ニプコー円盤による走査線の発明(1883)は、「二次元座標→時間」の変換でした。発想法として「逆」を考えるのは有効です。「時間→二次元座標」を変換する装置はあるでしょうか?一つは当然ブラウン管で、陰極線管に電極を2組入れ、電圧をかけてXY座標を走査します。昔のテレビの他、古いレーダーやオシロスコープでは使われていましたが、液晶ディスプレイ等により薄型化し、あまり見なくなりました。
今後長く使われるデバイスとしては「ストリークカメラ streak camera」がその流れにあるものでしょう。これは、ピコ秒程度の超高速分光で使われます(通常品の価格 2000万円~、最高時間分解能(MIT,2011)は100fsだそうです)。用途は例えば、フェムト秒レーザーを試料に照射して出る蛍光の時間変化を測定します(例:太陽電池中の電荷のダイナミクスを追って、効率向上のための研究をする)。半導体の高速化は進んでいますが、電子回路ではまだピコ秒(ps, 10^-12秒=1THz)の動作はできません。どうするかというと、光を電子に変えてから「時間→位置」の変換をします。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9
まず、発生した蛍光を回折格子でスペクトルにします(回折格子に対する角度によって波長が変化)。これで直線に沿って光が変化する光の帯ができます。この光を光電効果を持つ面で真空中の電子に変え、電場で加速してからブラウン管のような電極で光の帯の直線(X軸とする)に直交した電場(Y軸方向とする)をかけます。電場を高速で変化させるとY軸方向の位置が変化するため、蛍光スクリーンに当てるとX軸方向が波長、Y軸方向が時間である二次元画像ができます。電子は速く、斜めに遠くまで飛行させると位置情報の拡大作用があるため、蛍光スクリーンの位置で極短時間の変化を見ることができるというわけです。web検索で”Who invented a streak camera?” と聞くと、浜松ホトニクスと答えが出ます。事実関係は文献等を探す時間がないので後日です。同社の創業者は浜松高等工業の高柳研究室の卒業生だそうです。素晴らしいですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%80%E5%86%85%E5%B9%B3%E5%85%AB%E9%83%8E
https://www.hamamatsu.com/jp/ja/product/photometry-systems/streak-camera/operating-principle.html
https://www.rp-photonics.com/streak_cameras.html から
蛍光スクリーン phosphor screen
streak スト「リ」ーク: (LDOCEから)名詞1 曲がった色付きの線。長い髪の毛の一部が色が違うような場合に使う。 She has blonde streaks in her brown hair. 2. 人の性格が一部他とかけ離れていること。His serious nature was lightened by a streak of mischief. 彼の生真面目な性格は茶目っ気があるので で軽減されている。 3. ゲームなどで失敗か成功が続いている様子。be on a winning / losing streak 動詞 1 見えないくらい速く動く。稲妻などがひらめく Two jets streaked across the sky. 裸で走り回るパフォーマンスをストリーキングと言うのはここから来ているようです。 2.色付きの線や縞模様が走る(常に受け身で使う)。 The sky was streaked yellow and purple.
mischief 「ミ」スチフ 悪意はないが迷惑をかけるいたずら、茶目っ気、損害、悪影響 (ニュアンスに幅があるので注意) level 6
temporal resolution = time resolution 時間分解能 「テ」ンポラる
oscilloscope 「オ」シロスコープ
oscillate 「オ」ッシれイト 振動する
repetitive operation レ「ペ」タティブ 繰り返し動作 < repeat
duration 持続時間、間隔