世界の研究所 米国 National High Magnetic Field Laboratory (国立強磁場実験施設)

今週の世界の研究所は、米国 National High Magnetic Field Laboratory (国立強磁場実験施設)です。Florida State University とLos Alamos National Laboratoryに設備があります。米国はこのようにいろいろな地方大学に国立研究所の設備を併設しています。これは地方大学に活力(予算面(間接経費が大学を潤す)と優秀な学者)を与えるいい考えで、日本もすこしずつその方向に動いているように思います。Florida State Universityの施設は院生まで含めると300人いるそうです。 https://nationa…

Justice 第七章 アファーマティブ アクションの正当性

今週のJusticeは、第7章”Arguing Affirmative Action”です。affirmative action は日本語で訳されずに英語の発音でアファーマティブ アクションとして使われますが、人種や性別による大学入学や就職時の優遇措置です。米国では黒人や女性を優遇しており、日本でも女性限定枠の就職や昇進が増えてきています。扱いの難しい話ですが、著者は大胆にその正当性を議論しています。優遇されずに落ちた人が訴訟を起こして敗訴した例が多数あるそうです。環境によるテストの差を補正する、過去の差別を補償する、多様性を促進するという3つの理由が考えられ、中でも、…

Oxford Nanopore Technology社のDNAシーケンサと求人

月曜日にはDNAシーケンシングの話になるとは思わなかったのですが、直径数nm、厚さ数nmの穴をDNAが通過した時の電気抵抗変化の解析の現状が面白かったので紹介します。原理は、溶液中のイオンの透過が、穴を通っていくDNAの各塩基によって邪魔されるのですがその邪魔され方が違うこと利用するものです(電気抵抗が時間の関数として階段状に変化する)。DNAが通っていく速度はおそらく流体の圧力で制御しているのだと思います。信号は穴や流路、さらに膜が一つの塩基よりも厚いので、前後の塩基による影響もあるでしょう。これらによる「くせ」があるので、補正をどうするかが問題になります。昨日のyoutube解説では10-…

電解液+パルス電圧でナノメートルの穴を開ける

重慶緑色智能技術研究院の面白かった論文は下記ですが、電解液入りのキャピラリーを好きな位置に置いてから電圧をかけてSiN薄膜やグラフェン等に狙って小さい穴をあける目的の装置です。ちゃんと動いていてすばらしいです。 http://www.cigit.cas.cn/yjycg/kyjz/202201/t20220123_6347024.html https://aip.scitation.org/doi/10.1063/5.0024079 これは少し前に日立製作所が発表した方法の発展です。こちらは位置がどこになるかは決められません。 https://www.nature.com/articles/s…

2次元半導体のプラズマプロセス

グラフェンのような2次元物質の仲間はいろいろあって、遷移金属と16族元素(カルコゲン chalcogen=O,S,Se,Te。酸素以外を指すことも多い)の化合物である金属カルコゲナイドは半導体や金属など様々な物性を示すため、古くから研究がおこなわれています。昨日の重慶の研究所の論文では、プラズマを利用した2次元物質のプロセスをまとめています。 https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.accounts.0c00757 半導体+プラズマだと欠陥が生じて使えないのでは?と疑問に思いました。プラズマを使うと高エネルギー粒子が物質に衝突して化学結合を壊すので、きれいな結…

世界の研究所 中国科学院重慶緑色智能技術研究院

今週の世界の研究所は、中国科学院重慶緑色智能技術研究院を取り上げます。 http://www.cigit.cas.cn/yjycg/kyjz/ ここは、Green & Intelligence を標榜(ひょうぼう)していろいろな加工・計測技術を研究しているようです。中国科学院傘下の研究所は多数ありますが、ここはwebがちゃんと更新されています。重慶は揚子江の上流の都市圏人口3000万人の大都市ですが、夏は猛暑日が続いてかなり暑いようです。80年前の戦争では臨時首都となり、日本の攻撃を受けました。 https://en.wikipedia.org/wiki/Bombing_of_Chon…

Justice 第六章 ロールズによる格差主義

今週のJusticeは、第6章”The case for equality / John Rawls”です。20世紀の哲学者ジョン・ロールズ(1921-2002)による正義論を解説しています。不勉強でこの人については知らなかったのですが、ずばり “A Theory of Justice”が主著で、この本の著者Sandelと同じハーバード大学の哲学の教授でした。前任者かもしれません。同意できるところが多い説だと思いました。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83…

樹木の種類と病気の遠隔観測とAI

UAV(unmanned aerial vehicle,無人航空機)を使って森林を見ると、地上を歩きまわって観察する方法に比べて圧倒的に省力化できることはわかると思います。少子高齢化により林業従事者が減っていますので、省力化は重要です。カメラ画像から木の種類を見分けること、木が健康かどうか(枯れているかどうか)を判別することは、伝染病を防除する上で重要です。病原体(カビや線虫)は昆虫などを媒介として周囲の木に移ります。 http://www2.kobe-u.ac.jp/~kurodak/health2007.html http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/matu/…

LiDARと鏡のスキャン

LiDARはいま旬の技術で、日進月歩です。ドローンによる地表探査以外にも、自動車の自動運転に必要な周囲の3次元マッピングに使うことになっています(除 Tesla Motors)。 光の速度は3x10^8m/s=3x10^10cmなので、光が3cm進む時間は10^-10秒=100psです。これは周波数にして10GHzに相当します。この時間差を検出しなければならないので、高精度の時計と速い電子回路が必要になります。跳ね返ってくる光の信号は弱いので、増幅する必要がありますが、10GHzの信号を取り扱えるトランジスタは通常のものではありません。GaAs等の移動度の高い半導体を小さく(電子の走行距離を短…

ドローンによる森林モニター

森林をドローンから見てその健康状態(日本語としては変ですが、英語はhealth)を調べるためには、カメラの他にLiDAR(ライダー)が使われます。LiDAR (light detection and ranging) は、レーザーをパルスで照射して、反射光の時間遅れを測ります。精度を上げるのは技術的にたいへんですが、それは明日にして、何が分かるかの動画が下記です。 GPSと組み合わせて森林の3次元像が見えます。 https://www.youtube.com/watch?v=EYbhNSUnIdU 葉っぱの隙間から見える地表を描画することでジャングルに埋もれた遺跡が分かります。 https:/…