シェールガスの採掘

今日はシェールガス採掘の実際です。仕組みの動画は下記です。 https://www.youtube.com/watch?v=CM8Lh7SAm6A 実際の設備や住民・関係者への取材が下記です(2010年の報道)。当時の副大統領が元会長だったHalliburton社についての言及など、面白いです。 https://www.youtube.com/watch?v=Vr6b-WzIcyo 4分くらいに頁岩の実物が見えます。 Halliburton社は世界のシェールガス採掘のほとんどすべてにかかわっている、とwikipedia には書かれています。 https://en.wikipedia.org/w…

シェールガスは石の微小空隙に入っている

今週はシェールガスについて調べています。シェール(頁岩 けつがん)に炭化水素系のガスや石油が入っているということですが、岩石は多孔質なのでしょうか?下記は数年前の論文ですが、3次元画像が出ています。採掘する深さや場所によりますが、12-15%の空隙率ということで、思ったより隙間が多いですね。 https://www.nature.com/articles/s41598-019-56885-y 調べても岩石の種類と空隙率の関係の表が見つからなくて不思議に思いましたが、下記によると岩石ができる条件でだいぶ変わるためのようです。特に気体が発生しながら冷える火成岩などは差が大きそうです。 http:/…

世界の研究所 EU-JRC, JST-CRDS, Phillips 66 Research Center

先週はCO2を玄武岩と年単位で反応させてCO2を地中に固定化するアイスランドのプロジェクトの話で終わりました。数kmの地中では温度と圧力は足りますが、岩石にCO2をしみこませるのをどうするかという疑問がありました。接触面積を上げるには岩石の「破砕」が必要と考えられますが、この技術はまさにシェールガス(シェールオイル)の採掘に使われるものです。今週の世界の研究所は、役に立つレポートをタダで公開していた EUのjoint research center をとりあげます。ここはEU付属のシンクタンクですね。所長等の名前は上がっていますが、人数は不明です。 https://ec.europa.eu/i…

マキャベリ (9) 側近を見ればリーダーの能力はわかる

今週のマキャベリは、第23章まで。君主が側近・大臣などを選ぶときの心得です。現代でもある程度の集団を率いるリーダーに有効な心得だと思います。君主をリーダーに読み替えます。 1.リーダーの能力は側近の力量を見ればわかる。側近が優秀な場合は、その力量を見抜いて抜擢している上に、従わせる力を備えているからである。 2.部下に悪だくみをさせないためには、名誉と金銭で報いるとともに自分も苦楽を共にすることにより、リーダーに仕える方が得であると理解させる。また、力に余る大役を与えて頑張らせると信頼関係が深まる。 ※ 一代で大きくなった会社の後継者選びの問題が複数の会社でニュースになっていますね。会社は技術…

地熱発電の熱媒体

100気圧の高圧CO2を地中1kmに注入すると何が起こるかの検討は来週に回すことにして、地熱発電の話をします。 https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/geothermal/explanation/development/about/ によると、地球中心部は5000-6000℃もあるそうです。地熱発電の深度は1000-3000mとのこと。 水のかわりにCO2を熱媒体として使う研究もおこなわれています。 https://www.gerd.co.jp/image/pdf/gerd_topics_20210823.pdf (…

玄武岩との化学反応による二酸化炭素の固定化

アイスランドのカーボンニュートラルは、水力と地熱発電の他に、いろいろな活動で出てくるCO2を地中に埋めて処理する技術が鍵となります。日本の場合は、圧力をかけて液体にして二酸化炭素を通さない岩盤の下の砂岩層にため込みますが(例:苫小牧の実験施設)、 アイスランドでは昨日出てきた「洪水玄武岩」を使おうとしています。 https://phys.org/news/2016-10-co2-stone.html https://www.carbfix.com/how-it-works 等に概略の紹介がありますが、玄武岩と二酸化炭素と水が反応して二酸化炭素が固化(鉱物化)するそうです。 反応の詳細は下記の論…

マントルプルームと大量絶滅

マントルプルームという概念があって、下記youtubeが分かりやすいです。 https://www.youtube.com/watch?v=d_vQb9Bkpgc アイスランドは現在活動中のマントルプルームの出口です。他にハワイ、イエローストーン(米国)、インド洋のレユニオン島などがあります。マントルプルームは動かずに大陸が動くため、火山の列ができるとのことです。 玄武岩が大量に広がっている場所(洪水玄武岩 flood of basalt)は、大規模なマントルプルームが発生した場所であると考えられています(スーパープルーム仮説)。地球磁場の大きな変化も伴うようです。 アイスランド周辺は洪水玄武…

世界の研究所 Raykjavik Energy

今週の世界の研究所は、地熱発電もやっているアイスランドの公益事業会社 Raykjavik Energyを取り上げます。 https://www.youtube.com/watch?v=6we3gox0f5g アイスランドの人口は36万人で(日本の300分の1)、面積は10万km2(日本は38万km2なので4分の1)です。人口を日本の都市で比較すると、宮崎市(40万)、横須賀市、長野市、和歌山市、東京都北区、旭川市、高知市(33万)程度です。独自のアイスランド語がこの人口で維持されている(話者30万人)というのは驚きです。 この人口規模だと小規模の発電所で足りますね。地熱30%、水力70%だそう…

マキャベリ (8) 旗幟を鮮明にすべし

今週のマキャベリは、第21章まで。有名な言葉がいくつかあります。 1.君主は獅子と狐の両方の性質を持たねばならない。世の中が腐りきっているときには善い行いが身を亡ぼすことがある。 2.君主が尊敬を受けたいならば、敵か味方かを明言することである。こういう態度に出る方がどっちつかずでいるよりもはるかに役に立つ。勝った方は逆境に対して手助けをしてくれなかったものを味方にしたいとは思わないし、負けたほうは剣をとって運命を共にしてくれなかったことから次に味方しようとは思わないからである。 1.についてはローマ帝国のネルウァ=アントニウス朝~軍人皇帝時代の例を挙げています。ほとんどの場合、クーデターで数年…

マグマの成因

昨日の話は、ギアナ高地のテーブル台地tepuiは海底・川底の堆積層が隆起するときに平らな表面が上から加熱されて一部の表面が変成して硬くなったのだ、ということでした。表面の一部の加熱は、マグマがあちこちから噴き出して表面に触れたとすると説明できそうです。そもそもマグマができる理由がわからなかったので調べました。高温高圧の地下の岩が横に引っ張られると圧力が下がって液体になる(海嶺、ハワイやアイスランドなど)、プレートが海底で沈み込むときにある深さで水が抜けて融点が下がって融解する(日本など)、などですね。面白いです。隆起は造山運動に関係していて、造山運動はプレート同士が衝突するときに典型的におこる…