超潤滑

現代ではナノスケールで物質を制御することができるようになったので、摩擦についても面白いことが実現するようになっています。 昨日のAmonton-Coulombの法則の原因は、2つの物質が接触するときに摩擦は起こり、拡大して見ると凸凹の表面の山同士が擦りあうときにくっついて引きはがすときに力が必要なのが摩擦力の源泉であるということでした。 完全に平らな表面が2つ接触したとして、その間に働く力は何でしょうか?ファンデルワールス力、クーロン力、金属結合力、共有結合力などいろいろありますが、平行に動かすときに働く力はクーロン力と共有結合力が大きいです。それ以外は、平行に動いてもエネルギーがほとんど変わ…

Amonton-Coulombの摩擦の法則

摩擦力が垂直抗力に比例する、というのはAmonton-Coulombの法則と言います。Coulombは電荷のクーロンの法則の発見者ですが、摩擦の法則も彼が定式化しています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%91%A9%E6%93%A6 静止摩擦係数と動摩擦係数が異なることは流体力学や数学で有名なEuler (オイラー)が理論的考察から見つけました。 なぜそうなるか、というのがトライボロジーでは重要な話です。 (1)微小な凸凹(昨日英単語として紹介したasperity)の先端部だけが接触して摩擦を生んでいて、圧力が増えると接触面積が比例して増える。 (2)摩擦…

世界の研究所 機械系の学会IMechE, IOM3 とトライボロジー

トライボロジーという学問体系があります。摩擦や潤滑を扱う学問で、実用上たいへん重要です。今週末、一般向けの講義をしないといけないので例によって付け焼刃の勉強をしています。摩擦において、分子原子レベルで何が起こるのか、例えば高分子なら分子がちぎれるのか、潤滑剤がダメになるときは何が起こるのか、マッチを擦って火がつくのは摩擦熱の効果だけか、など化学的にも面白い話題がありそうです。 わかりやすい歴史のまとめを見つけました。 https://www.machinerylubrication.com/Read/32382/comprehensive-exploration-of-tribology この…

五輪書(3) 地の巻2

金曜日の読書「五輪書」は「地の巻」第2回目です。英語で見ていきましょう。 “If you succeed in clearly discerning the general principle of the art of the sword and in this manner easily defeat one person, you can defeat any opponent. The mind is the same whether it is a matter of defeating one person or a thousand or ten thousand e…

仮想旅行の現状

年を取ってくると実際に出かけるのはおっくうになってきます。仮想空間での旅行はどうなっているか調べてみました。検索で目立つサイトは下記です。 youtubeがマウスで動かせるのは知りませんでした。 https://www.youtube.com/watch?v=dWa5hJGpTN4 これは下記の会社が作っています。撮影法やwebでの実現方法について、たいへん気になります。特に乗り物酔いの感覚はなく、よくできています。 https://www.airpano.com 誰が作っているかが英語版には書いていなかったですが、中国語版にはありました。ロシアの人たちです。応用数学専攻の技術者とカメラマンの…

観光で潤っている国

観光で潤っている国の代表はギリシャでしょう。GDPの18%が観光収入だそうです。一人当たりGDPが20000USDなので、3600USD, 年間一人54万円、というとかなりな収入ですね。 https://www.statista.com/statistics/644573/travel-tourism-total-gdp-contribution-greece/ https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/greece/data.html#section4 ギリシャは旧跡が多く観光資源となりますが、広報の努力もしているようです。 https://mintour.gov.…

日本のインバウンド収入はGDPの1%弱

いわゆるインバウンドは観光庁(国土交通省)が統計を取っています。昨年度の訪日外国人が使ったお金は5.3兆円だそうです。これは日本のGDP 591兆円の1%弱です。 https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001718104.pdf 昨日のUN tourismで世界の統計を見ましょう。 https://www.unwto.org/news/international-tourism-to-reach-pre-pandemic-levels-in-2024 2023年の国をまたいだ旅行者は13億人。使ったお金は1.4trillio…

世界の研究所:国連世界観光機構 (UN Tourism, UN World Tourism Organization)

なにもかも放り出して一人旅に出たいと思うこともありますが、そうもいきません。先週、出張の空港で旅行に出かける学生と会ってうらやましいと思いました。旅をするならば若いうち、というのはよく言ったものです。若い時はしがらみも少ないですし、新しい体験をしたときの感動とその後の影響が違います。 さて、最近我々の町にはたくさんのインバウンド旅行者が来ていますが、彼らは何を見てやってくるのでしょうか。 世界の研究所は、国連機関のUN World Tourism Organization (UNWTO) をとりあげます。今年の1月23日に”UN Tourism”に名前を変えたようです。…

五輪書(2) 地の巻1

金曜日の読書「五輪書」は5つの「巻」からなっています。地、水、火、風、空です。(陰陽)五行説は中国古代の学説で万物は木、火、土、金、水の「元素」でできているというもので、「五輪書」の5つ巻の名前とは違います。なぜこの5つにしたのか、知りたいですね。地の巻に理由が書いてあります。  地の巻 まず兵法の地盤としての考え方を説明する。  水の巻 水にならって心を自在な形にすることの重要性と方法を説明する。  火の巻 戦い方を詳説する。  風の巻 「昔風」、「今風」、「家風」などの言葉からとった。世間の兵法・流派を説明する。  空の巻 最終的には道理にもとらわれず、自然と自由があって不思議な力でふさわ…

Intel4004からMead-ConwayのVLSI教育革命へ

半導体エンジニアを養成する教育で我々に求められている仕事は、下記の有名な教科書のようなものを作ることかもしれません。 https://en.wikipedia.org/wiki/Mead%E2%80%93Conway_VLSI_chip_design_revolution 昨日のyoutuberが解説を出しています。これは集積回路の歴史を知りたい人は絶対見たほうがいいです。 https://www.youtube.com/watch?v=XgbxFVyKMMo Carver Mead はCaltechの教授で、Lynn ConwayはXeroxのVLSIプロジェクトリーダーでした。 最初のCP…