緑の革命

「緑の革命」は私が子供のときにはよく知られた話でしたが、今は忘れられているように思います。品種改良と化学肥料(特に窒素)の大量投入を中心とする事業でした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%91%E3%81%AE%E9%9D%A9%E5%91%BD
上記のグラフによるとメキシコの小麦生産量は1950年から1980年の間に4倍になっていますね。
現在アフリカで進行中とのことで、難航していますが2000年代から少しずつ成果がでているそうです。
品種改良により、
・背丈が低い(矮性、茎に行く栄養が少なくて済む、倒れにくい)、
・大量の肥料に耐えられる、
・受光量を増やす葉の形(直立葉)、
・花芽ができるときに光に依存しない(短期間で生育)
等が実現されています。この方向での品種改良の活動を1944年にメキシコで始めたのがBorlaug博士(1914-2009)で、経緯はwikipedia英語版に詳しいです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Norman_Borlaug
大学の講義に触発され植物の病気についての研究でphDをとったあとDuPontで防カビ剤や殺虫剤の開発をしようとしましたが、太平洋戦争が勃発し軍用研究として離島の陣地に食料を運ぶコンテナの接着剤を開発、終戦を待たずして米政府がメキシコを味方につけるために設立した農業研究所の研究室の主宰として家族を置いて単身メキシコに渡ります。メキシコに高地と低地があることを使って2か所で1年に2回育種を行う方法を開発し、10年後の1953年にGHQが日本から接収した背丈が短い農林10号とアメリカのBrevor 14を掛け合わせて画期的な新品種を生み出し「奇跡の種」となります。彼のチームは6000の品種を作り出し試したそうです。最近の遺伝子工学で早くなったとはいえ、作物は育てないと性質を確認できないので現在でも時間はかかる仕事でしょう。Borlaug博士は農薬、肥料、遺伝子改変作物等の新技術を常に擁護する立場だったようです。
米に関しては、当初フィリピンで開発された矮性のIR8という品種が使われ、現在では中国で開発されたハイブリッド米(雑種第一代)が高収量品種として使われているようですが、日本のハイブリッド米は「みつひかり」だけのようです。米についてはまた別の機会にしましょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%81%E9%9A%86%E5%B9%B3
https://www.mc-croplifesolutions.com/products/recommend/mitsuhikari/2/

英語は https://en.wikipedia.org/wiki/Green_Revolution から
a period of technology transfer initiatives 技術移転率先活動の期間
initiatives はよく使いますが、日本語訳が難しいです。政府主導で何かを広めようとする活動のことです。例 “nanotechnology initiatives”
dwarf wheat and rice 矮性の小麦と米
chemical fertilizers 化学肥料
controlled irrigation 制御された灌漑(かんがい) イリ「ゲ」ーション
cereal grains 穀物
selective breeding 選択育種
genetic modification 遺伝子改変
…started in a European monastery ヨーロッパのある修道院(メンデルのこと)
agronomist 農学者 アグ「ロ」ノミスト
lack of food self-sufficiency 食料自給率が低いこと
a cohort of trained agronomists 訓練された農学者の一団 cohortは、疫学や統計学ではそのままコホート、と言いますが、集団統計と仮に訳せるでしょう。
peasant 小作人 「ペ」ザント

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