高収量小麦品種「奇跡の種」と農林10号

高収量小麦の「奇跡の種」はメキシコで開発された品種ですが、その一代前は日本産の農林10号です。この開発者(稲塚権次郎氏)の話は2015年に映画になりました。あまり知られていない偉人(unsung hero)の一人だと思います。こういう先人がたくさんいることを考えると、襟を正して精一杯働かなければならないと思います。 https://www.norinten.com/ https://www.mx.emb-japan.go.jp/files/000255144.pdf https://blog.goo.ne.jp/bbsuesanga/e/044fa5db5003520823078449052b…

緑の革命

「緑の革命」は私が子供のときにはよく知られた話でしたが、今は忘れられているように思います。品種改良と化学肥料(特に窒素)の大量投入を中心とする事業でした。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%91%E3%81%AE%E9%9D%A9%E5%91%BD 上記のグラフによるとメキシコの小麦生産量は1950年から1980年の間に4倍になっていますね。 現在アフリカで進行中とのことで、難航していますが2000年代から少しずつ成果がでているそうです。 品種改良により、 ・背丈が低い(矮性、茎に行く栄養が少なくて済む、倒れにくい)、 ・大量の肥料に耐えられる、 ・受光…

世界の研究所:メキシコのCIMMYT(国際トウモロコシ・小麦改良センター)

トウモロコシがおいしい季節は終わりつつありますが、北海道のトウモロコシはスーパーに売っているものも甘くて驚くほどおいしいです。今週の世界の研究所は、トウモロコシと小麦の品種改良を研究するメキシコのCIMMYT (Centro Internacional de Majoramiento de Maiz y Trigo)をとりあげます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A0%E3…

西行(1) 本の紹介

金曜日の読書は、今週から西行(1118-1190)の解説書”Awesome Nightfall by William R. LaFleur, Wisdom book, 2012 (Kindle版)”を読みましょう。この解説者・翻訳者は上智大学やペンシルベニア大等で教えた米国の日本文化の教授です。私見ですが、文化には言語が大きな割合を占めていて、建物(遺跡)をいくら見ていても、その文化独特の感じ方や考え方はわからないと思います。その意味で、自分が若い時に受けた教育は悪くなかったと考えており、若い人たちにも伝えたいと思っています。古文の代わりにプログラミングや英会話に時間を…

ヒスタミン受容体には4種類ある

昨日出てきた好酸球(eosinophil)に関する最近の(10年前ですが)レビューは下記です。Fig.2を見るといかに多くの過程が絡み合っているかがわかります。 https://www.nature.com/articles/nri3341 血液中に放出される様々な伝達物質がかかわっています。例えば小型のたんぱく質である「ケモカイン」は50種類以上あります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%A2%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%B3 花粉症の薬でアレグラにはお世話になっていますが、これはヒスタミン受容体に結合してブロッ…

ヒスタミンと好酸球

アレルギー関係でよく知られている低分子はヒスタミン(C5H9N3)でしょう。これはI型アレルギーで登場する即効性の物質で、蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、血管透過性の亢進(鼻水)、平滑筋収縮(気道でおこると喘息、腸で起こると腹痛・下痢)などを誘発します。 https://en.wikipedia.org/wiki/Histamine ヒスタミンは抗原が体内に侵入した時にリンパ球の一種であるB細胞が分化した形質細胞からつくられるIgE(免疫グロブリンE)が抗原を伴って組織中のマスト細胞や血液中の好塩基球に結合した時に放出されます。同時に他の信号伝達物質も放出され、さまざまなアレルギー反応を誘発しま…

アレルギーには4種類ある

免疫の教科書でおすすめは、「休み時間の免疫学」斎藤紀先著・講談社です。定期的に情報が更新されていて、現在2018年の第3版です。 厚生労働省の下記解説もわかりやすい読み物です(pdf注意) https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-17.pdf アレルギー反応には4種類あります(GellとCoombsによる(1963年))。 I型 即時型アレルギー、アナフィラキシー型:抗原が来た直後の一連の反応とそれ以降の遅延型反応 II型 細胞障害型:免疫反応で生じた不要な抗体が免疫反応を誘発して細胞が障害される I…

世界の研究所:World Allergy Organizaiton 世界アレルギー機構

先日、古い木材の近くで長時間過ごしていたら呼吸器のアレルギー反応が起きました。検索してみたところ、過敏性肺(臓)炎という病気があることを知りました。これは、古い木材に生えるカビ(trichosporonという白カビ(というより糸状になる酵母?)、目にはあまり見えないようです)の胞子(無性生殖で、分節型分生子というようですが、英語版はsporeと書いています)に対するアレルギーだそうで、多くの患者さんがいるそうです(干し草の菌や鳥の糞に反応する場合もある)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%82%B9%E3…

The Door into Summer (12) 大団円

金曜日の「夏への扉」は11章・12章で大団円となります。31年間冷凍睡眠で過ごした後、タイムマシンで31年前に戻ってから親しい少女リッキーを探して10年後に冷凍睡眠に入るように促します(「そうしたらお嫁さんにしてくれる?」「もちろん」)。それから31年後の2001年に体験した状況(ライバル社のロボットが市場を制覇しており、その特許は自分の名前で登録されている)になるようにロボットの改良、特許取得、ライバル会社設立などを大車輪で行った後、冷凍睡眠に入ります。ここで主人公が2人、同時に冷凍睡眠に入っているはずです。冷凍睡眠から覚めた後、1人はタイムマシンで過去に戻り、もう一人はリッキーの冷凍睡眠の…

強弾性は合金と有機低分子結晶で見つかっている

超弾性(擬弾性)や形状記憶効果は、応力や温度によって結晶構造が不連続的にスイッチする場合に起こる現象で、まとめて「強弾性 ferroelasticity」と呼ばれます。「強 ferro」は強磁性や強誘電性と同じく、温度・圧力等に応じて自発的に対称性の変化が起こることを意味しています(ちなみに、中国語ではferroは鉄と訳すので、この言葉は「鉄弾性」になると思います)。金属結合は比較的等方的なので結晶構造に切り替え可能な多様性が生じやすいですが、共有結合は化学結合の方向性があるので強弾性向きではありません。分子結晶の分子間に働く分子間相互作用は、その複雑さとファンデルワールス力に方向依存性が少な…