世界の研究所 機械系の学会IMechE, IOM3 とトライボロジー

トライボロジーという学問体系があります。摩擦や潤滑を扱う学問で、実用上たいへん重要です。今週末、一般向けの講義をしないといけないので例によって付け焼刃の勉強をしています。摩擦において、分子原子レベルで何が起こるのか、例えば高分子なら分子がちぎれるのか、潤滑剤がダメになるときは何が起こるのか、マッチを擦って火がつくのは摩擦熱の効果だけか、など化学的にも面白い話題がありそうです。
わかりやすい歴史のまとめを見つけました。
https://www.machinerylubrication.com/Read/32382/comprehensive-exploration-of-tribology
この記事を作っているNoriaという会社は面白い業態です。1997年設立で、潤滑の現場コンサルティングや潤滑剤の分析、関連する教育をしているようです。たしかに需要はあると思いますが、ベアリングや潤滑油のメーカーの分析部隊と競合するでしょう。
20人くらいの顔写真が出ています。従業員はこれだけかもしれませんが、学会のスポンサーになったり世界中に顧客がいたりして、興味深いです。電子回路設計のプロも本を書いて教育しながら顧客を呼び込んでいるようで、ノウハウを売るというビジネスはいろいろな技術に対して有効ですね。

About


tribologyという言葉を作ったのは英国の Dr. H. Peter Jost(1921-2016)という人だそうです。この人は機械工の見習いから始めたたたき上げで、ずっと産業界にいたそうですが、1966年に英国のGDPの1.1-1.4%が摩擦で失われているという “Jost Report” を出して摩擦・潤滑の重要性を知らしめた功績があります。
https://en.wikipedia.org/wiki/Peter_Jost
産業革命発祥地の英国は機械や金属材料の学会が古くから成立していて、例えばそれらが統合されたIMechE(Institution of Mechanical Engineers)やIOM3(Institute of Materials, Minerals and Mining)は学会ですが、企業の人がたくさんいるようです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Institution_of_Mechanical_Engineers
https://en.wikipedia.org/wiki/Institute_of_Materials,_Minerals_and_Mining
いろいろな国の国立研究所に摩擦・潤滑グループはあり、工業系の大学には講座があります。ナノテクを使って摩擦がなくなるような面白い結果も報告されています。
https://www.youtube.com/watch?v=i93peRheUSc

英語は https://www.machinerylubrication.com/Read/32382/comprehensive-exploration-of-tribology から。
a comprehensive exploration of tribology トライボロジーの総合的探究
unveiling the histrical evolution (veil は「ベール」です) 歴史的進化のベールをはがす
wear 着る、のほかに 摩耗 という意味があります。
laws of friction 摩擦の法則
“In this article, we delve into the intriguing history of tribology”
delve into デるヴ 詮索(せんさく)する、探究する level 11
intriguing イント「リー」ギング 好奇心をそそる、面白い level 9
“The Egyptians used animal fats and vegetable oils to reduce friction in sledges and chariot wheels”
animal fats 動物油脂
sledge 荷物用そり level 14
chariot チャリオット 軽馬車、古代の二輪戦車 level 9
asperity 表面の不規則で微小なごつごつ microscopic irregularities (業界用語です)
The Industrial Revolution 産業革命
The emergence of tribology as discipline 学問体系としてのトライボロジーの発現
invention of the ball bearing ボールベアリングの発明(1794)

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