今週のJusticeは、第7章”Arguing Affirmative Action”です。affirmative action は日本語で訳されずに英語の発音でアファーマティブ アクションとして使われますが、人種や性別による大学入学や就職時の優遇措置です。米国では黒人や女性を優遇しており、日本でも女性限定枠の就職や昇進が増えてきています。扱いの難しい話ですが、著者は大胆にその正当性を議論しています。優遇されずに落ちた人が訴訟を起こして敗訴した例が多数あるそうです。環境によるテストの差を補正する、過去の差別を補償する、多様性を促進するという3つの理由が考えられ、中でも、社会の構成割合に応じた多様性を大学や企業が維持することが社会の公正さにつながるという議論です。面白かったのは、理想的な合格通知と落選通知の文章の提案です。合格通知では「合格はあなたの努力の結果と思うかもしれないが、努力できたのも運だということをわすれないように」、落選通知では「この結果は要件とあなたの適性がマッチしなかっただけで、あなたの道徳的価値とは何の関係もないのでがっかりしないように」というものです。落選したときは「運」だと思って感情を落ち着けなさい、と著者は(言外に)言いたいようです。悩んでも仕方がない場合は、それしかないでしょうね。日本語には「縁」といういい言葉があります。
affirm 肯定(こうてい)する、断言する、(考え・信念・感情などを)維持し強める level 6 日本語と1対1対応がなく、意味がとりにくい言葉です。LDOCEでは 1 to state publicly that something is true 2 to strengthen a feeling, belief, or idea
affirmative 肯定的な
Can justice be detached from moral desert? 正義は道徳的功績から切り離せるか?
“The renunciation of moral desert as he basis of distributive justice is morally attractive but also disquieting.” 読みにくいですね。
renunciation 放棄、断念 level 18 「求めないという考え方」と訳されています。
renounce 放棄する、断念する、棄権する level 7 名詞形がrenunciation
desert 1.砂漠(前にアクセント) 2.見捨てる(後ろにアクセント) 3.当然の報い、相応の賞罰(後ろにアクセント)、ここでは3ですが、和訳本では「功績」となっています。
distibutive justice 分配の正義
distribute 分配する distributor 分配器
disquieting 不安にさせる(quietの逆ですね) level 11 The recent actions of the gangsters are disquieting. 最近の暴力団の動きは不穏だ。
“So selling education as if it were merely a consumer good is a kind of corruption.” 教育を普通の消費者用の商品であるかのように売るのは一種の堕落である。
corruption コ「ラ」プション 堕落、汚職
“The proper mission of social institutions – whether universities, corporations… is contested and fraught.” 大学であれ、企業であれ、(中略)、社会的組織のふさわしい使命は絶えず論争の的になり定まるところがない。
fraught フロート (危険などを)はらんで、伴って level 11 I was fraught with great emotion. 胸が熱くなった。 an enterprise fraught with danger 危険をはらんだ事業