金曜日のZarathustraは今日でおしまいにします。検索エンジンBing(ChatGPT使用)に色々聞いていたら、下記を見つけました。Zarathustraのあらすじと解説のサイトです。
https://www.sparknotes.com/philosophy/zarathustra/section10/
なるほど、という記述もあります。例えば、第4部の最後にでてくるライオンは、第1部の説教にでてくるラクダ→獅子→幼子という人間の精神的進化と対になっていて、「もうすぐ子供たちが来る!」と喜んでいるのは幼子が来るのが近いという意味である、というのはそうかもしれません(私は弟子のことを言っていると思っていました)。
ラクダとは「自ら求めて重荷を背負い、それに耐えて歩く状態」、獅子とは「自らの意識に目覚めた状態で、自由を獲得するために既存の価値観に闘いを挑む段階」、そして幼子とは、「無心で遊ぶ子供のような心で、対立を超えてみずからから新しい価値や生き方を創造する段階」と解説されています。ロバ祭りは聖書のExodus32を踏まえている、など面白いです。
大学の講義の復習用か、”For better GPA(平均点)”としてquizもついています。また、Core Ideas の解説もよくできています。
https://www.sparknotes.com/philosophy/zarathustra/quiz/
この会社”Sparknotes LLC”は無料版+広告なし有料版のようですが、どうやって収益を上げているのか、食べていけるのか、気になりますね。シェークスピアの解説もあり、使えそうです。
Zarathustraにはイメージに訴える比喩や感情を操作する文章がちりばめられていて文章の技術としても面白いですが、100年以上前の作品なので、最近の小説、漫画、アニメなどと比べるとやはり粗い感じがします。「超人」というのはAIと結合した人間の一つの方向かもしれませんが、ニーチェの他の本では「力への意思 will to power」「善悪の基準は何か」が重視されていて、ニーチェの「超人」は能力だけでなく「意思」「目標」でも人を超えることを意図したのだと思います。私がこの本を最初に読んでから30年以上たち、AIという我々の能力を拡張する道具も出現しましたが、どういう目標を持つべきか、については一人ひとり違っていて、正解がないのが自然なのでしょう。
英語は、英訳から印象深い文章を抜き出してみます。
“I know thee well,” said he, with a brazen voice, “THOU ART THE MURDERER OF GOD! Let me go. Thou couldst not ENDURE him who beheld THEE, — who ever beheld thee through and through, thou ugliest man. Thou tookest revenge on this witness!” 彼は耳障りな声で言った。君のことはよく知っている。神を殺したのは君だろう。続けさせてくれ。君は自分を見つめるもの、貫き続ける視線の主に耐えられなかったのだ、最も醜い人間よ。君は目撃者に復讐したのだ!
brazen ブ「レ」イズン 真鍮製の、耳障りな、騒々しい level 11
endure 耐える
witness 証人、目撃者
revenge 復讐
beheld < behold =see (something strange) level 8
“One! O man! Take heed! Two! What saith deep midnight’s voice indeed? Three! “I slept my sleep — Four! “From deepest dream I’ve woke and plead: — Five! “The world is deep, Six! “And deeper than the day could read. Seven! “Deep is its woe – Eight! “Joy –deeper still than grief can be: Nine! “Woe saith: Hence! Go! Ten! “But joys all want eternity – Eleven! “Want deep profound eternity!” Twelve! (Part 3 Chapter 59 The second dance song)
ああ人間よ!しかと聞け! 深い真夜中の声はいったい何を語る? 私は眠りに眠り、深い夢からいま目がさめて語る。 この世は深い。昼が読み取れるよりずっと深い。この世の嘆きは深い。しかし、よろこびは – 断腸の悲しみよりも深い。嘆きは言う、終わってくれ!しかし、すべてのよろこびは永遠を欲してやまぬ。深い深い永遠を欲してやまぬ!
heed 心にとめる level 8 = take heed
plead プりード 弁論する、弁護する level 5
woe オウ 悲痛、悲哀、苦悩
profound プロファウンド 深遠な
来週からは金曜日はR.A.HeinleinのThe door into summer (1957)を読みながら「時間」について考えてみたいと思います。