企業会計 その9 キャッシュフロー計算書(1)

今週の企業会計は、B/S, P/L以外に重要なもう一つの財務指標であるC/F(スラッシュはどれもつけなくても可。キャッシュフロー計算書 Cash Flow Statement)を解説します。 現金(cash)は企業にとって血液のようなものであるとよく言われます。支払うべきお金が払えない状況(デフォルト)を6か月間に2回すると銀行取引が2年間できなくなるというルールのようです。個人でもクレジットカードの引き落とし残高が不足して催促期日または2回目の引き落としに不足があるとカード停止になるそうです。 https://www.tsr-net.co.jp/guide/knowledge/glossar…

世界の飛び地(4) セウタ、メリリャ、キプロス、アラスカ

飛び地は不自然なので紛争の原因(または結果)になり、解消される傾向にあるようです。 何百年も昔にできた場合は落ち着いています。 例:セウタ、メリリャ(メリジャ、モロッコにあるスペインの飛び地、セウタはジブラルタルの対岸) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A6%E3%82%BF https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%A3 しかし、第二次大戦後の「外交の墓場」にあったりすると問題を抱えたまま膠着します。 例:キプロス(cupperの語源、島を分断する…

世界の飛び地(3) ジブラルタル

今週は世界の飛び地の遠足ですが、有名どころとしては、英領ジブラルタル(Gibraltar)があります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%AB ここは、ヨーロッパとアフリカが接近しているところで、半島の背後はスペインです。the Rockという石灰岩の岩山でできていて、鍾乳洞もあります。 https://www.youtube.com/watch?v=WgHYADia45c 長ぼそい岩山の対岸はアフリカですね。 所属は ネアンデルタール人→・・・→フェニキア→ムスリ…

ノーベル経済学賞2021 自然実験

今年のノーベル経済学賞は、「自然実験 natural experiments」に与えられました。 https://www.nobelprize.org/prizes/economic-sciences/2021/press-release/ 経済学では実験ができませんが、実際に起こった、条件が異なる事象を比較することで、実験したのと同じように定量的な結果を導こうとする方法です。移民が社会に与える影響、最低賃金を変えるとどうなるか、教育が労働市場にもたらす効果などです。1990年代にそれまでの常識を覆す結果が得られたとのことです。疫学で使われた手法を経済学に応用したもののようですね。下記wiki…

世界の研究所 Moving Windmill Innovation Center (Malawi, 計画段階) (世界の飛び地(2))

今週の世界の研究所は、まだ準備段階の研究教育施設、アフリカ マラウイ共和国(Republic of Malawi)の Moving Windmill Innovation Center を取り上げます。 https://movingwindmills.org/ マラウイの少年が廃物から風力発電機を作った話(2001年ころ)が有名で、本や映画(2019)になりました。youtubeコメントによると英語の教科書にも載っていたようです。主人公の少年はメディアの支援で奨学金を得てアメリカの大学を卒業しました。 https://www.youtube.com/watch?v=uQKONj4L89c ht…

企業会計 その8 損益計算書(2)

今週の企業会計は、損益計算書(profit and loss statement; P/L)の続きです。 企業の収益力を見る重要な指標です。利益がマイナスになるとたいへんです。貯金を食いつぶしたら確実に倒産します。 各人に帰属する売上高と経費を細分化して、社内の組織や個人が勤務時間当たりいくら稼いでいるかに落とし込むのが「アメーバ経営」をはじめとする「管理会計」だと理解しています。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%90%E7%B5%8C%E5%96%B6 これを推し進めると、各人が意識するので利益は…

ノーベル化学賞2021 不斉有機分子触媒

今年のノーベル化学賞は、みんないつか受賞すると思っていたプロリン誘導体の不斉触媒でした。有機分子触媒(中心金属がない均一系触媒)の端緒となったもので、有機化学の授業でちょっと習っているのではないでしょうか? https://en.wikipedia.org/wiki/Proline_organocatalysis 20年くらい前から発展した分野ですが、受賞すると思われていた三人のうち一人が6年前に亡くなっていたとのこと。ケムステ ( https://www.chem-station.com ) 等で専門家により詳しく紹介されるでしょうから、私が下手な解説をしなくてもいいと思います。他の分野にな…

ノーベル物理学賞2021 ガラスの粘度の温度変化の説明にも使える理論

今年のノーベル物理学賞のうち、Parisi教授の業績は、わかりやすく言うと「液体と同じように乱れた構造のガラスがなぜ固まっているかを理解し、ある温度でどのくらい硬いかを理論的に計算する方法を開発した」ではないかと思います。ガラスの硬さ(この場合は粘度)と温度の関係には一般的な法則があることが実験でわかっていました。ガラス細工をやったことがある人はガラス軟化温度付近での硬さの変化は実感しているのではないでしょうか。ガラスの種類で温度は変わりますが、一般性がありそうに思いませんか? 下記はしばらく前の「世界の研究所」で紹介したトリエステの理論物理学研究所での講演です。 https://www.yo…

ノーベル医学生理学賞2021 センサータンパク質

今週は世界の飛び地を見て回ろうと思ったのですが、ノーベル賞の週でもあるので、飛び地は来週に回しますか(まだ迷っています)。 とりあえず、今日は医学生理学賞のタンパク質を見ることにしましょう。 欧州のデータベースはアクセス集中のためか、遅くなっています。日本のタンパク質データベースを見ましょう。 温度を感じるイオンチャンネルが下記で、いろいろな温度で構造解析がなされています。クライオ顕微鏡(ヘリウム温度まで試料を冷やして高分解能で観察)のデータが今年出ていますね。収差補正測定が可能になったということでしょうか?私が学生のときはまだ分解能が悪くて大まかな構造しかわからなかったのですが、原子位置がタ…

世界の研究所 カリーニングラード大学 Kant Academie (世界の飛び地(1))

今週は、秋の遠足ということで、少し科学技術を離れて世界の「飛び地」を見て回ろうと思います。世界の研究所は カリーニングラード大学(Imanuel Kant Baltic Federal University)のカント研究センターにします。哲学者カントが教授をしていたので、ゆかりのKant Academieがあるようなのですが、英語ページがありません。研究者として10人くらいの名前が書いてあります。google翻訳によると、下記 Kant Academieはロシアと西欧での哲学の比較、国境を越えた哲学的受容(?)の研究をしているようです。旧ソ連の時はカント哲学者はどうしていたのか、考えるとたいへ…