You are not litening (13)最終章 現代人はちゃんと聞いてもらうことに飢えている

金曜日の読書 You are not listening は最終章 Conclusion です。教会の告解室の話から始まっています。私も学者仲間に外国の教会を案内してもらったことがありますが、小さい個室がたくさんありました。聖職者の人たちが心理カウンセラーの役割を果たしているのだと思います。この章にも聖職者はお互いに告解をしあっているという記述があり、この点も心理カウンセラーと似ていると思います(おそらく心理カウンセラーという職業が成立したときに参考にしたのでしょう)。告解を求める人の行列は最近どんどん長くなっているそうで、対応する聖職者は残業続きだそうです。現代人は「聞いてもらう」機会を欲す…

You are not litening (12)第17章 聞くのをやめるべき時

金曜日の読書 You are not listening は17章(When to stop listening)です。あとはConclusion と Notes(「注」です。全体の30%ある)を残すだけですが、急ぐ必要はないので、次回にします。次回はこの本の構成の秘密と面白さの理由についても考えてみたいです。 17章はfake laughter 作り笑いについて著者が数年前に記事を執筆した時の経験から始まっています。笑いの研究者(文化人類学者?)のつまらない説明に辟易(へきえき)して聞くのを切り上げた話、ラジオの視聴者相談で「2回目のデートがうまくいかない」コーナーの話、「シカト」が武器にな…

You are not litening (11)第15章 言葉が隠し沈黙があらわにするもの 第16章 噂話と後悔

金曜日の読書You are not listening は15章(What words conceal and silences reveal)、16章(The morality of listening - why gossip is good for you)です。 15章は大きな家具屋のトップセールスマンの話から始まっています。客の話を良く聴くこと、客が黙って考えているときは何も言わないでいること、が売り上げの秘訣とのことです。それから欧米と日本で会話の際に耐えられる沈黙の時間が違う(日本は8.2秒、アメリカは4.6秒)とか、フィンランドはこの点で日本に似ているなどの記述があります。In…

You are not litening (10)第13章 右の耳で聞くとよくわかる 第14章 モバイルの弊害

金曜日の読書You are not listening は13章(Hammers, Anvils, Stirrups -Turning sound waves to brain waves)、14章(Addicted to Distraction)です。 13章で面白かったのは、右耳で聞いた方が情報処理能力が発揮され理解が速いという実験結果です。知りませんでした。神経のつながり方のため、脳の左側にあるウェルニケ野に近いためだとのことです。騒音のある環境では自然と右耳を話者に近づけるそうです。ここまでは実験事実です。反対に、感情をつかみやすいのは左の耳だとのこと。奥さんが怒っているかどうかを電話…

You are not litening (9)第11章 心の声, 第10章 カウンセリングの聴く力、恋をする方法

金曜日の読書You are not listening は11章(Listening to Yourself - The Voluble Inner Voice)、12章(Supporting, Not Shifting, the Conversation)です。11章は、心の中の声は自己肯定的な声と否定的な声があり、成功している人は厳しめの声を聴いているがそのために不幸なこともある。そういう人は他人にも厳しくなるので聴くのは苦手、という月並みな話です。一方12章は、カウンセリングでの聞き手の応答のやり方について書いてあり、たいへんためになります。 ・「犬がいなくなって見つかるまでに3日探した…

You are not litening (8)第9章 聴く力と即興とユーモア, 第10章 ラジオパーソナリティと政治家と詐欺師の共通点

金曜日の読書You are not listening は9章(improvisational listening - A funny thing happened on the way to work)、10章(Conversational Sensitivity - What Terry Gross, LBJ, and con men have in common) ・Googleの研究(Project Aristotle):うまくいくチームとうまくいかないチームがあるのはなぜか?3年の研究の結果、構成員がそれぞれ同程度に発言しているチームが一体感があり生産的なチームであることがわかった。…

You are not litening (7)第7章 反対意見を聞くのは熊に追いかけられるほど怖い, 第8章 フォーカスグループのカリスマモデレータ

金曜日の読書You are not listening は7章(Listening to Opposing View - Why it feels like being chased by a bear)と8章(Focusing on what’s important - Listening in the age of big data)です。 ・交渉事をするときには好奇心を持って聞くのがよい。敵だと思ったり、論破、マウントしようとしたり、罠をしかけようとすると失敗する。 ・自分の意見と反対のことを聞いたときの脳の反応をfMRIで見ると、怖いもの(熊)に追いかけられているときと同じ…

You are not listening(6)第5章 音痴な返答, 第6章 ウサギとカメ

金曜日の読書You are not listening は15章あるので、少し端折り(はしょり)ます。今日は5章(The tone-deaf response - Why people would rather talk to their dog)と6章(Talking like a tortoise, thinking like a hare - The speech-thought differential)です。 言っていることは単純で、5章は、悩みを打ち明けられた時など深刻な話題のときには聞き手の反応が重要ということ、6章は聞き手はなるべく話さないで考えながら聞くこと、です。詩の引用、…

You are not litening (5)第4章 先入観を持って聞いてはいけない

今週の”You are not listening” は第4章”I know what you’re going to say” - assumptions as earplugs です。これは耳が痛いです。先入観を持って聞こうとしてはいけない、という話です。 面白いところを抜粋すると ・幸せな結婚とは、長い会話をしても、いつも足りないような気持になること。 ・人類学者 Robin Dubnerの、人が管理できる人間関係は150人程度が最大(ダンバー数:100~230)、さらに親密から疎遠までの層構造をなしている、という説を紹介したう…

You are not listening (4) 第3章

金曜日の”You are not listening”、今日は第3章です。”Listening to your curiosity - what we can learn from toddlers” 元CIAの主任尋問官(chief interrogator)の話から始まっています。読者を引き込むのがうまいです。聞く能力は科学というよりも芸術(rather art than science)で、尋問術というのはあるが、真実を語っているかはわからない。それより好奇心を高めて適切な質問をすることが重要である、と言っています。ジャーナリストとしての作…