世界の研究所 EU-JRC, JST-CRDS, Phillips 66 Research Center

先週はCO2を玄武岩と年単位で反応させてCO2を地中に固定化するアイスランドのプロジェクトの話で終わりました。数kmの地中では温度と圧力は足りますが、岩石にCO2をしみこませるのをどうするかという疑問がありました。接触面積を上げるには岩石の「破砕」が必要と考えられますが、この技術はまさにシェールガス(シェールオイル)の採掘に使われるものです。今週の世界の研究所は、役に立つレポートをタダで公開していた EUのjoint research center をとりあげます。ここはEU付属のシンクタンクですね。所長等の名前は上がっていますが、人数は不明です。
https://ec.europa.eu/info/departments/joint-research-centre_en
日本だとJST(科学技術振興機構)のCRDS(研究開発戦略センター)に相当するでしょうか。ここのレポートも面白く勉強になります。ここは少人数の組織で、頻繁に研究会を行って大学の先生たちから最新の情報提供を受けています。おそらくEUも同じでしょう。
https://www.jst.go.jp/crds/
シェールガスのための破砕技術のレポートは下記です。
https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/f52df91d-9fd1-11e5-8781-01aa75ed71a1/language-en
送り込む液体の粘度を上げる必要があり、ホウ酸イオンと多価アルコールポリマーを使って水溶性のゲルを作っているのが面白いです。さらに砂なども混ぜます(proppant)。この技術は1980年代に開発されました。これは、子供の科学実験で有名なスライムと同じですね。
https://lab-brains.as-1.co.jp/article/method/2021/10/7607
高温用ではジルコニウムイオンをクロスリンカーとして使っているようです。これも他に用途がありそうですね。
特許をざっと探索してみましたが、米国のPhillips Petroleum (現 Phillips 66)が技術発展にかなり貢献していて、今も掘削用の液体を売っているようです。この会社はDuPontやConocoとの合併で振り回された感があります。現在は分離して元に戻りました。この経営戦略の検証も面白そうです。
https://www.cpchem.com/what-we-do/solutions/drilling-specialties
Phillips 66の研究所はオクラホマにあるのですが、石油関係よりも燃料電池や蓄電池に注力しているようです。

Energy Research & Innovation


今週はシェールガス採掘の周辺、技術的な詳細に加えて、バイデン政権とウクライナ情勢で現在の採算がどうなっているかを調べてみたいです。

shale 頁岩(けつがん)
shale gas シェールガス
kerosene 「ケ」ロスィーン 石油、灯油 イギリス系ではparaffinともいう。
proppant 和訳がなく、プロッパントと表記されます。岩石破砕後、圧力を抜いたときに元に戻らないように隙間に噛ませる粒子。
prop 支柱、つっかえ棒 level 7
fracture 破砕
viscoelastic surfactant fluid 粘弾性界面活性剤液体
viscosity 粘性、粘度
strategy 戦略
basalt 玄武岩 バ「ソ」ーるト (既出、覚えましたか?)
gel ゲル (ジェると発音する)
gelation ゲル化 (ジェレーションと発音)
secondary battery = rechargeable battery 二次電池=蓄電池
solid oxide fuel cell 固体酸化物燃料電池
“This week, in addition to the technical details around shale gas extraction, I would like to examine the current profitability under the Biden administration and the situation in Ukraine.”
profitability 採算

Leave a Comment

Comments

No comments yet. Why don’t you start the discussion?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA