バラ科の遺伝子データベース

下記のバラ科の遺伝子データベースは、米国の大学の一人の研究者が中心となってこれまで19年間運営しているようです。学者として重要な仕事ですね。 https://www.rosaceae.org/ 私も素人なので、いろいろ調べながら見ています。バラ科(Rosaceae)の中のバラ属(Rosa)の遺伝子の倍数性(polyploid)は3倍体か4倍体、染色体は7本です。ゲノムの大きさ600Mbでbはヌクレオチド(塩基)の数、Mは100万なので、6億のヌクレオチドからなるということですね。倍数性、というのは植物がゲノムの最小必要数の何倍かを持つことがあるという不思議な性質のことです。昔習ったのは、アブラ…

バラ科の種類はなぜ多いか?

今日はバラ科のトリビアです。なぜ種類が多いか(2500種)?は、下記に答が書いてあります。  花弁5枚  雄蕊(おしべ)は10本または多数  葉は単葉または複葉で根元に托葉(葉の根元につく小さい葉やとげ状のもの)がある。 で定義されるので、種類が多いのは理解できるのではないでしょうか。 https://withplace.co.jp/zoo/flower-cherryblossoms_plant.html https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%A9%E7%A7%91 いろいろな科の花のweb写真集もあります。 https://flower.…

世界の研究所 David Austin Roses (英国)

昨日、植物園を見てきました。バラがたくさん咲いていましたが、品種には育種者と年号が書いてあり、かなりの割合で”David Austin”という人が登場しました。調べてみると、イギリスの有名な育種家で、10代で趣味としてバラの育種をはじめ、世界展開に成功して現在は2代目が継いでいるようです。日本にも支店があって、webもあります。本拠地にバラ園があるようです。行ってみたいですね。 https://www.davidaustinroses.com/pages/plant-centre-and-gardens 下記が日本版カタログです。苗木を各国の拠点に送って育ててから売ると…

Also Sprach Zarathustra(9)永劫回帰とタイムマシンSF

先週金曜日はお休みしましたが、Zarathustraを続けましょう。今週は以前予告したように趣向を変えて、永劫回帰をモチーフにしたSFを紹介します。タイムマシンを扱ったものは必ずループの問題が出てきます。確証はありませんが、ニーチェを意識しているのではないか、という描写に気づくことがあります。確認する時間がないので、下記はかなりうろ覚えです。 ・Isaac Asimov: The end of eternity 永遠の終わり 1955 タイムマシンの発明によって、タイムパトロールが発足し、悲惨な現象が起こらないように歴史の流れが制御されるが、一般の人はそれを知らない。結局、未来にわたって歴史が…

意識のハードウェアのしっぽ

今週取り上げている論文は、「意識」のハードウェアの実体のしっぽを捕まえた画期的なものだと思いますが、米国でもメディアは少ししか取り上げていません。日本のメディアではまだ見ていません。個人的には、哲学や心理学が理系の実験科学に変わる流れの1つのマイルストーンとして位置づけられると考えます。 私は購読しているMIT technology reviewで見つけましたが、調べるとNew York Timesがプレスリリース(5月1日)の当日とりあげています。これを転載した地方紙がいくつかあります。しばらく前に金曜日の読書で読んでいた”You are not listening”…

fMRIはまだ小部屋サイズ

今週紹介している論文をもう少し読んでいきましょう。 https://www.nature.com/articles/s41593-023-01304-9 脳の情報処理単位であるニューロン(神経細胞)は1000入力・1出力のプロセッサで、信号の強弱を0.1Vの電気パルスの頻度として扱います。ヒトの大脳皮質には160億個のニューロンがあるとのことです。 https://www.riken.jp/press/2014/20141121_1/index.html ネットワークを組んでいるので、1個のニューロンの大きさの定義は難しそうですが、1mm^3分解能で血流の時間変化を解析することで思考が読めると…

fMRIで意識を読む仕組み

昨日紹介した記事の元論文は、https://www.nature.com/articles/s41593-023-01304-9 です。 functional MRI (fMRI)の信号を機械学習させています。fMRIは、脳卒中などの診断に使うMRI(核磁気共鳴イメージング)を脳の働きの3次元画像化に用いるものです。被験者に文章を聞かせながらfMRIで脳を測定し、脳の各所の働き(血流の活発さを1mm分解能で測定した、と考えてください)の時間変化を測定しました。その結果を機械学習、すなわち、もとの文章と関連の強い信号の時間的空間的組み合わせを特定する訓練をプログラムが行い、訓練結果(=コンピュー…

世界の研究所 Department of Neuroscience, The University of Texas at Austin

連休も終わりました。元気出していきましょう!私は今回は遠くにはいきませんでしたが、コインランドリーで一日中布団の洗濯をする間にjavascriptをだいぶ読めるようになったのが収穫です。やりたいことができるようになるにはまだ先が長いですが… 今週の世界の研究所は、テキサス大学オースティン校の理学部神経科学科 Department of Neuroscience, Faculty of Natural Sciences, The University of Texas at Austin を取り上げます。教員が39人いるので、学科としては普通の大きさですね。神経科学の研究者を集めて教育もしている…

ガイガーカウンターと雪崩現象

高電界をかけた物質を励起した時に起こる雪崩現象は、放射線検出のガイガーカウンターでも使われています。この場合は、希薄気体中の放電に伴う雪崩現象が使われています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83%BC%EF%BC%9D%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%BC%E8%A8%88%E6%95%B0%E7%AE%A1 放射線が分子(希ガスなどが入っている)を励起して陽イオンと電子ができ、それが電界で加速されて移動するうちに他の分子に衝突します。そのときに運動エネルギーが十分高…

HARP管の雪崩現象による増幅

HARP管の光電変換膜(HARP膜)は、ブラウン管の蛍光面に対応する部分に厚さ15ミクロン程度のアモルファスSe(セレン)膜が蒸着されています。メッシュ電極を用いて高電界(15ミクロン厚に1500Vなので1億V/mですね)をかけることにより、電子と正孔を加速し、加速された電子や正孔が価電子に衝突して励起することにより電子と正孔が倍々ゲームで増えていく「雪崩(なだれ)増幅(avalanche アバランシェ増幅ともいう)」を起こさせて信号電流を増倍させます。この増倍が超高感度の秘訣です。電子は外壁側の電極から信号電流として流れ、正孔は電子ビームによって中和されます。HARP(ハープ)は high-…