fMRIで意識を読む仕組み

昨日紹介した記事の元論文は、https://www.nature.com/articles/s41593-023-01304-9 です。
functional MRI (fMRI)の信号を機械学習させています。fMRIは、脳卒中などの診断に使うMRI(核磁気共鳴イメージング)を脳の働きの3次元画像化に用いるものです。被験者に文章を聞かせながらfMRIで脳を測定し、脳の各所の働き(血流の活発さを1mm分解能で測定した、と考えてください)の時間変化を測定しました。その結果を機械学習、すなわち、もとの文章と関連の強い信号の時間的空間的組み合わせを特定する訓練をプログラムが行い、訓練結果(=コンピュータ上で動くアプリと思ってよい)を使ってfMRI測定から被験者が読んでいる文章を推測したら合っていた、という結果です。面白いのは、文章が完全に一致しているわけではなく、意味があっているということで、発声などの言語化するところよりも少し上流のイメージの流れを捕まえているというところです。被験者は9人の学生です。それぞれの被験者に訓練用に5-15分の文章を82個聞かせた、ということなので、一人当たり10-20時間です。1時間あたり25ドルの謝金を払ったとのことなので、500ドル、7万円くらいのアルバイトですね。1mmの粗い解像度でもわかるのは驚きです。重要な位置(fMRIでは、ピクセルではなくvoxcelというようです)は1000か所あまりだったとのこと。重要位置の特定は一人ひとりについて行う必要があるようです(頭の形が違うから当たり前ですが、言語野の機能部位も個人差があるとのこと)。重要位置を特定したらあとは共通なのかどうか、意識の実態がどこまで共通なのか、母語や文化背景による違いは、など興味がそそられますね。今回のfMRIの装置の詳細も面白そうです。この論文に書いていないことも含め、明日以降みていきましょう。

英語は、上記論文から単語を拾ってみます。
a subject 被験者
a decoder 解読器
“Given novel brain recordings, this decoder generates intelligible word sequences that recover the meaning of perceived speech, imagined speech and even silent videos, demonstrating that a single decoder can be applied to a range of tasks.”
Given: こういう文頭の過去分詞は、仮定を表します。 =If novel brain recordings are given,
intelligible イン「テ」りジブる 理解できる、意味のある
percieve パ「スィ」ーヴ 知覚する
imagined speech 被験者は1分間のお話を5つ作って声に出さずに頭の中で語り、それらをあとで声に出して報告したとのことです。なので、「頭の中だけで語ったこと」くらいが訳でしょうか。
, demonstrating… は論文でよく使います。分詞構文 =, which demonstrates … ~を示している。
“Our findings demonstrate the viability of non-invasive language brain–computer interfaces.”
viability ヴァイア「ビ」りティ 1.実行可能性 2.生存率 viability analysis 生存率解析
例 You can see the short-term viability of a company by analyzing its cash flow statements. キャッシュフロー計算書を解析することで企業の短期的な実行力/生存率(?)がわかる。 weblioは「実行力」としています。
 

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