarathustraが夢にうなされます。理由は、「永劫回帰(えいごうかいき)」という「真理」にうすうす気が付いてしまったからです。なぜ「永劫回帰」という認識が必要で、なぜそれがそんなに恐ろしいのか、はニーチェでないわれわれにはわからないところです。後世の解釈もいろいろです。私は、これは個人から見た時間と運命に関する一つの考え方だと評価しますが、恐ろしさは感じません。 さて、「永劫回帰」とはなにかというと、ある時間間隔ですべては全く同じように繰り返すという世界観です。そんなばかな、と思うかもしれませんが、19世紀末の数学と物理学ではそういう認識が行…

Also Sprach Zarathustra(5)精神は自らの苦悩によってその知を増すのだ

金曜日のZarathustraは第二部です。山に帰ったZarathustraは、自分の教えがゆがめられた夢を見てまた布教のために山を降りていきます。第二部も地の文はほとんど無く、説教と歌で構成されています。印象的な文章を抜き出してみます。私の感覚に引っかかったものを抜粋しているだけで、内容は万華鏡のように多彩です。英訳はDelphi版Thomas Common訳、和訳は岩波文庫(氷上英廣訳)を少しいじっています。 万華鏡 kaleidoscope カ「れ」イドスコウプ level 7 Not perhaps ye yourselves, my brethren! But into father…

Also Sprach Zarathustra(4)超人:そうだ、人間とは試みだったのだ。

金曜日のZarathustraは第一部をもう少し見ます。一文一文に主張が込められていることから要約は難しいので、最後にツァラツストラが再び山に帰る前の説教で面白い表現を英語版から抜粋します。ここでは引用しませんが、いろいろ同時代人に思うところがあったのでしょう、上手いけれどひどい比喩(ジャーナリストや権力者、聖職者などを市場の蠅、毒ぐもなどなどに例える)も多く登場します。 A hundred times hitherto hath spirit as well as virtue attempted and erred. いままで精神も徳も、何百回も試して誤ってきた。 hitherto ヒざー…

Also Sprach Zarathustra(3)超人:ニーチェとナチズム

金曜日のZarathustraは、第一部で出てくる「超人 Ubermensh, 英 overman or superman」について考えてみましょう。Amazonで”Nietzche and Nazis” by Stephen R.C. Hicks (2017) https://www.amazon.co.jp/dp/B003XVYHRU という短い本を見つけました。星4.5と高評価なのでざっと読んでみました。ナチスの幹部だったヒトラーとゲッベルスがニーチェに心酔していたというのは事実のようで、Delphiのニーチェ全集の解説やwikipediaではニーチェの実の妹が売…

Also Sprach Zarathustra(2)概要と第一部のさわり

金曜日のZarathustraは、概要を解説してから第一部の最初を読みましょう。余談ですが、論理的な思考力や文章の構成力を鍛えるには、文章を要約する訓練が即効性があります。例えば、4冊のZarathustraを1文で、400字で、3ページで要約しなさい、などの問題を自分に課してみるといいと思います。最初は添削が必要かもしれません。社会人向けの講座もあるようですが、大学受験生向けの通信添削講座(Z会など)の難関国語コースが実はコスパがいいと思います。chat-GPTが(将来は)うまく模範解答を作ってくれるかもしれませんね。 さて、2文で要約すると、「神のない新興宗教の教祖であるZarathust…