ベイズ主義と頻度主義 いつでも何度でも

数学・統計学の先生が奥深いことを書いていました。 http://watanabe-www.math.dis.titech.ac.jp/users/swatanab/nandodemo.html ・・・20世紀には存在しないものをめぐって不毛な論争が繰り広げられたそうですが、 お互いに深く傷つけあう以外には何も得られなかったと伝わっています。 (注)その争いは心の傷つけあいだけではなく、 論文の採録やヨーロッパやアメリカの統計学教室の人事にまで及んだそうです。 統計学のこの歴史は【存在しないものを探す】という課題に対するとき、 人間というものがどのような状態に陥りやすいかを表しています。今でも統…

最尤法

政府の「地震本部」に余震の確率計算法が出ていました。 https://www.jishin.go.jp/reports/research_report/aftershock/yoshin2_yoshin2/ Gutenberg-Richter則(大きな余震ほど数が少ない)や大森公式(時間とともに減る)が使われていて、パラメータの推定には「最尤法」が使われています。機械学習にも統計学用語をいろいろ使うので、7月末の講義のために英語を勉強しているところです。現代の統計学はちゃんと習った人は少ないかもしれませんが、知っておいた方がいいと思います。私が学生の時習ったものとはだいぶ違って面白くなっていま…

世界の研究所 PHIVOLCS (フィリピン)

今週の世界の研究所は、フィリピンの火山地震研究所(PHIVOLCS; Philippine Institute of Volcanology and Seismology)をとりあげます。 https://www.phivolcs.dost.gov.ph/ ここは、1991年のピナツボ火山の大噴火への対応で素晴らしい功績を残しました。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%8A%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%9C%E5%B1%B1 日本は、火山の担当がいろいろな省庁に分散しているのと、大学の研究者が減っているとのことで、ち…

武士道 鷹山公

今週の「武士道」は、5章 Benevolence, The Feeling of Distress (仁愛 - 不忍の心)から、今週出てきた上杉鷹山公を紹介した部分を紹介します。 How often both Confucius and Mencius repeat the highest requirement of a ruler of men to consist in benevolence. “…Virtue is the root, and wealth an outcome.”…Under the regime of feuda…

家畜の遺伝子改変による防疫

家畜の病気は、最近の豚コレラや口蹄疫などニュースになっているように、防除に多大な努力が必要です。家畜を遺伝子改変して感染に関与する受容体を子孫にわたって削除してしまおうという試みが実行されようとしています。 (下記、無料版は冒頭のみ) https://www.technologyreview.com/2020/12/11/1013176/crispr-pigs-prrs-cd163-genus/ 昨年ノーベル賞のCryspr-Cas9を用いるようです。HIV対策で人間の受精卵に対して同様の試みをした無茶な学者がいて問題になりましたが、それを受けて国際的に協議が行われ、生まれていない人間の疾病予…

飢饉対策冊子「かてもの」、ジャガイモききん

天保の飢饉は大被害をもたらしましたが、明るい話題もあります。米沢藩では、1802年に、「かてもの(糅物)」というパンフレットが配布(1575部)されました。これは、飢饉のときに使える山野の代用食糧の解説書で、天明の飢饉の後、名君と呼ばれる上杉鷹山公(1751-1822)と有能な家老・莅戸善政(のぞき よしまさ1735-1804)により作成されたものです。備蓄を含めた事前の対策のおかげで、天保の飢饉(1833-39)では米沢藩では餓死者がでなかったとのことです。また、「かてもの」は後の屯田兵も活用したそうです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8B%E3…

江戸時代の飢饉の原因

江戸時代には4回飢饉がありました。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%9B%9B%E5%A4%A7%E9%A3%A2%E9%A5%89 最後の天保の飢饉は1833年から39年までですから、185年前で、それほど昔ではありません(一世代30年として6世代前、おじいさんの、おじいさんの、さらにおじいさん(自分がおじいさんの年齢の場合。自分が子供の年齢で考える場合は、「おじいさん」が1回減ります))。人口も江戸期の国勢調査(享保の改革から6年ごと)の記録があり、1834の27,063,907人から1840年の25,918,412人…

世界の研究所 FAO 国連食料・農業機構

今週の世界の研究所は、国連食糧・農業機構(FAO; Food and Agriculture Organization of the United Nations)を取り上げます。行政だけでなく、傘下に研究機関を抱えています。世界人口が90億人を突破しており、食料の確保は重要です。本部はイタリアのローマにあります。職員は3400人です。「Fiat Panis 食料を!」という意味のラテン語がロゴになっています。 最近FAOは「昆虫食」を勧めています。下記動画はラオスの日常食の紹介で「閲覧注意」です。 https://www.youtube.com/watch?v=BogV5aVW5zE 下記の…

武士道 武士道の淵源(3) 陽明学

今週の「武士道」は、2章 Sources of Bushido (武士道の淵源)の続きで、仏教・神道ときて次は儒教です(これで2章おわり)。知識よりも行動を重視するのは特に陽明学の影響が大きく、それは新約聖書の教えとも通じるところがある、という流れで、武士道の成立は16世紀の戦国時代の混乱のため一人一人がよく考えたからではないか、と進んでいます。確かに、文明の適切な時期に混乱状態にあることが社会の精神的成熟のきっかけになる、というのは各地で見られます(以下省略部分でイタリアを例にとっています)。個人も苦しい時は成長につながる時期だと信じたいところです。 The writings of Conf…

生物選鉱

生物選鉱という技術があります。これは、特定の金属を代謝する細菌と鉱石を一緒にしておくと、特定の金属が溶解され溶液中に集められるというものです。プロセス速度は遅い(1年以上)ですが低濃度の鉱石では採算が取れるとのことで、フィンランドのニッケル鉱については実用化されています(Ni,Zn, Co, Cuを回収)。 https://en.wikipedia.org/wiki/Ahtium#Operations https://www.terrafame.com/production-methods.html ←写真があります youtubeは残念ながらフィンランド語しかありません。「terrafame…