Hoffmann  自然と人工の境目

今週のHoffmannは前回の続き、”Is Nature Natural?” からです。大学1年生Ayyal(IsraelからのHarvard留学生との設定?)の手紙ですが、驚くほど語彙が豊富です。抜粋と、単語を並べてみます。 And science is to blame, that gang of mostly white, Western men, ostensibly seeking wisdom, cuts up Nature and transforms it, screaming of their vaunted neutrality all the wa…

マジックテープ

マジックテープ (商標”Magic Tape”, “Velcro”, 一般名詞 hook-and-loop fastener、日本語は面ファスナー) は、日本のオナモミのような”burdock”の実にヒントを得て1941年にスイスのde Mestralによって発明されたもので、biomimetics 生物模倣 製品の最初期のものと言っていいでしょう。アイデアを織物業者に持ち込んでも最初はけなされて、実用化までに10年かかったとのことです。10年辛抱です! https://www.velcro.com/about-us/ou…

森林火災をヒントとしたワクチン接種戦略

前田・後藤「プロジェクト譜」本のエピソードから。 森林火災をヒントとしたナイジェリアでの天然痘の撲滅戦略 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/100800583/ https://en.wikipedia.org/wiki/William_Foege から William (Bill) Herbert Foege (/ˈfeɪɡi/;フェイギと発音するようです born March 12, 1936) is an American physician and epidemiologist who is credited with “…

コブラ効果

前田・後藤著「プロジェクト譜」の本をいくつか読みました。プロジェクト譜、は定型業務ではない創造的な業務「プロジェクト」の各段階を「棋譜」のように記述して管理・意識共有に役立てるというものです。 https://www.sbbit.jp/article/cont1/33718 本の中で紹介されていたエピソードで面白いものを紹介します。社会に出たらその手の研修に出させられることもあるでしょう。「それ知ってる」になってしまって感動が薄れるかもしれません。その場合は申し訳ありません。 コブラ効果: コブラを減らそうとして死骸を買う制度を作ったら、コブラの養殖をして却って(かえって)増えた。 https…

世界の研究所 国連大学と関連組織

今週の世界の研究所は、国連傘下の研究組織についてとりあげます。 https://jp.unu.edu/about/unu-system 国連大学の本部は、東京・渋谷区にあり、学部はありませんが大学院を持っています。 その下に14の研究組織があるようです。 社会、経済、資源にかかわる文系の研究が多いようですね。 https://jp.unu.edu/explore いわゆるSDGsにかかわる研究を熱心に推進しているようです。 研究者が全世界で400人余りいるようです。一部は大学と両方に属していますね。 multifaceted 多面的な facet は多面体の面ですね。 comprehensiv…

Hoffmann  Is Nature Natural?

今週から金曜日はHoffmann & Schmidtの”Old Wine New Flasks: Reflections on Science and Jewish Tradition”を解説します(以後「今週のHoffmann」と略す)。私が中古本を買ったときはamazonで7000円くらいしましたが、今は2000円以下になっていますね。Jewishの人たちはTalmud(タルムード;前にアクセント)という聖書の解説本を読んでいるとのこと、私の理解では、これは聖職者たちが議論した記録を様々な意見を相互参照しながら世代を超えて1000年単位で書き継いでいるもので…

渡り鳥の方位磁石

渡り鳥や伝書鳩が磁場を感じる機構は興味深いです。視界が悪い時に方向を定めるために地球磁場を使っているのは間違いないようです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Magnetoreception そのしくみについては、渡り鳥はマグネタイト(磁鉄鉱、Fe3O4)を内包するタンパク質であるフェリチンなどの強磁性体を使っているのではなくて、分子の光励起→電荷移動によって生じたラジカル対が磁場に敏感なことを使っているとされています。地球磁場による磁気エネルギーは非常に小さく、室温ではほぼ無視できますが、2つのスピンの向き(一重項か三重項か)は化学反応に影響を与えます(例:水素原…

AIによるタンパク質立体構造の予測

ちょっと前の話ですが、アミノ酸配列からタンパク質の立体構造を計算機で予測するめどが立ったというニュースがありました。 https://deepmind.com/blog/article/AlphaFold-Using-AI-for-scientific-discovery https://www.technologyreview.com/2020/11/30/1012712/deepmind-protein-folding-ai-solved-biology-science-drugs-disease/ https://www.nature.com/articles/s41586-019-19…

Git

最近、git(ギット)を使うようになりました。便利な仕組みで、多数のファイルの同期や、共同作業の場合に威力を発揮します。 https://ja.wikipedia.org/wiki/Git 現在のgitの責任者は日本人(濱野氏)で、gitはLinuxの開発のためにLinus Torvalds氏を中心に作られたもののようです。下記インタビューは仕事ぶりの一端が書かれていて面白かったです。Linuxが社会に与えた影響は大きいと思います。なぜ彼の名前がついているかが分かる気がしました。 https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20130418/47189…

世界の研究所 米国研究公正局

今週の世界の研究所は、アメリカのOffice of Research Integrity(米国研究公正局)をとりあげます。これは、研究所ではなく行政機関です。研究上の不正に対応する専門の政府機関で、ORIと略されます。アメリカでも1980年ころ、捏造、改竄、盗用などが相次ぎ、NIH (National Institute of Health 国立公衆衛生局)の下にOffice of Scientific Integrity という組織が作られ、それが他局と合併独立したものです。 最近の米国の事件が実名で公開されています。 https://ori.hhs.gov/case_summary ストー…