意識のハードウェアのしっぽ

今週取り上げている論文は、「意識」のハードウェアの実体のしっぽを捕まえた画期的なものだと思いますが、米国でもメディアは少ししか取り上げていません。日本のメディアではまだ見ていません。個人的には、哲学や心理学が理系の実験科学に変わる流れの1つのマイルストーンとして位置づけられると考えます。
私は購読しているMIT technology reviewで見つけましたが、調べるとNew York Timesがプレスリリース(5月1日)の当日とりあげています。これを転載した地方紙がいくつかあります。しばらく前に金曜日の読書で読んでいた”You are not listening”もNew York Timesの記者の本でした。この新聞はレベルが高いですね。
https://www.nytimes.com/2023/05/01/science/ai-speech-language.html
この記事は専門家に取材しながら論文を上手に解説していると思います。特に、この方法で意識を読まれないように他のことを考えるのが有効であるということも強調されています。社会的には、勝手に思考を読まれないというのが重要なのでしょうね。確かに、究極のプライバシーと言えるでしょう。
論文のsupplementary dataが公開されていますが、被験者ごとに学習結果が作られているので、現段階では一人ひとりに対して専用の意識解読アプリを機械学習で作る必要があるということのようです。意識のハードウェアにヒトとしての共通項があるかどうか、母語によって意識は違うのかどうか、などは被験者を増やせば今後解析できるでしょう。機械学習の結果を解釈する、というのは現段階でも難しいですが、ヒトの意識を扱うようになると、どのように結果をモデル化するか、が面白い研究課題になるでしょう。ユング(Jung)心理学の言う元型(げんけい)/アーキタイプ(Great mother, Shadow, Anima/amimus, Trickster, Wise old man)などがハードウェアの解析から出てくるかどうか、禅の「空」が出てくるかどうかなど、とても興味があります。時間があったら公開データを使って自分で手を突っ込んでみたいくらいです。

英語は上記から拾ってみます。
psychology 心理学
trickster ペテン師ですが、心理学ではちょっと違うようです。ピーターパンがその例とされています。
“Peter Pan is a classic example of the trickster archetype, a mischievous and playful character who refuses to grow up. Peter uses his cunning to outsmart his enemies, and he often plays pranks on his friends, the Lost Boys”  https://storygrid.com/trickster-archetype/
mischievous いたずらな、わんぱくな level 7
playful 遊び好きな、おどけた level 8
refuses to grow up 成長を拒否する
cunning カンニング、ズルをする、狡猾な、悪賢い
outsmart 出し抜く 裏をかく 「ア」ウトスマート
play pranks 悪ふざけをする(害を与えるつもりがない) level 10
Planck’s constant プランク定数  エルとアールを間違えないように!
archetype アーキタイプ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E5%9E%8B
https://www.earthship-c.com/jung-psychology/archetype/
“Participants were also able to shield their internal monologues, throwing off the decoder by thinking of other things.”
participants: 参加者
internal monologues 心の内部の独り言、独白、一人芝居 「モ」ノローグ level 9
throw off 投げ捨てる
think of ~ について考える
“Moreover, training the model is a long, tedious process, and to be effective it must be done on individuals.” 加えて、モデルの学習は長く退屈な過程で、上手く働くためには個人ごとに行う必要がある。
tedious 「ティ」ーディアス 長く退屈な、あきあきする level 6 割とよく使います
an individual 個人
“When the researchers tried to use a decoder trained on one person to read the brain activity of another, it failed, suggesting that every brain has unique ways of representing meaning.” ある個人で訓練した1つの解読器をほかの人の脳活動の解析に使おうとしたらダメだった。これは、意味を表現する方法はそれぞれの脳で個別だということを示唆している。

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