ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)の全ゲノムは2017年に解明されました。著者40名(!)の論文です。
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2017-10-06-0
その他のコケの全ゲノムは未解明のようです。
ゼニコケが他の陸上植物(維管束植物)よりも少ないゲノムセットを持っていることから、藻類から進化した初期の状態をとどめていて、そこから他の陸上植物に進化したことが推測されています。陸上植物は倍数体の形成やそれを利用した育種(重複するコピーの一部が突然変異など)などにより複雑なゲノム(遺伝情報)を持つことが知られています。
中学校の理科で、シダやコケは有性生殖をしてから胞子を作ることを習いましたが、なんとなく気持ち悪く、シダが前葉体、コケが配偶体と名前が違ったりして嫌いになりました。しかし、種子植物の花がそれらに相当すると思えばそんなに変ではないですね。ゼニゴケは、その名の由来の「杯状体」があって、そこから無性生殖する芽がばらまかれるとのことです。
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/bryophyta/marchantiaceae/zenigoke/zenigoke.htm
イモ類のムカゴみたいなものですね。コケは有性生殖に水が必要なので、水が足りないときのために無性生殖する道を開発したのでしょう。芋(イモ)類は根や地下茎から無性生殖することができるし、多くの植物は挿し木もできます。免疫はどうなっているのでしょう。よく考えると植物は複雑ですね。
維管束 vascular bundle
藻類 algae
進化 evolution
種子植物 spermatophyte スパーマトファイト
倍数性 ploidy 二倍体 diploid 三倍体 triploid,…
減数分裂 meiosisl reduction division; maturation division
有性生殖 syngenesis, gametogony, sexual reproduciton
無性生殖 asexual reproduction; agamogenesis; monogenesis
挿し木 a cutting 挿し木をする make a cutting 挿し木で増える grow from a cutting
ムカゴ a propagule, a bulbil
根 root
地下茎 subterranean stem
胞子 spore スポア
シダ(類) fern(s) ファーン(ズ)
配偶体 gametophyte ガ「ミ」トファイト 藻類、コケ類、シダ類に共通な一般的な名前
前葉体 prothallus シダ植物の配偶体は、葉のような形のためこう呼ばれる(こんな細かいことを中学校のテストに出す意味が分かりません!) thallus は下記参照。
thallium タリウム(Tl)は炎色反応が緑色だったので、ギリシャ語のthallos(若芽、緑の枝)から命名された。
a young shoot 若芽
a bamboo shoot タケノコ
花粉 pollen
めしべ pistil
おしべ stamen