世界の研究所 Amazon Conservation Team

今週は夏休み?ということで、旅行気分で「ギアナ高地」の珍しい地形の話をしましょう。行ってみたいところの一つですが、若い時でないと体力と健康がちょっと不安ですね。世界の研究所は、ギアナ高地も守備範囲に入れている国際非営利団体 Amazon Conservation Team をとりあげます。 https://www.amazonteam.org/ https://www.amazonteam.org/maps/guiana-shield/ webの会計報告(financial report)をみると、年間予算$7,819,728(2020年)なので、約10億円ですね。そのうちの79%を本来の目的…

制御工学と機械学習

ドローンや歩行するロボットなど、不安定な装置を安定に制御するにはどうすればよいか、というノウハウは長く研究されており、仕組みとしてはある程度完成していると理解しています。化学プラントの制御なども重要な応用例ですね。微分方程式や差分方程式を使う「制御理論」という体系があります。youtubeに手短な解説がありました。 https://www.youtube.com/watch?v=4pNQcqr-DT4 極やゼロ点、ロンスキアン、ラプラス変換など、応用数学で習う話が実際に使われるので楽しいですが、さらに 状態が変化してから一定時間の反応遅れを扱う「入力むだ時間」など、独特な数学が出てきて面白いで…

ロボット制御の共通プラットフォームと建機を操縦するロボット

ドローンはひっくり返って下向きになるとすぐに墜落してしまいます。したがって、高さや速度、姿勢を常に細かく制御する「倒立振子」のような測定・演算・フィードバックが必要です。ハードウェアが違うと慣性やトルクは異なるにしても、制御には共通点があるはずなので、共通プラットフォームでパラメータをチューニングできるようにするのは大きな省力化の意義があります。さて、関節を持つ人型ロボットも歩行や指の動作などに共通点があるはずですが、共通プラットフォームはないでしょうか? opensource robot で検索すると下記がありました。わかりやすい解説記事がないようですが、時間があるときに調査します。 htt…

世界の研究所 ドローン制御のオープンソース ArduPilot

今週の世界の研究所は、ソフトウェア系が2週連続になってしまいますが、ドローン制御ソフトのオープンソースである ArduPilot をとりあげます。 https://ardupilot.org/ これは日本在住のカナダ人がリーダーで、500人程度が参加しているようです。 https://drone-journal.impress.co.jp/docs/special/1182896.html 開発者のための塾もやっているようです。言語はc++、私も時間があれば受けてみたいです…が、だいぶ先になるでしょう。いろいろなものが制御できるみたいなので、非常に小さい潜水艦を作って「ミクロの決死圏」のような…

マキャベリ (7) 慕われるより恐れられる方がいいが、筋を通し、憎しみは受けるな

今週はちょっと山場でしたが、おかげさまで無事乗り切りました。今週のマキャベリは16章17章で、彼らしい皮肉の利いたことを言っています。多少翻案してまとめます。 ・君主は気前がよいよりもケチといわれる方がよい。いざというときに資金不足で仕事ができなかったり、重税を課さなければならないよりは、不人気を我慢して、支出を切り詰めて余裕を持つべきである。 ・慕われるのと恐れられるののどちらがよいか。両方が不可能ならば、恐れられる方が良い。統制が効かなくなって皆を不幸にするよりは、一罰百戒のほうがよい。それというのも、人間は恩知らずで移り気で、危険にあうと逃げるが転んでもただは起きないもの。利益があると味…

セレン含有酵素 グルタチオンペルオキシダーゼ

今週はSeleniumの話から始まりましたが、確かにセレンは水銀の解毒剤(antidote)として最近も論文が出ています。ただし、無機水銀と無機セレンを動物の体内で混ぜると不溶性になり毒性が無くなると言った初期の研究の後は、長期の微量暴露については、水銀濃度の高い環境下で仕事をしている人の血中セレン濃度が低い、という測定結果の他は推測が多いように見えます。セレンは人間にとって必須元素で、グルタチオンペルオキシダーゼという活性酸素を分解する酵素の活性部位です。これについては https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%…

水銀の応用、代替品

水銀は融点が-39℃、常温で液体の金属です。古くはトリチェリの真空を作るために使われ、その後比重が重い液体としていろいろの目的に使われました。最初の走査トンネル顕微鏡(STM)装置は資金潤沢なIBMの研究所(スイス)で除震のため水銀の上に浮かべられ、その結果原子像が得られてノーベル賞につながりました。同じことを長年やろうとした大学の先生(米国)は資金が足りずそこまでできなくて先を越されてしまったという話があります。できるとわかったあとはバネで吊るなど様々な安価な除震法が開発されましたが、最初にやるのはたいへんです。しかし水銀は蒸気圧が高いので、現在は開放系で使うことはほぼ禁止されています(空間…

水銀に関する水俣条約

話は飛びますが、2017年に「水銀に関する水俣条約」が発効し、加盟国は水銀使用量の削減や輸出入の規制が義務付けられています。2019年時点で109か国が締結しているそうです。これにより、研究で使用する水銀についても将来は廃棄に高額の費用を要するようになるから今のうちに処分するように、というような指示が来たりします。 ・鉱山からの水銀産出の禁止 ・小規模の金採掘における水銀使用の禁止(水銀で砂や石から金を溶かしだし、水銀を蒸発させることによって金を得る古い方法の禁止) ・蛍光灯などの使用を最小限にする規制 ・歯科用のアマルガムの使用は縮小するように、保険制度や教育をするという項目もあります。日本…

世界の研究所 Selenium プロジェクト

今週の世界の研究所は、Web applicationをテストするためのオープンソースソフトウェア Seleniumをとりあげます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/Selenium_(%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2) これはいろいろなプログラミング言語から呼び出せる便利なもので、私はwebから文字を探索して自動で情報をとってきたりする(web scraping)のに使っています。28人で開発しているようです。wikipediaに載っている、Seleniumを立ち上げた人たちが含まれていない…

マキャベリ 人に頼るな

今週来週の集中講義でバタバタしていたら、もう金曜日です。今週のマキャベリは13~15章から抜粋します。 ・(戦争で加勢を受けることを戒めて)他人の武具は背中からずり落ちるか、重荷になるか、体を締め付けらえるか、そのいずれかになる。 ・君主が自分の都市国家の地形を熟知するように努力すると、より防備に工夫を凝らすことができ、さらに新しい土地を調べるときにもコツをつかんでいるので手軽に応用が利くようになる。 ・心の鍛錬については、歴史書に親しみ、偉人の所業に思いを致し、その勝敗の理を究明して勝つ方法に従うようにするべきである。さらに、優れた人が模範とした事柄を自ら実行しなければならない。 ・鍛錬を積…