マキャベリ 人に頼るな

今週来週の集中講義でバタバタしていたら、もう金曜日です。今週のマキャベリは13~15章から抜粋します。 ・(戦争で加勢を受けることを戒めて)他人の武具は背中からずり落ちるか、重荷になるか、体を締め付けらえるか、そのいずれかになる。 ・君主が自分の都市国家の地形を熟知するように努力すると、より防備に工夫を凝らすことができ、さらに新しい土地を調べるときにもコツをつかんでいるので手軽に応用が利くようになる。 ・心の鍛錬については、歴史書に親しみ、偉人の所業に思いを致し、その勝敗の理を究明して勝つ方法に従うようにするべきである。さらに、優れた人が模範とした事柄を自ら実行しなければならない。 ・鍛錬を積…

グリホサートの訴訟と論争

除草剤グリホサート(N-ホスホン酸メチルグリシン (HO)2PO-CH2-NH-CH2COOH)は、最近週刊誌などで取り上げられ、農薬工業会が反論を発表したりして、ちょっとした論争になっています。その経緯について下記が良くまとまっていました。 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26627?page=1 話はアメリカの訴訟が発端のようですね。 https://agrifact.jp/roundup-not-prohibited-flow-what-truth-about-glyphosate8/ グリホサート耐性作物は、土壌にいる2種類の菌から別々の機構をも…

除草剤、遺伝子組み換え作物、シキミ酸サイクル、八角

遺伝子組み換え作物は除草剤と組で使うことが多いそうです。除草剤に耐性があるように遺伝子を組み替えます。対応する除草剤は、グリホサート系(glyphosate)(商品名ラウンドアップ)です。1970年に開発されてからもう50年過ぎています。最近、雑草に耐性種が現れ始めているとのことで、かなり時間がかかっていますね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97 遺伝子組み換え品は綿、大豆、トウモロコシ、アルファルファ等が広範に栽培されているとのこと。スリラ…

有機農業政策の破綻

https://foreignpolicy.com/2022/03/05/sri-lanka-organic-farming-crisis/ によると、スリランカの旧政府は肥料や除草剤の輸入でお金が流出することを嫌い、また、北部で多発する腎臓障害が除草剤の影響ではないかと疑って、化学肥料と除草剤を禁止したそうです。 その結果、主力輸出作物のお茶の収穫が30%減、主食のコメは20%減少して輸入が必要になり、肥料の金額以上に外貨が流出してしまったそうです。コロナに加えてロシアの戦争で観光が壊滅したのもダメージが大きく、為替レートをみると、今年の3月からスリランカルピーが暴落しているのが分かります。…

世界の研究所 Food Tank

今週の世界の研究所は、米国の食糧関係の民間シンクタンクであるFood Tankです。 https://foodtank.com/ ここは、最近経済が破綻したスリランカの有機農法政策を支援したとして批判されています。 https://foreignpolicy.com/2022/03/05/sri-lanka-organic-farming-crisis/ 今週は、本件に関連している除草剤と遺伝子組み換え作物について調べたいと思います。 chemical fertilizer 化学肥料 < 語源は ferry (フェリー)と関係あるそうです。fer で「進める」 https://www.y…

マキャベリ イタリアの分裂と傭兵

今週のマキャベリ「君主論」は、第8章~12章です。いくつか抜粋します。 (8章) 一つの国をかすめ取るにあたって、その征服者は一気呵成にぜひとも必要な荒療治をことごとくやってのける、つまりひと思いにすべてを断行し日ごとにそれを蒸し返したりしないように、また蒸し返しをやらずに人心を収攬し、恩恵を施してこれをつなぎとめておけるようにすることである。 (9章)人間は今まで悪人と思い込んでいた人にも良いところがあるとわかると、余計にその慈悲がありがたくなるもの。 (10章)人間の性質として、自分が恩恵を施しても、またそれを施されても、同じように義理を感じるものなのである。…賢明な君主にとって、籠城にあ…

海に鉄塩を撒くと本当に植物プランクトンが増えた

マーチンの鉄仮説の実験結果は下記に良くまとまっています。 https://ippjapan.org/archives/1265 まとめると下記です。 ・鉄散布の有効性は認められ、1990年代当時のCO2排出量の25%を吸収するポテンシャルがあることが分かった ・2週間で植物プランクトン数に顕著な効果があるという即効性 ・CO2吸収効果のためには、最終的に炭素が沈降して出てこなくなる必要があるが、動物プランクトンの数などに左右されるので不安定 ・植物プランクトンは増えすぎると「赤潮」「アオコ」なので、制御できない場合は危険。特に漁業への影響。 ・関連実験は、海洋への廃棄物投棄に関するロンドン条約…

マーチンの鉄仮説

マーチンの鉄仮説の話の流れはこうです。(J. H. Martin, Paleoceanography 5 (1990) 1-13) ・氷床試料中のCO2分析により、氷河期はCO2濃度が低いことが知られている。(氷河期は200ppm以下、産業革命前は280ppm、ちなみに2020年は420ppm) https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html ・海は植物プランクトンがCO2を吸収するため、大気の60倍のCO2貯蔵能力があることが知られている。 ・Martin博士らが、いろいろな海域・深さのFe,N,P,C濃度と植物プランクトン密…

鉄を含むインクとお歯黒は同じもの

鉄を含むインクは、ポリフェノールと鉄の不溶性の錯体からできています。 植物ポリフェノールとしては、お茶のタンニンがありますが、植物が昆虫に寄生されてできる「虫こぶ」である「五倍子(ごばいし、ふし)」や「没食子(もっしょくし)」に多く含まれています(植物の防衛機能)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%A1%E9%A3%9F%E5%AD%90%E9%85%B8 https://www.youtube.com/watch?v=WP1Hu2oQ_0I によると、五倍子は画材屋で買えるそうです。五倍子を煮出した液に鉄さび+酸を加えるというレシピはインクと共通です…

世界の研究所 Moss Landing Marine Laboratories

今週の世界の研究所は、米国カリフォルニア州の Moss Landing Marine Laboratories を取り上げます。ここは、カリフォルニア州立のSan Jose State University(1857設立)が運営し、23校のカリフォルニア州立大学機構が共同参画している海洋学の研究所です。Moss Landingは地名のようです。 https://mlml.sjsu.edu/ 博士審査の公聴会(thesis defenses)が写真入りで世界中にアナウンスされているのが面白いです。 https://mlml.sjsu.edu/defenses/ California州には、Cal…