企業会計 その1 ROE

企業会計の勉強第1回は、ROE(return on equity, 自己資本利益率と訳す)の解説にしましょう。 読み方は、アール・オー・イー のようです(本だけで勉強すると読み方を間違えて時々恥ずかしいですが、いまはネットで調べられるので安心です)。 定義は ROE = 当期純利益÷自己資本×100(%) で、当期=一定期間(1年、3か月など)   純利益=税金を払った後の会社の手元に残る利益(すべての経費は税金を払う前に清算済み)   自己資本=株式を発行して集めたお金 です。当期純利益は貯金したり、設備投資したり、株主に配当を払うのに使います。上場企業に適用される数値です。 「お金が1年間…

稲がシリコンを集める仕組み

稲のもみ殻には乾燥重量の20%のSiO2が含まれているとのこと。”稲はシリカを何に使っているかというと、葉、茎を硬くして細くても力学的に強くすること、籾を外敵(虫など)に食べられにくくすること、また、水蒸気のバリヤ材として皮が薄くても過剰な蒸散を防げること、などと言われています。遺伝子改変でシリカが取り込まれないようにすると上記の機能が無くなり、稲にダメージがあることが実験で確かめられています。 稲がシリコン(無電荷のケイ酸 Si(OH)4)を集める仕組みは日本の農研機構によって解明されました。3つの膜タンパクがかかわっていて、受動的(ケイ酸だけを選択的に通す穴)、能動的(ATPの…

もみ殻に含まれるケイ素、Rochow-Mullerの直接法、3交代勤務

稲の籾殻(もみがら)には乾燥重量で20%のSiO2が含まれています。もみ殻を燃焼させてシリカだけを取り出す装置が販売されていますが、温度が高すぎると結晶化が進み、火山灰と同様に塵肺(珪肺)の原因になる粉が生じます。アモルファスにとどめておくと、生体内で分解が可能で毒性が低いとされてます。温度制御した燃焼装置を作っている会社が国内にいくつかあります。シリカの販路が少ない割に競争は激しそうです。 https://www.youtube.com/watch?v=25YOFurzhHU 約30年前、もみ殻が半導体シリコンの原料にならないかという話がありましたが、不純物として問題になるのは超微量の炭素な…

籾の彫刻

スバールバル種子保存庫には、日本人製作の稲籾(もみ)の彫刻が飾られているそうです。 http://www.portwave.gr.jp/tanabe/japanese/itou/200910.html 加工法はアーク放電+気体噴射を利用して金属を削る独特のものです。 http://www.portwave.gr.jp/tanabe/japanese/nomura/2008/index.html アーク溶接の修行中の私から見ると、これで彫刻するのはすごい技術が必要だと思います。 この原理を利用した工具も売っています。下記の製品は、鉄だけでなくコンクリートブロックも切れるようですが、とても彫刻はで…

世界の研究所 スバールバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)

今週の世界の研究所は、ノルウェー領スバールバル諸島のスピッツベルゲン島にあるスバールバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)です。 https://www.youtube.com/watch?v=7C3nO8MYQQw https://www.croptrust.org/our-work/svalbard-global-seed-vault/ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%AB%E4%B8%96%E7%95%8…

企業会計 その0 風説の流布

金曜日の「英語」は読書関連と勝手に決めています。会社で偉くなるには会計がわからないといけないとのこと、そうなりたい人は早いうちから意識をもって勉強してほしいです。技術者でも、自分の給料、自分が作り出している付加価値、日々の仕事がどうつながっているかを意識するのは面白いと思います。大学の研究室を企業会計で考えると、残念ながら常に倒産寸前の零細企業です(金額が読めない数年単位の補助金頼みで、制度的に貯金や借金がほとんどできないため)。日曜日や寝られないときに企業会計の本をいろいろ見ています。現存する企業(特に国内)を分析すると面白そうですが、いいかげんなことを言うと「風説の流布」という犯罪を構成す…

ギンゴケ、シモフリゴケ、砂の惑星

年のせいか、図鑑のように写真の多い本を見て心を休めることが多くなりました(いくつか先人のそのような記述を見たことがあります。若い時は「なんと暇な・・・」と思っていましたが、今はわかります。年齢とともに、ずっと根(こん)を詰めることが難しくなります)。最近見ている本は、大石善隆著(福井県立大の先生です)・コケはなぜに美しい(NHK出版)ですが、その中で、ギンゴケ(Bryum argenteum)やシモフリゴケ(Rhacomitirum lanuginosu)が面白いと思いました。下記は、個人のwebですが、顕微鏡写真がすばらしいです。 https://soyokaze2jp.blogspot.c…

銅を集めるホンモンジゴケ

ホンモンジゴケ(Scopelophila cataractae)という東京の池上本門寺で1934年に発見されたコケがあります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%B4%E3%82%B1 これは、寺や神社などの緑青のあるところに生える苔で、銅イオンをとりこんで細胞壁に貯める性質があります。銅以外の重金属イオンも集めて不活化するので、環境浄化の働きが期待され、研究がおこなわれています。これ以外にも重金属を貯める苔は数種類あるようです(copper moss 銅ゴケ と呼…

ゼニゴケのゲノム

ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)の全ゲノムは2017年に解明されました。著者40名(!)の論文です。 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2017-10-06-0 その他のコケの全ゲノムは未解明のようです。 ゼニコケが他の陸上植物(維管束植物)よりも少ないゲノムセットを持っていることから、藻類から進化した初期の状態をとどめていて、そこから他の陸上植物に進化したことが推測されています。陸上植物は倍数体の形成やそれを利用した育種(重複するコピーの一部が突然変異など)などにより複雑なゲノム(遺伝情報)を持つことが知られています。…

世界の研究所 MossTech (苔に関する virtual な研究所)

今週は「苔(こけ)、蘚苔類(せんたいるい)」について紹介します。moss research で検索したところ、デンマーク工科大学を中心に3大学+1研究所+4つの会社が作っているバーチャルな研究所 “MossTech”が見つかりました。 https://www.mosstech.eu/ まだできたばかりなのか、所員10人(7か国)、院生6人で、websiteと「苔を見る会」のイベントが主要な活動のようです。ターゲットは新しい遺伝子の探索や分子合成系の開発で、着眼点は面白いと思います。国際的な仲間でこういうvirtualな研究所がたくさんできると楽しいですね。 日本でも「苔…