インドは最大のワクチン生産国

昨日紹介した本によると、インドは世界最大のワクチン生産国だそうです。Serum Institute of India (SII, インド血清研究所)が世界最大のワクチンメーカーで、年間売上高586億ルピー=880億円(2018)。インドでのバイオ医薬品の市場規模は650億ドル。糖尿病患者数も世界一で、インシュリン製剤の開発も活発に行われているとのこと。 SII本社があるのはデカン高原にあるPune市(プネー、標高600m、人口500万、古くからの学園都市)で、冬は過ごしやすいが夏は高温、ただし乾燥している(年間降水量741mm, 東京は1528mm)とのことです。 https://ja.wik…

世界の研究所 Tata Consultancy Services(インド)

今週の世界の研究所は、インドのICT(information and communication technology)最大手 Tata Consultancy Services をとりあげます。下記web siteはさすがにしゃれています。 https://www.tcs.com/research-and-innovation インドはIT関係が強いのは聞いたことがあると思いますが、その中でも最大で、 https://www.tcs.com/investor-relations によると 従業員49万人、この4半期の売り上げ$6.33Bn=7300億円、利益$1.301Bn=1500億円、年…

企業会計 financial ratio analysis 会計指標分析

今週の企業会計は、financial ratio analysis 会計指標分析 を取り上げます。これはB/S, P/L, CF 等財務諸表から指標を算出して分析するものです。下記を参考にしました。これがスラスラできると役に立ちそうです。「ただし、これは経理担当者か外部の専門家の仕事で、できれば経営者の方は分析ではなく「判断すること」に注力して頂きたいところです。」と書いてありますが、ある程度分からないと判断もできないでしょう。 https://meetsmore.com/services/tax-accountant/media/53612  関連して下記の資格があるようですね。時間ができた…

haptics のデモンストレーション

haptics(触覚技術)は、五感(見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触る)の中で「見る」「聞く」に次いで電子的に作れるようになったものではないかと思います。ベンチャー企業がいくつも立ち上がっており、製品を身近に見るのも遠い将来ではないと思います。下記は、英国王立協会のクリスマス講義の一部のようです。 https://www.youtube.com/watch?v=uPnHzQ7qJ2Y 講演全体は下記です。各年度のものがたくさんありそうです。 https://www.rigb.org/christmas-lectures/watch/2014/sparks-will-fly-how-to-hack-…

超音波による駆動、遠隔スピーカー

スピーカーを多数使って音波の波面を制御することにより、空気中に圧力の場を作って、物体に力を及ぼすことができます。下記は面白い動画です。 https://www.youtube.com/watch?v=jOnxr9Ez_Kc 上記の最後の方に出てきた超音波の干渉で差周波を作り、何もない空中から音を出す技術は parametric speaker と呼ばれて実用化されています。下記はイタリア語ですが、オシロ測定も出してわかりやすい解説です(5分くらいに200200÷220000というのが出てきますが、我々なら「~」と書くところでしょうね。200000Hzを搬送波としてFM変調し、差周波をとって復調…

世界の研究所 Max Plank Institute for Intelligent Systems, Haptic Intelligence Center

今週の世界の研究所は、Max Plank Institute for Intelligent Systems のHaptic Intelligence Center です。 https://hi.is.mpg.de/ Haptics(「ハ」プティックス)は「触覚」を人工的に生み出す技術を指します。超音波波面制御の応用の一つです。大学など日本を含む世界中で研究されていますが、センターという名前になっているのは少ないです。ベンチャーもいくつか立ち上がっています。今週はhapticsを解説しますが、超音波を使わない方法もあり、今日はそちらを扱います。 We leverage scientific k…

企業会計 privatization と Management BuyOut (MBO)

今週の企業会計は、privatization (株式公開廃止)について紹介します。public company(公開会社)は、株主に経営の状況や計画をinvestor relations (IR アイアールという)で知らせる義務があり、競合他社に真似される危険があるため、management buyout (MBO、経営陣が株式を全部買ってしまって非上場にすること。市場価格よりも高い額を提示して買い集める)が行われます。株式上場は大きな設備投資などに必要なお金を株主から集めるのが目的なので、ソフトウェアなどのデジタル技術、ファブレス製造業、サービス産業などは必ずしも株式を公開する必要はないこと…

MEMSの最近の動向とbio-MEMS

超音波については来週に回すことにして、MEMSの最近の動向について。加速度センサー、気圧センサー、マイクなどはスマホやゲーム機、時計などに搭載されて日常に使われています。光学部品としては、MEMSで動く微小な鏡を使って超小型プロジェクターなどが実現されています。 https://www.youtube.com/watch?v=_8zq1JoI_eY 人体、特に神経系と機械のインターフェースの研究が盛んになっています。下記が2017年のレビューです。 https://www.nature.com/articles/micronano201666 ・視神経とのインターフェースで人工網膜(実用にはま…

希ガス化合物の発見者

たまには化学を扱いましょう。Xeは、RamseyとMorrisが大気を液化・分離して発見しました(1898年)。大気中には0.05ppmしか含まれていないので、高価です。麻酔作用があるそうです。18族元素は長らく化合物は作らないと思われていましたが、Neil BartlettがPtF6がO2を酸化できることを発見し、さらにO2とXeがほぼ同じ第一イオン化エネルギーを持つこと(1165と1170kJ/mol)に気づいて、XeとPtF6(赤い気体のようです)を混合することによりXeの化合物(オレンジ色をした結晶)を初めて合成しました(1962年)。これは教科書:シュライバー無機化学にも載っている話…

二フッ化キセノン XeF2

MEMSを作るときには、シリコンの狙った場所を深彫りしたり、空洞を作りたいときがあります。フッ素系のプラズマも使いますが、XeF2は独特の長所がありよく使われます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E3%83%95%E3%83%83%E5%8C%96%E3%82%AD%E3%82%BB%E3%83%8E%E3%83%B3 XeF2は有機化学のフッ素化試薬としても使いますが、下記の文献にあるようにXeF2はSi犠牲層エッチングにより中空構造や歯車などを作ることができます。ウェットエッチングでは表面張力による貼り着きが問題になりますが、XeF2はドラ…