したたかなオランダの戦略

今週はオランダの歴史です。現在は昨日のTUDelftも関係ある半導体ナノ露光装置のオランダASMLが市場13兆円/年の半導体装置産業を制覇しています(半導体全体は80兆円/年)。
https://newswitch.jp/p/32027
暇つぶしに大学入試の世界史の問題の解説本を読んでいたら、「オランダは中世末から存亡の危機を多く潜り抜け、生き残りをかけた決断を成功させてきた」という内容があったので興味を持ちました。この入試問題は単純化すると「「グロティウス、コーヒー、太平洋戦争、長崎、ニューヨーク、ハプスブルグ家、マーストリヒト条約、南アフリカ戦争」のキーワードを用いてオランダの戦略を600字で記述せよ」です。いい問題ですね。
順番に行きましょう。新世界からの銀の流入で西欧で価格の上昇が起きたため(マネーの膨張)、その効果が波及していないバルト海沿岸の穀物を安く仕入れて西欧に高く売る商業国としてオランダが誕生しました。宗教対立もあり、スペインのハプスブルグ家から独立しましたが(1581に独立宣言、確定したのは八十年戦争終結のウェストファリア条約1648)、商売の相手だったポルトガルがスペインに併合され、アジアからの香料が売ってもらえなくなりました。そこで1602年に自ら東インド会社を立ち上げ、商圏獲得のためにポルトガルと戦争を続けながら、もともと漁業で培った造船技術で海の商人となったという経緯です。面白いのは、日本との貿易を独占するため、島原の乱(1637)の鎮圧に艦砲射撃で協力し、幕府に告げ口してスペイン・ポルトガルを排除して長崎貿易を独占したことです。機を見て的確に動くしたたかな戦略家たちと言っていいでしょう。建国以来大きな決断は失敗していないようで、複数の州がどうやって集団としての意思決定をしていったのか興味深いです。

下記は関係ないですがTUDelft & ASMLのちょっと面白い高周波変調のAFMです。
https://bits-chips.nl/artikel/tu-delft-and-asml-take-ultrasound-to-the-nanoscale/

英語は https://en.wikipedia.org/wiki/Eighty_Years%27_War から
a revolt of the seventeen provices 17州の反乱 リ「ヴォ」ウるト
province 州、provinces で地方、田舎
Under the leadership of the exiled William the Silent, the northern provinces continued their resistance. ウィレム沈黙公の指導の下、北部諸州は抵抗をつづけた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AC%E3%83%A01%E4%B8%96_(%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%8B%E3%82%A8%E5%85%AC)
They eventually were able to oust the Habsburg armies. 最後にはハプスブルグ家の軍隊を追放することに成功した。
oust 「ア」ウスト 追放する 
At the time, this was conceived as carrying the war with the Spanish Empire overseas due to Portugal and Spain’s being in a dynastic union, making the war one of the first global wars.
dynasty 王朝 「ダ」イナスティ  dynastic union で「王朝連合」という訳もあるようですが、「同君連合」も見ます。
http://www.y-history.net/appendix/wh1001-021_2.html
conceive 認識する

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