マーチンの鉄仮説

マーチンの鉄仮説の話の流れはこうです。(J. H. Martin, Paleoceanography 5 (1990) 1-13)
・氷床試料中のCO2分析により、氷河期はCO2濃度が低いことが知られている。(氷河期は200ppm以下、産業革命前は280ppm、ちなみに2020年は420ppm)
https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html
・海は植物プランクトンがCO2を吸収するため、大気の60倍のCO2貯蔵能力があることが知られている。
・Martin博士らが、いろいろな海域・深さのFe,N,P,C濃度と植物プランクトン密度を精密に測定したところ、南氷洋では広い海域で植物プランクトンが少なく、Fe濃度(0.3nmol/kg)も低いことがわかった。Feは植物プランクトンに必要だが炭素の1万~10万分の1でよい。それを考えても、栄養としてのFeが不足することが植物プランクトンが少ない原因であろう。
・南氷洋でも氷河が溶けている海域では植物プランクトンは多く、鉄濃度も高い。
・鉄の供給源は陸地の鉄を含む粉塵である。陸から遠い海域でFeが少ないのはそれが理由であろう。
・南極の2kmまでの深さの氷を調べると、現在から16万年前までの大気と海の情報が得られる。CO2濃度とFe濃度は逆の相関がある(115000~11700年前が最も近い氷河期。そのあとが完新世 Holocene)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Last_Glacial_Period

・植物プランクトンの数を増やすために必要な鉄は少ない。結論「タンカー一杯の鉄塩があれば、氷河期を到来させられる」

長年の航海による地道な測定から大胆な結論を引き出したこの仮説は大反響を巻き起こし、1993年以降、鉄塩を海に撒く実験が何度も行われました。Martin博士は第1回目の実験の数か月前に亡くなったため、結果を知ることはできなかったそうです。

paleo- 古代の を意味する接頭辞。 paleobotanist 古代植物学者(映画 Jurassic Parkに登場します) paleontlogist 古生物学者(恐竜や三葉虫などを調べる人のことでしょう) ペイりーオン「ト」ろジスト level 8
neritic  ネリティック 浅瀬の地域
bottom sediments 海底の沈殿物
phytoplankton  ファイトプ「ら」ンクトン 植物プランk受トン
terrestrial arid regions 大陸性乾燥地帯 「ア」リッド 乾燥した、不毛の、無味乾燥な level 10
oligotrophic gyres 貧栄養性の環流 
oligo は少ない(オリガルヒ=寡頭政治)、trophic は「栄養の」
glacial-interglacial グれイシアる 氷河期-間氷期
antarctic 南極の antarctica 南極
flora 植生
diatom 「ダイ」ム 「2原子」ではなくて、「珪藻」です。
year BP (= before present) 過去○年前
Holocene 完新世 (現代を含む地質時代)

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