MEMSの最近の動向とbio-MEMS

超音波については来週に回すことにして、MEMSの最近の動向について。加速度センサー、気圧センサー、マイクなどはスマホやゲーム機、時計などに搭載されて日常に使われています。光学部品としては、MEMSで動く微小な鏡を使って超小型プロジェクターなどが実現されています。

人体、特に神経系と機械のインターフェースの研究が盛んになっています。下記が2017年のレビューです。
https://www.nature.com/articles/micronano201666
・視神経とのインターフェースで人工網膜(実用にはまだ画素数が不足)
・脳の一部を電気的に刺激することによるパーキンソン病の抑制(医療として実用化されています)
・感情・気分の制御
などは実現可能です。脳波やfMRIを使った非侵襲の手法も研究されていますが、空間分解能がmm程度(以上)と低いため、微小な電極を埋め込む方が有望だと考えられています。微小電極の集合体と半導体回路が一体となっているものは力学的に動かなくてもbio-MEMSと言います。映画Matrixの世界もあり得ないことではありません。

上記論文から
Over the last decade, conductive polymers, particularly poly(3,4-ethylenedioxythiophene) (PEDOT), have received much attention, outperforming thin-film metals in the first several weeks of use before biofouling and the foreign body response presumably reduce performance.
(bio)fouling (バイオ)ファウリング (生体反応により)ダメになること
foreign body 異物
Nevertheless, no electrode material has proven to monitor single neurons for years or even months without significant degradation in the signal-to-noise ratio; thus, more research on the electrode-tissue interface is certainly needed.
degradation 劣化 デグラ「デー」ション
ニューロン1個のレベルの大きさの電極(数μm以下)では、生体防御反応で動かなくなるということですね。絶縁物でおおわれてしまうのでしょう。治療用の脳の埋め込み電極はもっと大きく、mmサイズで位置決定をするようです。
https://dbs-chiryo.jp/about-dbs/contents-of-surgery/
これだと運動で擦れて絶縁膜が無くなるのでうまくいくのでしょうか。。
ニューロン1個を刺激する方法として、微小LEDを埋め込む方法が開発されています。
Optogenetics has begun to improve neuronal circuit analysis by introducing photosensitive proteins (opsins) into specific cell types such that these cells can respond to an optical stimulus with defined action potential patterns. 光に反応して電位を発生するタンパク質(オプシン)を遺伝子改変で発現させて、そこにMEMS針につけたLEDを導入して刺激するようです。コロナワクチンで細胞内の合成系を乗っ取る技術が非常に進んでいるのはわかりましたので、遺伝子を恒久的に導入することも安全になっているのでしょうね(以前触れましたが、難病の遺伝子治療は市場に出始めています)。人工網膜で点々でなくきれいな画像を見せるには分解能が必要なので、1つ1つの視覚ニューロンにアクセスしたいでしょうから、この方法が良いのはわかります。ちょっと抵抗はありますが…
stimulus 刺激 ス「ティ」ミュらス 複数形は stimuli ス「ティ」ミュらイ

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