碧巌録 知的存在の範囲

今週の碧巌録は、Case #80 趙州初生孩子(Chao Chou’s Newborn Baby) です。生まれたばかりの赤ちゃんに「六識」があるか?という問答です。答は「急流にボールを打つようなものだ」「そのこころは?」「流れて留まることがない」。存在はしているが句読点がない思考だと言っている、と私は解釈しました。わかりやすいと思います。 「六識」は、眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意識 の6つで、外界との相互作用を持つ知的存在かどうか?だと思います。 禅問答では、知性の定義と範囲に関する有名な公案がいくつかあります。「犬に「仏性」があるか? 狗子仏性」が例です。仏性、は「仏として…

碧巌録 不朽の実体?

今週の碧巌録は、第82則(Case # 82)大龍堅固法身 です。本文解説によると、これは簡単そうに見えて難しいそうです。 問答の原文は 僧問大龍、色身敗壊、如何是堅固法身? 龍云、山花開似錦、澗水湛如藍。 英語は A monk asked Ta Lung, “The physical body rots away: what is the hard and fast body of reality?” Lung said, “The mountain flowers bloom like brocade, the valley streams are br…

碧巌録 絶妙なタイミング

今週の「碧巌録」は本文が最も短いCase #19 倶胝指頭禅 です。倶胝和尚(Master Chu Ti)という人がいて、どのような問を立てられても指を一本立てて答にしたという逸話です。また、臨終のときに集まった弟子たちに「この最強の技を会得したが一生かけてもすべてを使いつくせなかった。なぜだか知りたいか?」と告げ、指を一本立てて息を引き取ったとのこと。 この話は想像力をかき立てるようで、webにいろいろな解説が落ちています。また、「碧巌録」本文の解説では、物事には急所となるタイミングがあり、そこでは小さい労力ですべてを変えることができる、とあります(と、私が解釈した)。指を一本立てるタイミン…

碧巌録 世界に法則はない

今週の碧巌録(禅問答)は第37則(Case #37) です。原文は以下の通り。 盤山垂語云、 三界無法、 何処求心。 これに解説がついています。英訳本は Pan Shan’s There is Nothing In the World: Pan Shan imparted the words which said, “There is nothing in the triple world; where can mind be found?” です。盤山は禅僧の名前です。世界に法則はない。ではどうするか、と講義で言ったとのこと。我々の生業で使う物理法則はある…

碧巌録 日日是好日

金曜日の読書、「碧巌録(英語名 Blue Cliff Records)」の第六則(the sixth case, 100まである)を紹介します。本文は短いです。 「挙。雲門垂語云。十五日已前不問汝、十五日已後道将一句来。自代云。日日是好日。」 「日々是好日」はここから来ています。議論はありますが、比較的わかりやすいです。下記wikipedia参照。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%97%A5%E6%98%AF%E5%A5%BD%E6%97%A5 英訳は下記です。 Yun Men said, “I don’t ask you about be…

碧巌録 達磨大師

金曜日の読書、「碧巌録(英語名 Blue Clif Records)」をやろうとしています。100個の禅問答が載っている本です。解説書によると順序は緻密に構成されているそうですが、難解です。私は外国人に宗教は何かと聞かれると、zen buddistだと答えているので、質問されて答えられないと恥ずかしいのでいろいろ本を読んでいます。禅は、インドから菩提達磨(Bodhidharma、ぼだいだるま、だるま人形のモデル)が西暦520年(479年以前という説もある)に中国にやってきて「面壁九年」をしたことで有名になり広まったようです。碧巌録の中にも「達磨大師が中国に来た意味はなにか?」というものが複数あ…

金曜日の読書 碧巌録

金曜日は本を読んでいくことにしていて、企業会計は一段落したので、今週から禅の公案を100個集めた「碧巖録」にしようと思っていたのですが、難しすぎて準備が間に合いません。もしかすると本を変えるかもしれません。もう一つの候補はMichael Sandel の Justice (しばらく前に流行ったHarvardの「正義」の講義)です。 とりあえず、碧巌録の紹介をします。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A2%A7%E5%B7%8C%E9%8C%B2 中国の仏教書で、宋代の1125年に成立しました。道元が日本に持ち帰って広めたとのことです。なぜかハンガリーの輸入家…