一人でいろいろやっていたオランダ黄金時代(17世紀)の人たち

オランダの国家としての意思決定に誤りが少ない理由を調べましたが、よくわかりません。ヨーロッパはずっと争いが続いていましたが、特に政治的に派手な指導者が出たわけではないようです(地味なのがいいのかもしれません)。 17世紀に経済的飛躍を遂げ、それに伴い芸術と科学で発展がみられたというのは確かです。 その背景にはカルヴィン派のプロテスタントが集まっていたことが要因として挙げられています。宗教的理由で経済的成功を重視し、そのために一生懸命働いたということのようです(昔、大学1年の教養の授業でMax Weberのその趣旨の本を習いました)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/…

ニューヨークとスリナムの交換

オランダの戦略の続きです。模範解答は次のような内容でした。「ニューヨーク」は第一次~第三次英蘭戦争でとったりとられたりしていましたが、1674年のウェストミンスター和約でイギリスに引き渡され、その代わりに英領スリナム(南米大陸の北部)とトバコ等カリブ海の島々がオランダ領になりました。そこでサトウキビのプランテーションが行われ、成功したので蘭領ジャワ(インドネシア)で「コーヒー」を作って三角貿易でさらに収益を上げました。「南アフリカ戦争」で鉱産資源に恵まれた南アフリカ植民地をイギリスに明け渡し、さらに「太平洋戦争」後に植民地をすべて失ったオランダは、国内市場が小さすぎるため、経済的生き残りをかけ…

したたかなオランダの戦略

今週はオランダの歴史です。現在は昨日のTUDelftも関係ある半導体ナノ露光装置のオランダASMLが市場13兆円/年の半導体装置産業を制覇しています(半導体全体は80兆円/年)。 https://newswitch.jp/p/32027 暇つぶしに大学入試の世界史の問題の解説本を読んでいたら、「オランダは中世末から存亡の危機を多く潜り抜け、生き残りをかけた決断を成功させてきた」という内容があったので興味を持ちました。この入試問題は単純化すると「「グロティウス、コーヒー、太平洋戦争、長崎、ニューヨーク、ハプスブルグ家、マーストリヒト条約、南アフリカ戦争」のキーワードを用いてオランダの戦略を600…

世界の研究所 オランダ デルフト工科大学の Kavli Institute of Nanoscience

今週の世界の研究所はオランダ デルフト工科大学 (TUDelft)のKavli Institute of Nanoscience を取り上げます。 https://kavli.tudelft.nl/ 米国のKavli(カヴリ)財団が出資して世界のあちこちに研究施設を作っています。日本には宇宙論の研究所が東大に作られています(いずれ取り上げましょう)。ここはナノ加工技術を使った電子工学・生物化学・量子物理にまたがる分野を研究しているようです。我々の研究分野にも近いので、いろいろ刺激を受け、「やられたー」と悔しい思いをすることもあります。Casimir Research School というオラン…

墨子(4) ピンホールカメラ

墨子は、先週のyoutubeで言いたいことはほぼ尽くされているので、あと数回こぼれ話的なところをやって、マキャベリ「君主論」に移ろうと思います。今回は、気になっていたピンホールカメラ(小孔成像)の発明とされているところです。 https://learning.sohu.com/20170810/n506260353.shtml 私には正しいかどうか判定できませんが、光について語っている一連の短い文章で、「端」という字が古語で「終極」→「小さい点」の意味、そこから離れると大きくなる、「到」→「倒」反転している、下のものは高くなり、高いものは下になる、庫に景がある、などの文があります。まさに判じ物…

初期のビデオカメラは電子線で走査して画素信号を得ていた

今日はビデオカメラの話をしましょう。古くはニプコー円盤+1点の光検出器ですが、円盤の回転は速度に上限があるため、電子的に二次元情報を取り出すためにいろいろな工夫がなされました。今は、画素を2次元の縦横の配線で指定して強度を読みだす仕組みがありますが、微細加工が必要です。微細加工技術がない時代は、電子線を走査して、特定の画素にあたった光を素子全体の電流として取り出しました。ブラウン管の蛍光スクリーンを光を感じる物質にしています。面白い発想だと思います。米国のPhilo T. Farnsworthの14才の時の考案と言うのが驚きです(実現は1927(21才)だが、14才の時のノートが特許に寄与。そ…

ストリークカメラ

ニプコー円盤による走査線の発明(1883)は、「二次元座標→時間」の変換でした。発想法として「逆」を考えるのは有効です。「時間→二次元座標」を変換する装置はあるでしょうか?一つは当然ブラウン管で、陰極線管に電極を2組入れ、電圧をかけてXY座標を走査します。昔のテレビの他、古いレーダーやオシロスコープでは使われていましたが、液晶ディスプレイ等により薄型化し、あまり見なくなりました。 今後長く使われるデバイスとしては「ストリークカメラ streak camera」がその流れにあるものでしょう。これは、ピコ秒程度の超高速分光で使われます(通常品の価格 2000万円~、最高時間分解能(MIT,2011…

テレビ装置の歴史 走査線の発明

テレビ装置の歴史は下記がよくまとまっています。 https://www.thoughtco.com/television-history-1992530 二次元の画像を時間で動く走査線上の点の強度を使って一次元化するというアイデア(1883年)は画期的で、無線の開発(Malconiによる接地の重要性の確立 1895年)、電気的表示装置(ブラウン管 1895年)の発明を伴ってテレビ開発の端緒となりました。走査線は現ポーランド、当時ドイツの生まれのPaul Nipkow(1860-1940)によるものです。しかもそれを円盤に描いたらせんに沿って開けた穴でメカで実現したのは素晴らしく、私は何度見ても…

世界の研究所 ドイツ Ferdinand Braun Institute とブラウン管

今週の世界の研究所は、ドイツのベルリンにある Ferdinand Braun Instituteです。これは、ブラウン管(昔のテレビにつかっていた陰極線管)を発明したBraunの名前がついています。ブラウンは無線通信を実用化したマルコーニとともに1909年のノーベル物理学賞を受賞しています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3 今週はテレ…

墨子(3) 良くまとまっているyoutubeの紹介

今週の墨子は、手抜きで申し訳ありませんが、うまくまとまっているyoutubeを紹介しましょう。私が調べて考えた解釈と一致していて、ちょっとふざけた語り口ですが、わかりやすいです。速度を上げて再生したほうが聞きやすいと思います。おそらく昔で言う「市井の学者」だと思いますが、専門家でなくても発信ができる良い時代になったと言えるでしょう。 https://www.youtube.com/watch?v=wXBs6esT4YA 英語はdefense の関連語から fortress 「フォー」トレス 要塞 trench トレンチ 深い溝、塹壕 warfare ウォーフェア 戦 trench warfar…