孫子 主導権

今週の「孫子」は、6.虚実編(weak points and strong)の冒頭です。当たり前のことを言っていますが、うまくまとまっています。何とかして主導権を握れ、がメッセージです。 Sun Tzu said: Whoever is first in the field and awaits the coming of the enemy, will be fresh for the fight; whoever is second in the field and has to hasten to battle will arrive exhausted. 2. Therefore th…

超小型加速器

以前、シンクロトロンなどの高周波加速器の交流電圧を1点だけにかけたらどうなるか考えたことがありますが、調べたらすでに実用化されていてがっかりしました。下記の会社はその技術を用いた超小型加速器製作でビジネスが成立していてすごいと思います。約30年前に私が長期インターンでアメリカDuPontの研究所にいたときに、この社長さん(当時、住友重機)の売込みのセミナーがあったのを覚えています(”Bench top synchrotron”という題でした)。超小型シンクロトロン(立命館大学にある放射光施設 Auroraなど)だけではなく、その後、タングステン微小ターゲット(μmサイズ…

安全管理

私はここ数年、工学部の安全管理を担当していて、毎年の講演会も企画しています(引き受け手がいなくて自分で話すこともある)。今年は、外部の人に依頼しました。参加をお願いします。さて、「団塊の世代」(現在67~69才、第二次大戦後のbaby boomで生まれた人)の「経験知」がある人が大量に引退して事故が増えるのではないかと言われていました。印象で語るのはよくないので、こんど統計を調べてみます。 http://handa.jpn.org/1/index.html – 団塊の世代 baby boomer generation; 同時期、世界中で子供が増えました。理由は戦争が終わったからです…

世界の研究所 Lawrence Livermore National Laboratory

今週の世界の研究所は、アメリカのLawrence Livermore National Laboratoryです。ここはエネルギー省の下にある多くの研究所の一つで、サイクロトロンの発明者のErnst Lawrenceが国に働き掛けて作った原子力研究所の1つです。カリフォルニア州の真ん中あたりにあります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Lawrence_Livermore_National_Laboratory 最近の話題は、私の授業でも取り上げている National Ignition Facility 国立点火施設でしょう。ここはレーザー核融合の実験施設で、世界…

偽化石

偽化石(pseudofossil)というのがあります。windowsの立ち上げ画面で出てきたオーストラリアのストロマライトを見て思い出しました。 https://en.wikipedia.org/wiki/Stromatolite ストロマライトはシアノバクテリアとそれが夜間に集める泥でできた層状構造を持つ岩で、現生する生物と対応がついていますが、昔は似たような構造がいろいろ古生物化石として提唱されました。Steven Jay Gouldの「パンダの親指 the panda’s thumb」で読みましたが、すべての固体が自分が発見した微生物化石(eozoon)に見えてしまった(18…

ノーベル化学賞 CRISPER/cas9

ノーベル化学賞はCRISPER/cas9でした。数年前からもうすぐ受賞するといわれていた画期的な技術ですね。発明は7年前ですか。もともと細胞が持っているファージの攻撃を防ぐ免疫の仕組みを利用したもので、原理は下記の動画が分かりやすいです。 https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/crispr-cas.asp?entry_id=14354 cas9は生物ごとにいろいろ種類があるみたいです。タンパク質データベースでCAS9と入れるといろいろ出てきます。切りたいところのRNAをくっつけたcas9を用意するとそこで切ってくれるのですね。下記は、どうやって結晶…

ノーベル物理学賞 

今年のノーベル物理学賞は宇宙物理でしたね。理論家のRoger Penroseは物性物理の分野でも有名で、また、一般向けに「皇帝の新しい心」という本も書いています(たしか、私が学部生のころです。今見たら、まだ売っていました)。これは長くて高いので、時間がない人はブルーバックスの「心は量子で語れるか」が面白かったです。熱力学と量子力学に関する教科書に書いていない知識が得られます。ただし、微小管(microtuble)中の量子干渉が意識の源である、という説には賛成できませんでした(Penroseが今もそう考えているかどうかは不明、これからインタビューなどで明らかになるのではないでしょうか)。我々に近…

世界の研究所 Cavendish Lab., Univ. of Cambridge

世界の研究所、今週はUniv. Cambridge, Cavendish Laboratoryです。ここは大学の物理学科が研究所になっているようです。 皆さんが知っている名前がたくさんあると思います。 https://www.phy.cam.ac.uk/history/nobel 音響システムのDolbyが卒業生なのを知りました。遺族が寄付をして名前のついたセンターを建てているようです(L85million=116億円寄付)。すでに取り上げたかもしれませんが、Dolbyシステムは、磁気テープ録音の時代、磁性体の粒子径からくる量子化ノイズ=高周波雑音(hiss noise ヒスノイズ)を消すため…

赤とんぼ

農場で赤トンボが水路だけでなく、道路の水たまりに産卵していますね。かわいそうですが、昆虫の生き方は大量に子孫を作り、生き残ったもので遺伝子プールを維持するというものなので、仕方ないですね。研究も似たところがありますが、「これをやってもできない」という記録が残せれば後世には役立ちます(→できない論文は書きにくいですが、何とかして論文を書くべし!)。「丸山・養老・中瀬 昆虫はもっとすごい 光文社文庫」は対談形式ですが中身が濃いです。リンクをたどると、アリの巣キットだけでなく、アリ、シロアリのつがい(!)の通信販売が載っていてびっくりしました。 http://www.antroom.jp/antma…

孫子

中国古典シリーズ、「孫子」からやります。利害関係が対立する集団が複数あるときにどう行動すべきか、草食系には思いつかない考え方が載っています。2600年前の本とは思えません。解説本はたくさん出ていますが、要領よくまとまった解説付き全訳は「孫子の兵法 守屋洋 三笠書房」です。この人は中国古典を使った企業コンサルティングを始めた人の一人で、現在二代目が活躍中のようです(それだけいい職業なのでしょう)。英訳(B.E.Barber訳、Kindle版)で英語の微妙なニュアンスを学んでいきたいと思います。週1程度を考えています。 https://en.wikipedia.org/wiki/Sun_Tzu &…