墨子(6) 「墨攻」を見て千早城を思い出す

今日で墨子は終わりにしようと思っていますが、何を取り上げようか悩みます。一部の節は「なぜ」「○○だから」「では、それはなぜ」と問を繰り返すスタイルで、現在でも発想法として有効とされている方法を使っています。その結果、論理学の説明とも解釈される短文もあります。異色の思想家であることは間違いないでしょう。話は変わりますが、墨家による籠城戦を扱った日本の小説で「墨攻」というのがあって、漫画化され、さらに中国・香港・韓国・日本の合作で2006年に映画化されています。よくそんな題材を思いついたな、と感心します。webで購入できるので見たかったのですが、最近ちょっとバタバタしていて今日には間に合いませんで…

墨子(5) 墨守

墨子関連で現在まで日本語に残っているのは「墨守」でしょう。「因習を墨守する」のようにあまりよくない意味に使うと思っていたので、良くない故事があるのかと思いましたが、「公輸」のところで出てきた、「雲梯」との机上戦で9回戦って9回とも防衛に成功した、という故事からきているとのことです(解釈が最近変わったのかと思って古い広辞苑を見ましたが同じでした)。 ただし、墨子から3代目のリーダーの下、城の守備に失敗してリーダーもろとも180人(400人?)が城と運命を共にした記録が残っています。これは楚との戦闘で、墨家はまだしばらく続きましたが、戦国時代を終わらせた秦との戦闘でも似たようなことがあって、墨家が…

墨子(4) ピンホールカメラ

墨子は、先週のyoutubeで言いたいことはほぼ尽くされているので、あと数回こぼれ話的なところをやって、マキャベリ「君主論」に移ろうと思います。今回は、気になっていたピンホールカメラ(小孔成像)の発明とされているところです。 https://learning.sohu.com/20170810/n506260353.shtml 私には正しいかどうか判定できませんが、光について語っている一連の短い文章で、「端」という字が古語で「終極」→「小さい点」の意味、そこから離れると大きくなる、「到」→「倒」反転している、下のものは高くなり、高いものは下になる、庫に景がある、などの文があります。まさに判じ物…

墨子(3) 良くまとまっているyoutubeの紹介

今週の墨子は、手抜きで申し訳ありませんが、うまくまとまっているyoutubeを紹介しましょう。私が調べて考えた解釈と一致していて、ちょっとふざけた語り口ですが、わかりやすいです。速度を上げて再生したほうが聞きやすいと思います。おそらく昔で言う「市井の学者」だと思いますが、専門家でなくても発信ができる良い時代になったと言えるでしょう。 https://www.youtube.com/watch?v=wXBs6esT4YA 英語はdefense の関連語から fortress 「フォー」トレス 要塞 trench トレンチ 深い溝、塹壕 warfare ウォーフェア 戦 trench warfar…

墨子(2) 雲梯の発明者との駆け引き

今週の墨子は、巻13公輸 を紹介します。原文は下記です。 https://ctext.org/mozi/gong-shu/zh あらすじは https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E8%BC%B8%E7%9B%A4#%E3%80%8E%E5%A2%A8%E5%AD%90%E3%80%8F%E5%85%AC%E8%BC%B8%E7%AF%87 落ちもあって、面白いと思います。 公輸盤(別名 魯班 BC507-444) は伝説化・神格化した技術者で、鉋(かんな)・錐(きり)・鋸(のこぎり)の発明、3日間飛び続けた飛行機(凧とも)(下記銅像)を作った伝説があり…

墨子(1) 科学技術の先駆者

金曜日の読書はマキャベリも検討したのですが、「墨子」を先にやることにします。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A2%A8%E5%AD%90 によれば、BC470-BC390ころの戦国時代の人物で、日本語にも「墨守」など入っています。博愛と非攻(専守防衛)を唱えた思想家で、都市防衛の技術を各国に伝えて生業を立てた集団のリーダーのようです。現在では科学技術の先駆者(科祖)とされているそうです。下記wikipedia中国語版には、日本語版で「難解」と片付けられている部分が詳しく書いてあります(てこの原理、原子論、はじめてピンホールカメラを作った 等)。 https…