世界の研究所 Ovshinskyの「自宅研究所」

今週の世界の研究所は、今は存在していないUnited Solar Ovonic社を取り上げます。この会社は、発明家Stanford R. Ovshinsky(1922-2012)が作った会社です。この人は大学に行っていませんが、固体素子分野で既存の常識にとらわれない重要な発明をいくつもしています。 https://www.smithsonianmag.com/innovation/stanford-ovshinsky-might-be-the-most-prolific-inventor-youve-never-heard-of-180970276/ https://en.wikipedia.…

半導体加工技術の最先端

昨日の東京エレクトロンの投資家用資料(pdf注意)から面白いところを1つ解説します。 https://www.tel.co.jp/ir/policy/mplan/cms-file/IR_Day_20211012_J.pdf の76枚目~90枚目が現在の半導体微細加工の最先端だと思います。 GAA(Gate-All-Around)トランジスタは、flash memoryだけではなく論理回路にも使われるようですが論理回路では電子の高速移動が必要なので、結晶性が良くなければならないため、シリコン基板上にエピタキシャル成長したSi/SiGe超格子を作っています。それぞれの厚みは数nmでそれは蒸着源を切…

現在のflash memoryの構造

昨日の円筒型のトランジスタはGate-All-Around型と呼び、GAA-FETというそうです。同心円筒状にフローティングゲートがあるのが現在のフラッシュメモリの1セルで、昨日のように電荷の量でトランジスタのon/off閾値を動かすことにより1セル当たり3ビットの情報を記憶できるというものです。 ベルギーの研究機関 IMECのレポートが分かりやすかったです。 https://www.imec-int.com/en/articles/role-3d-nand-flash-and-fefet-data-storage-roadmap FETのチャネル(半導体)は多結晶シリコンを多分SiH4からC…

flash memory

頓挫(とんざ)したIntel Optaneは結局フラッシュメモリに勝てなかったわけです。フラッシュメモリについて調べましょう。 フラッシュメモリは東芝で発明されました。 https://www.youtube.com/watch?v=r2KaVfSH884 仕組みも上記で説明されていますね。金属が薄い絶縁膜にくるまれている構造です。読み出しのときは電荷の出し入れが起こらず、書き込み(1または0)の時に10V程度の高電圧をかけるとトンネル効果で絶縁物を介して電荷が出入りできることを利用しています。 アモルファスのシリコンが金属としてふるまい、取り巻くシリコン酸化物がアモルファスでありながら非常に…

Intel Optane メモリの中身

Intel のOptaneはいわゆる抵抗変化型メモリ ReRAMを使うというのが7年前の発表①②を見たときの私の理解でしたが、下記③wikipediaと④の分解レポートには相変化メモリPCMと書いてありますね。相変化メモリについては来週説明します。 ① https://www.youtube.com/watch?v=Wgk4U4qVpNY&t=2s ② https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/714157.html ③ https://ja.wikipedia.org/wiki/3D_XPoint ④ https://pc.…

世界の研究所 Intel Labs と Intelの Optane メモリ撤退

今週の世界の研究所は、米国Intel社のIntel Labsです。 https://www.intel.com/content/www/us/en/research/overview.html 下記116人のっているのは役付きの人でしょうか。ソフトウェアだけでなく回路の人もいます。日本人はいないですね。 https://www.intel.com/content/www/us/en/research/researchers/overview.html Intelは最近コンパイラをみんなに無料公開してくれてたいへん助かっています(これまではバージョンアップのたびに10万円くらいずつ必要で面倒でし…

マキャベリ (10) 運命の変転に自力で備えよ

今週のマキャベリ「君主論」は24章~26章です。最終章26章は、フィレンツェの新領主ロレンツォ・デ・メディチへの提言です。外国勢力の介入で混乱しているイタリアを取り戻してほしい、そのためにはこれまで述べてきたように軍備を鍛え、人心を引き付けるべきである、と言っています。結局メディチ家の顧問として1516年から10年間雇われたのですが、1527年5月にスペイン=神聖ローマ帝国(カール5世)のローマ侵攻に伴う政変でメディチ家がフィレンツェから追放されるとき一緒に追放されてしまい、失意のうちに病気になり1か月後に死去しました(58才)。それを知って下記を読むと感じるものがあります。 ・人間というもの…

シェールガスはなぜ流行らなくなったか:温室効果ガスであるメタンが漏れるため?

米国のシェールガス(シェールオイル)開発はバイデン政権になってからぐっと下火になったように見えます。理由は私の理解では、民主党政権は環境問題に敏感で、界面活性剤を含む高圧水を地中に入れるのに抵抗があるようです。昨日の60minという番組( youtubeで2010年の録画を公開)では、水道水のトラブルや地震について言及がありました。去年の大統領選挙の時のテレビ討論でやりあっていました。 https://www.youtube.com/watch?v=f8isArC7hCg シェールガスに力を入れている石油掘削業者Halliburton社の会長が共和党ブッシュ政権のの副大統領だった関連もあるかも…

シェールガスの採掘

今日はシェールガス採掘の実際です。仕組みの動画は下記です。 https://www.youtube.com/watch?v=CM8Lh7SAm6A 実際の設備や住民・関係者への取材が下記です(2010年の報道)。当時の副大統領が元会長だったHalliburton社についての言及など、面白いです。 https://www.youtube.com/watch?v=Vr6b-WzIcyo 4分くらいに頁岩の実物が見えます。 Halliburton社は世界のシェールガス採掘のほとんどすべてにかかわっている、とwikipedia には書かれています。 https://en.wikipedia.org/w…

シェールガスは石の微小空隙に入っている

今週はシェールガスについて調べています。シェール(頁岩 けつがん)に炭化水素系のガスや石油が入っているということですが、岩石は多孔質なのでしょうか?下記は数年前の論文ですが、3次元画像が出ています。採掘する深さや場所によりますが、12-15%の空隙率ということで、思ったより隙間が多いですね。 https://www.nature.com/articles/s41598-019-56885-y 調べても岩石の種類と空隙率の関係の表が見つからなくて不思議に思いましたが、下記によると岩石ができる条件でだいぶ変わるためのようです。特に気体が発生しながら冷える火成岩などは差が大きそうです。 http:/…