世界の研究所 炭素排出権取引にかかわる国際イニシアチブ CDP, SBT, RE100, TCFD

今週の世界の研究所は、炭素排出権取引にかかわる国際的な取り組みを調べてみましょう。参考にしている本は、野村総合研究所編「カーボンニュートラル」日経文庫(2022年)です。仕組みはまだ作られている途中のようですが、(1)各国内の政策による経済支援(CO2を減少させる試みに補助金をつける)。 (2)カーボンプライシング、具体的には炭素税に類するものです。これは各国が自国の企業に課します。 (3)国境炭素調整。国により炭素税の率が違う場合、軽い税率の国では物を安く生産できるので輸出に有利になってしまいます。炭素税が安い国の製品には関税を課して国がその分を吸い上げたり、逆に炭素税が重い国からの物品に補助金を出して価格を引き下げ輸入を促進した利する仕組みです。 (1)(2)は「意識が高い」国はできるでしょうが、(3)が本当にうまくいくのかどうか、国同士のエゴがぶつかり合うので大変そうに思います。(3)を協議する国際的な枠組みが4つあるそうです。
CDP https://japan.cdp.net/ これはNGOです。
SBT  https://ideasforgood.jp/glossary/science-based-targets/ これは国連が絡んでいますね。
RE100 https://pr.biprogy.com/solution/lob/energy/cis/column/re100.html これは賛同する企業の集団の枠組みです。「国際イニシアチブ」という言葉がぴったりします。
TCFD https://www.fsb-tcfd.org/about/ これはG20の政府機関の集まりで、関連する経済的な情報開示に力を入れているようです。日本では環境省が窓口ですね。
NGO、国連、企業、先進国政府機関と主体は違いますが、4つもあってうまくいくのかどうか、その相互関係は、など興味が尽きません。
本件、まだ全然勉強していませんが、白紙で考える技術的観点としては、CO2排出量のごまかしのない算出法がカギになるかな?と思います。技術革新をしてCO2の排出量が減ったとして、それを各国が納得する方法で検証しないと炭素税を安くしてもらうことができません。特許をとって、開示すれば炭素税が安くなるという方式になるでしょうか。同じ技術を使おうとする企業はライセンス料を発明企業に払った上で炭素税が安くなることにすれば、うまくいくようにも思います。ズルをできない仕組みは、企業会計の開示制度に炭素税関連の項目を付け加えることで対応しようとしているのかな?と推測します。
CO2排出量の算出はかなり面倒そうで、やれと言われたら頭が痛くなります。機械工業は投入エネルギーと排熱を考えれば何とかなりそうですが、化学メーカーは化学結合にかかわるところを考えないといけません。逆に、その計算を実入りの良い職業にすることもできるでしょう。企業内か企業外か、「公認会計士」のような「炭素会計士」の国家資格・国際資格ができるかもしれません。
今週は上記の認識があっているかどうか調べてみましょう。

英語は https://www.fsb-tcfd.org/about/ から
climate change ク「ら」イメット 気候変動
financial market 金融市場
Without the right information, investors and others may incorrectly price or value assets, leading to a misallocation of capital. 正しい情報がなければ投資家たちは資産の値付けを誤るかもしれず、そうなると資本の適正配置ができなくなる。
The Financial Stability Board created the TCFD to develop recommendations on the types of information that companies should disclose to support investors, lenders, and insurance underwriters in appropriately assessing and pricing a specific set of risks – risks related to climate change. 金融安定委員会(?)がTCFDを作ったのは、投資家、貸し手、保険の引き受け手が気候変動にかかわるリスクを適切に評価し値付けするために企業が公開すべき情報に関する勧告を行うためである。
TCFD task force on climate-related financial disclosures
lenders (お金の)貸し手
insurance underwriters 保険の引き受け手
remit 送達する、差し戻す
widespread adoption of recommendations 勧告が広く受け入れられること

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