世界の研究所 Raykjavik Energy

今週の世界の研究所は、地熱発電もやっているアイスランドの公益事業会社 Raykjavik Energyを取り上げます。 https://www.youtube.com/watch?v=6we3gox0f5g アイスランドの人口は36万人で(日本の300分の1)、面積は10万km2(日本は38万km2なので4分の1)です。人口を日本の都市で比較すると、宮崎市(40万)、横須賀市、長野市、和歌山市、東京都北区、旭川市、高知市(33万)程度です。独自のアイスランド語がこの人口で維持されている(話者30万人)というのは驚きです。 この人口規模だと小規模の発電所で足りますね。地熱30%、水力70%だそう…

マキャベリ (8) 旗幟を鮮明にすべし

今週のマキャベリは、第21章まで。有名な言葉がいくつかあります。 1.君主は獅子と狐の両方の性質を持たねばならない。世の中が腐りきっているときには善い行いが身を亡ぼすことがある。 2.君主が尊敬を受けたいならば、敵か味方かを明言することである。こういう態度に出る方がどっちつかずでいるよりもはるかに役に立つ。勝った方は逆境に対して手助けをしてくれなかったものを味方にしたいとは思わないし、負けたほうは剣をとって運命を共にしてくれなかったことから次に味方しようとは思わないからである。 1.についてはローマ帝国のネルウァ=アントニウス朝~軍人皇帝時代の例を挙げています。ほとんどの場合、クーデターで数年…

マグマの成因

昨日の話は、ギアナ高地のテーブル台地tepuiは海底・川底の堆積層が隆起するときに平らな表面が上から加熱されて一部の表面が変成して硬くなったのだ、ということでした。表面の一部の加熱は、マグマがあちこちから噴き出して表面に触れたとすると説明できそうです。そもそもマグマができる理由がわからなかったので調べました。高温高圧の地下の岩が横に引っ張られると圧力が下がって液体になる(海嶺、ハワイやアイスランドなど)、プレートが海底で沈み込むときにある深さで水が抜けて融点が下がって融解する(日本など)、などですね。面白いです。隆起は造山運動に関係していて、造山運動はプレート同士が衝突するときに典型的におこる…

テーブル型の山の成因はマグマによる表面の変成

高さ1000m近い断崖に囲まれたテーブル型の山ができる理由が気になります。 https://www.tbs.co.jp/heritage/2nd/feature/2016/201606_01.html https://www.worldatlas.com/articles/what-is-a-tepui.html 下記の説明は、南アフリカのTable Mountainに対するものです。昔の川底にたまった砂が硬い砂岩になって、そこだけ平らに残ったという説明です。2004年の論文に基づいています。 https://www.thetablemountainfund.org.za/why-is-tab…

ギアナ高地:1000mの絶壁を持つテーブル型の山 テプイ

ギアナ高地は世界遺産(自然遺産)なのでテレビなどで知っている人が多いと思いますが、高さ1000-2800m、平らな部分の広さが東京23区よりも大きいテーブル型の山がたくさんあります。テーブル型の山は、南アフリカ等いろいろなところにありますが、ここではtepui (テ「プ」イ)と呼ばれます。テーブルの上下を小動物や植物が行き来出来ないため、生物進化の研究対象として魅力的だそうです。 https://www.youtube.com/watch?v=S9K8QcjwjYs https://www.youtube.com/watch?v=vmPredMTXpg 非常に古い時代に海底が隆起し、弱い部分が…

世界の研究所 Amazon Conservation Team

今週は夏休み?ということで、旅行気分で「ギアナ高地」の珍しい地形の話をしましょう。行ってみたいところの一つですが、若い時でないと体力と健康がちょっと不安ですね。世界の研究所は、ギアナ高地も守備範囲に入れている国際非営利団体 Amazon Conservation Team をとりあげます。 https://www.amazonteam.org/ https://www.amazonteam.org/maps/guiana-shield/ webの会計報告(financial report)をみると、年間予算$7,819,728(2020年)なので、約10億円ですね。そのうちの79%を本来の目的…

制御工学と機械学習

ドローンや歩行するロボットなど、不安定な装置を安定に制御するにはどうすればよいか、というノウハウは長く研究されており、仕組みとしてはある程度完成していると理解しています。化学プラントの制御なども重要な応用例ですね。微分方程式や差分方程式を使う「制御理論」という体系があります。youtubeに手短な解説がありました。 https://www.youtube.com/watch?v=4pNQcqr-DT4 極やゼロ点、ロンスキアン、ラプラス変換など、応用数学で習う話が実際に使われるので楽しいですが、さらに 状態が変化してから一定時間の反応遅れを扱う「入力むだ時間」など、独特な数学が出てきて面白いで…

ロボット制御の共通プラットフォームと建機を操縦するロボット

ドローンはひっくり返って下向きになるとすぐに墜落してしまいます。したがって、高さや速度、姿勢を常に細かく制御する「倒立振子」のような測定・演算・フィードバックが必要です。ハードウェアが違うと慣性やトルクは異なるにしても、制御には共通点があるはずなので、共通プラットフォームでパラメータをチューニングできるようにするのは大きな省力化の意義があります。さて、関節を持つ人型ロボットも歩行や指の動作などに共通点があるはずですが、共通プラットフォームはないでしょうか? opensource robot で検索すると下記がありました。わかりやすい解説記事がないようですが、時間があるときに調査します。 htt…

世界の研究所 ドローン制御のオープンソース ArduPilot

今週の世界の研究所は、ソフトウェア系が2週連続になってしまいますが、ドローン制御ソフトのオープンソースである ArduPilot をとりあげます。 https://ardupilot.org/ これは日本在住のカナダ人がリーダーで、500人程度が参加しているようです。 https://drone-journal.impress.co.jp/docs/special/1182896.html 開発者のための塾もやっているようです。言語はc++、私も時間があれば受けてみたいです…が、だいぶ先になるでしょう。いろいろなものが制御できるみたいなので、非常に小さい潜水艦を作って「ミクロの決死圏」のような…

マキャベリ (7) 慕われるより恐れられる方がいいが、筋を通し、憎しみは受けるな

今週はちょっと山場でしたが、おかげさまで無事乗り切りました。今週のマキャベリは16章17章で、彼らしい皮肉の利いたことを言っています。多少翻案してまとめます。 ・君主は気前がよいよりもケチといわれる方がよい。いざというときに資金不足で仕事ができなかったり、重税を課さなければならないよりは、不人気を我慢して、支出を切り詰めて余裕を持つべきである。 ・慕われるのと恐れられるののどちらがよいか。両方が不可能ならば、恐れられる方が良い。統制が効かなくなって皆を不幸にするよりは、一罰百戒のほうがよい。それというのも、人間は恩知らずで移り気で、危険にあうと逃げるが転んでもただは起きないもの。利益があると味…