Boston Metal は溶融塩電解で鉄を作ろうとしている

Boston Metalが追究している方法は、「溶融塩電解」と呼ばれるもので、加熱して融けた無機物に電流を流して電気分解します。古くはNaClを溶融したものに電流を流してナトリウム金属を得るなど、Hunphry Davy(1778-1829)が開発した方法です。鉄鉱石についても1810年に実験しているそうです。さらに、例えば氷晶石(Na3AlF6)を加えて融点を下げたボーキサイトを電気分解するとアルミが得られる方法はHeroult-Hall法として実用化されています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83…

世界の研究所 Boston Metal

先週は炭素税の話をしていましたが、今週は下記によるとCO2排出源の11%を占めるという製鉄について調べてみます。思ったより多いですね(年次はわかりませんが8%という記事もあります)。 https://www.sustainable-ships.org/stories/2022/carbon-footprint-steel その理由は鉄の酸化物(鉄鉱石)を炭素で還元するためです。以前(2021-10-20)、Swedenの会社が水素による鉄鉱石の還元で製鉄をするプロセスに成功したという話を紹介しました。 https://www.ssab.com/en/fossil-free-steel 今週の世…

Also Sprach Zarathustra(5)精神は自らの苦悩によってその知を増すのだ

金曜日のZarathustraは第二部です。山に帰ったZarathustraは、自分の教えがゆがめられた夢を見てまた布教のために山を降りていきます。第二部も地の文はほとんど無く、説教と歌で構成されています。印象的な文章を抜き出してみます。私の感覚に引っかかったものを抜粋しているだけで、内容は万華鏡のように多彩です。英訳はDelphi版Thomas Common訳、和訳は岩波文庫(氷上英廣訳)を少しいじっています。 万華鏡 kaleidoscope カ「れ」イドスコウプ level 7 Not perhaps ye yourselves, my brethren! But into father…

ISO14044

製品にかかわる温室効果ガスの放出量の計算法についていろいろ調べていたら ISO14044 というのがよく出てきました。ISOとは、国際標準化機構というNGO(non-governmental organization 非政府機関、各部門で参加国代表(50か国など)の討議と投票で物事が決定される)およびそれが制定している規格を指します。ISO9001やISO14001はよく聞くと思いますが、ISO9001は品質、ISO14001は環境にかかわる規格で、それを満たしているという認証を受けることでいわば「お墨付き」が得られて取引などで有利になる利点があります。ISO14001は1996年制定で、大学…

製品ごとのCO2排出総量(life cycle management)を計算するソフトウェア

Sphera社(米シカゴに本拠)の子会社であるthinstep AGというソフトウェア会社が開発したGaBiというソフトウェアの試用版を見てみました。 https://sphera.com/life-cycle-assessment-software-ppc/ 同社は1970年代から環境、健康、安全、リスクマネジメントなどをビジネスにしていたとのことで、現在はsustenabilityを全面に出してきていますがどうやって収益を上げてきたのか興味があります。下記youtubeではよくわかりません。 https://www.youtube.com/watch?v=-9ONjKqAxFM GaBiは…

炭素排出コンサルタント

炭素税を考えるときには製品をつくる時にCO2をどれだけ排出するかの算定が重要になります。専用のソフトウェアも開発されているようです。例えばこの会社のGaBiというソフトウェアがあります。 https://www.sphera.com/ 1回払い買い切りで$1500-とのことで、思ったより安いですが、どの程度のことができるかを知りたいです。free trialを試してみたいですが、今週はいろいろ立て込んでいるので可能かどうか。 https://sphera.com/scope-3-value-chain-carbon-accounting/ にあるScope3 というのは、GHG protoco…

世界の研究所 炭素排出権取引にかかわる国際イニシアチブ CDP, SBT, RE100, TCFD

今週の世界の研究所は、炭素排出権取引にかかわる国際的な取り組みを調べてみましょう。参考にしている本は、野村総合研究所編「カーボンニュートラル」日経文庫(2022年)です。仕組みはまだ作られている途中のようですが、(1)各国内の政策による経済支援(CO2を減少させる試みに補助金をつける)。 (2)カーボンプライシング、具体的には炭素税に類するものです。これは各国が自国の企業に課します。 (3)国境炭素調整。国により炭素税の率が違う場合、軽い税率の国では物を安く生産できるので輸出に有利になってしまいます。炭素税が安い国の製品には関税を課して国がその分を吸い上げたり、逆に炭素税が重い国からの物品に補…

Also Sprach Zarathustra(4)超人:そうだ、人間とは試みだったのだ。

金曜日のZarathustraは第一部をもう少し見ます。一文一文に主張が込められていることから要約は難しいので、最後にツァラツストラが再び山に帰る前の説教で面白い表現を英語版から抜粋します。ここでは引用しませんが、いろいろ同時代人に思うところがあったのでしょう、上手いけれどひどい比喩(ジャーナリストや権力者、聖職者などを市場の蠅、毒ぐもなどなどに例える)も多く登場します。 A hundred times hitherto hath spirit as well as virtue attempted and erred. いままで精神も徳も、何百回も試して誤ってきた。 hitherto ヒざー…

サイトカイニンとサイトカインは違う

今日は発根促進剤を含む植物ホルモンを見ていきましょう。 https://en.wikipedia.org/wiki/Auxin が日本語版よりだいぶ詳しいです。 ・1881年にCharles Darwinとその息子が単子葉植物の「子葉鞘」を使っての向日性(光屈性)についての実験をしました。先端に光を当てると光の方向に屈曲しますが、根に近いほうで光が弱いほうの細胞分裂が盛んになっています。したがって、なにかが先端から光刺激で細胞分裂している部分に移動していることが結論づけられました。 ・1910-13年にデンマークのP.B.Jensenが光屈性を示す先端を切り離したりくっつけたりして、ゼラチン膜…

サクラの挿し木とナフチルアセトアミド

サクラは挿し木で増やしやすい、とのことでやり方を調べてみました。 https://agripick.com/1683 緑色の若い枝を使う+発根促進剤「ルートン」を使う、のだそうです。 ルートン rootone は商品名で、物質としては1-naphtylacetoamide ナフチルアセトアミドです。 下記動画6分半くらいで手で触っているので、人体には無害なのでしょうか(->高濃度では動物に毒だそうです)。 https://www.youtube.com/watch?v=1ondqk5VUkk 製品の説明は下記です。毒性の分類は「普通物」、含量0.40%だそうです。残りはでんぷんなどでしょ…