シリコンを使った量子コンピュータと可逆計算

HRL Laboratoriesは量子コンピュータにも力を入れているようです。 https://quantum.hrl.com/ 今年の3月にNature誌に出版している結果が興味深いです。Siの量子細線中に閉じ込めた電子のスピンをqubitとして使っています。3つのスピンで1qubitを構成するようにすることで、雑音の少ない量子演算を行うことに成功しています。20年前に提案されていた方法だそうですが、ようやく実際の素子として実現したということです。下記論文で、無料で公開されています。 https://www.nature.com/articles/s41586-023-05777-3 29S…

nBn構造による暗視カメラ

HRL Laboratoriesのセンサー部門は、赤外線による暗視カメラに力を入れているようです。もちろん、自動運転の物体認識など民生用途もありますが、おそらく研究費の出どころは軍事用(US Department of Diffense; DoD)です。中~遠赤外線を画像としてリアルタイムで出せれば、照明無しで熱源(人や戦車など)を見ることができ、またミサイルの追尾にも使えます。争いごとは嫌ですが、技術として存在するものを直視して正確に評価することは我々専門家の責任でしょう。 https://www.hrl.com/laboratories/sel これまで水銀カドミウムテルル(Hg_1-xC…

世界の研究所 HRL Laboratories(米国)

今週の世界の研究所は、先週予告したとおり、HRL Laboratories(米カリフォルニア州)をとりあげます。ここは元Hughes Research Laboratoriesと言って、実業家のHoward Hughes (2023-01-30にHoward Hughes Medical Instituteで既出)が設立しました。 会社組織です。 https://www.hrl.com/about/history 有名な業績として、Theodore Maimanによるルビーレーザー(1960)やWilliam Brigesによるアルゴンレーザー(1964)の発明があります。 現在の株主は、Ra…

The Door into Summer(1)ドラえもんとの関係

今週から金曜日はタイムマシンSFの古典である”The door into summer”(夏への扉)を読みながら時間について考えていこうと思います。 日本のSFファンの投票では歴代SFの中で1位になることが多い作品だそうです。今読むと陳腐な感じもしますが、それはこれが1956年=67年前の作品で、後のSF、小説、マンガ等の作品に影響を及ぼしたためではないかと思います。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%89%89 ドラえもんのアイデアの元になっている、という説を聞いたことがあって、改…

セラミックスの3D印刷

今日はセラミックスの3D印刷を見ましょう。 陶芸に使うものは初期からあります。これは粘土やセメントの押し出し機を使って、土台をXY方向に走査して層を作っていきます。 乾かしてから焼いて陶器にします。 https://www.youtube.com/watch?v=gpt0ItCLr-k どのくらい縮むかは原料によるでしょう。これは樹脂のバインダー(糊)などは入れないで水と粘土の絡み合いや無機酸化物のゲル化で粘着性が出ていると思われます。 どうしても層状構造が見えてしまうと思うので、それを生かすか、あとでヘラなどで表面をなでて平らにするのだと思います。 スケールアップして家を作っている動画もあり…

金属の3D印刷

金属の3Dプリンティングの例は下記です。動画があります。 https://www.youtube.com/watch?v=RlbzBVlAZ6g ステンレスの粉80%樹脂20%のフィラメントを使ってプリントし、焼結するようです。焼結は業者に送るのでしょうか。 焼結時の縮み方がxy方向とz方向で違うというのが興味ぶかいです。xyが1.20倍、zが1.26倍になるように作れということです。この異方性は重力のせいでしょうか。 焼結条件がwebにありました。 https://ultrafusefff.jp/basf3d/wp-content/uploads/2022/04/Process-Guidel…

光硬化型3Dプリンター

初期の3Dプリンタは光硬化型のものでした。ステージを下ろした状態で下からレーザーや紫外光を操作したりマスクを介して当てて光が当たったところだけを固化させます。ステージがあるので、固化したものはくっついています。それからステージを少し持ち上げてからまた別の位置に光を当てます。これを繰り返して3次元物体を作るという仕掛けです。これは3D Systems社の創業者のCharles Hullの発明で、3Dプリンタ用のデータファイルの規格も作ったため、3Dプリンタの発明者とされています。 https://www.youtube.com/watch?v=b-sIcYo8isI https://www.yo…

世界の研究所: 3Dプリンタ専業メーカー5社

いま、3Dプリンターで実験用の部品を作りたくなっています。いい機会なので、3Dプリンターの現状について調べてみます。 https://www.investopedia.com/articles/investing/081515/three-biggest-3d-printing-companies.asp によると、3Dプリンターの上位5社は以下の通り: 1. Stratasys, Ltd. 年間売上 $659.2M=920億円 1998設立, 米国 社員2062人 ← よく使われる、熱可塑性樹脂の線を溶かしてくっつける方式(FDM方式)を発明した会社です。 2. 3D Systems Cor…

Also Sprach Zarathustra(11)解説サイトを見つけました

金曜日のZarathustraは今日でおしまいにします。検索エンジンBing(ChatGPT使用)に色々聞いていたら、下記を見つけました。Zarathustraのあらすじと解説のサイトです。 https://www.sparknotes.com/philosophy/zarathustra/section10/ なるほど、という記述もあります。例えば、第4部の最後にでてくるライオンは、第1部の説教にでてくるラクダ→獅子→幼子という人間の精神的進化と対になっていて、「もうすぐ子供たちが来る!」と喜んでいるのは幼子が来るのが近いという意味である、というのはそうかもしれません(私は弟子のことを言って…

Google Translateで英語のスピーキング教材を作れるか?

Google Translate/speech recognition を使って英語の教材を作れるかな、と思って調べました。下記インドで演説を配信するサービスに使われていますが、発音練習ではないようです。 https://cloud.google.com/customers/joshtalks Google Translate は料金は1か月に60分の音声まで無料、それ以降はお金がかかるようです。通常翻訳で1時間100円、医療用翻訳で1時間500円くらいです。 https://cloud.google.com/speech-to-text/pricing?hl=ja Google cloudや…