世界の研究所 Boeing社のストライキ

Boeing(ボーイング社)で大規模なストライキが行われているというニュースがあります。 https://www.bbc.com/news/articles/c8jlj3dnlw7o 大型のジェット機は1機500億円と言われています(ちなみに、波長10nmの最先端の半導体露光装置も同じくらいの値段なので驚きます)。 Boeing社は、コロナ禍に加え最近737MAXの設計ミスで墜落事故を何件か起こしてしまって経営状態が悪化し、それが従業員にしわ寄せされた結果だと推測します。20000人、30000人規模で立て続けにリストラやレイオフをしているようです。 調べてみると、航空機メーカーや運航をする航…

Hillbilly Elegy(5):苦難の少年時代

金曜日の読書 “Hillbilly Elegy”は5~7章、著者が苦難の少年時代を送るところです。著者は母親の二番目の結婚でできた子供で、一番目の結婚でできた姉(half sister)と母と一緒に暮らしたり、一時期は実の父親のところに長期滞在したりしています。周囲の大人は気性が激しくすぐに夫婦間のけんかがエスカレートして離婚になるようです。算数を教えてくれた祖父が無くなると母親は薬物依存になってしまいます。 母親は、高校卒業時には成績優秀者に選ばれましたが、卒業後すぐ結婚→離婚からパートナーが長続きせず、看護師資格を取って暮らしていました。著者は母親の激怒から逃げ出し…

ピラミッド建設法の諸説

今週紹介している本を買おうと思ったのですが、日本と米国で大きな価格差があり驚きました。 https://www.amazon.com/dp/B09NMPMJZQ https://www.amazon.co.jp/dp/B09RXRQ9W1 現時点では予算オーバーです。残念ながら居住者でない人が米国アカウントから買うと規約違反の可能性みたいですね。 気を取り直して、ピラミッドの作り方について見てみましょう。諸説あります。 https://archive.archaeology.org/0705/etc/pyramid.html 月曜日に紹介した研究グループAERAの所長は外部に斜面をつくったとい…

ピラミッドの「重力軽減の間」

ギザの大ピラミッド(クフ王が埋葬されている)は、底辺の長さ230m, 高さ143m(40階建てのビルに相当)、2.5トンの石を200-300万個使っています。Merer日誌から、Merer工事監督と40人の部下が1か月に運んだ石が30個であることを考えると、その10万倍の人月(にんげつ、ソフトウェア開発等に使う用語)がかかっていることになります。 https://timecrowd.net/blog/man-month/ 40人のチームが多数あったのだと思われますが、いくつなのかはwebからは発見できません。年代は4600年前であることが遺跡、歴史書、炭素14年代決定法から確かめられています。…

紅海文書にあったピラミッド建設の業務日誌

10年前にこんな大発見があったとは知りませんでした。4500年前のクフ王のピラミッド建設の業務日誌(著者の名がMerer)が見つかっています。 https://en.wikipedia.org/wiki/Diary_of_Merer wikipediaはよくまとまっているようですが、日本語版はないですね。 採石場から石灰岩のブロックを船でピラミッド建設地のギザまで運んだ記録がよく残っている部分だそうです。 ピラミッドの外壁の石(2-3トン)を30個ずつ40人がこぐ船で10日間で2~3往復したとのこと。1か月に200個を運んだということです。 2-3トンの石を切り出して運ぶ(コロを使用?)のは重…

世界の研究所 Ancient Egypt Research Associates

先週、日経とNational Geographicのalertで紅海文書によりピラミッド建造の過程がわかったという話が流れてきました。 調べてみると、元ネタは2022年に出版された本のようです。これは金曜日の読書の種本にいいかもしれません。 https://www.amazon.com/dp/B09NMPMJZQ 著者の一人(Prof. Pierre Tallet)はソルボンヌ大学(University of Paris-Sorbonne (Paris IV))の教授で、紅海文書を発見し、ピラミッド建造の監督の一人の日記(Diary of Merer)を見つけました。 https://www.…

Hillbilly Elegy(4):掛け算と割り算

金曜日の読書 “Hillbilly Elegy”はアパラチア山脈の石炭や農業で暮らしていた人たちが町の工業地帯に降りてきて工場がダメになったら白人貧困層になってしまった、という話が著者の家族の物語と一緒に語られます。今日は第3章と第4章を見ていきます。第3章は祖父母、叔母と母親の話ですが、共通するのは家庭内暴力と夫婦のいがみ合いです。 読んでいる印象では、一番の理由は彼らの気性が激しいことで、これは子供の時に大人の家族の言動を学んでいるからでしょう。二番目の理由は法定年齢ギリギリの若さで結婚していることだと思いました。精神的に未熟な状態で給料も安い段階で、子育ての負荷が…

台風発電所からの送電をどうするか

昨日の台風のエネルギーの計算で、水爆1万発、を1発分で計算していました。お詫びして訂正します。ツァーリボンバ1万発は2×10^21 J、これを6.0×10^14Wで割ると、台風の持続時間が秒ででるはずで、3×10^6s =38日となります。もう少し小さい水爆だと台風の寿命くらいになるのではないでしょうか。風だけのエネルギー1.5×10^12で割ると、400倍になるので40年近く、これは長すぎるでしょう。 さて、横浜国大の台風研究所の想像図には、台風の上に無人飛行機や風力発電機を積んだ船で発電するようなものが書いてあります。 https://typhoonshot.ynu.ac.jp/about…

台風1個のエネルギーは水爆の10000個分

台風1個のエネルギーは水爆10000個分または40000個分、と言われています。 https://www.dw.com/en/hurricanes-release-energy-of-10000-nuclear-bombs/a-40627056 https://en.wikipedia.org/wiki/Accumulated_cyclone_energy これは、昔、水爆で台風、ハリケーンやサイクロン(地方によって呼び名が違う)を吹き飛ばせないか、という検討が行われて、「無理」ということをわからせるために作られた言い回しだと想像します。 水爆にもいろいろあると思うので、定量的なことが知りたい…

竜巻発電の研究者のインタビュー

自宅研究所で竜巻から発電しようとしている技術者のインタビューを見ましょう。奧さんも登場します。9年前のものです。 https://www.youtube.com/watch?v=9ybGcgqQzCM この人は企業の技術者で若い時から自宅で実験していたようです。先駆者についても紹介していて、1940年代にフランスでアイデアが発表されているそうです。 原理は火を使って上昇気流を作り、周りに渦巻状の流路を作ることにより渦を作ります。気象条件が竜巻に適していると竜巻を誘導できるというものです。 渦巻の気流を使ってタービンを回せば発電できますね。youtube の末尾に出ているGeorgia Tech…