孫子 humint ヒューミント

今週の孫子は、13章用間篇(The use of spies)からです。人から情報をとることの重要性を説いています。現代で言う、情報機関におけるhumint (ヒューミント、human+intelligence)ですね。これまではhumintが重要とされてきましたが、ポストコロナの時代にどうなるかは興味深いです。 「故明君賢将、所以動而勝人、成功出於衆者、先知也。 先知者不可取於鬼神、不可象於事、不可駿於度。必取於人、知敵之情者也。」 Thus, what enables the wise sovereign and the good general to strike and conquer…

ゼオライト(3)

天然ゼオライトの処理工場の動画です。建材に使うだけあって、すごい量ですね。 https://www.youtube.com/watch?v=98IcrplgRB4 人工ゼオライトは有機界面活性剤のミセルで構造が決まりますが、天然ゼオライトの成因は不思議です。火山灰が湖に沈殿してから再加熱され、アルカリの作用の下、水熱反応が起こってできるといわれています。 https://www.mdpi.com/2076-3417/8/4/608 によると、粘土鉱物カオリンを600℃で焼いてからNaOH 5M水溶液とモル比8:1で混ぜて80℃24時間でzeolite A (4A, LTA)ができたとのこと。S…

ゼオライト(2)

ゼオライトの用途は、いわゆる分子ふるいとして特定の大きさ以下の分子を選択的に吸着させることが一つです。有機溶媒の手軽な乾燥法として、水分子が入る穴を持つゼオライト4Aを入れますね。ゼオライト4A は、3文字略号ではLTAです。 http://www.nakamura-gp.co.jp/business/nano_zeolite/4a3a5a.html (この会社は、工具の会社だと思っていましたが、新規事業でゼオライトを作っていますね。製法は昨日紹介した東大の瞬間加熱法に関連しているのではないかと思います) 二つ目は、洗剤のビルダーです。 https://ja.wikipedia.org/wik…

ゼオライト(1)

ときどき鉱物の話をしましょう。今週はゼオライト(日本語では沸石)です。 web上に構造データベースがあり便利です。3文字の略号で表すことになっています。ボタンを押すと構造や合成法が出ます。 https://asia.iza-structure.org/IZA-SC/ftc_table.php 作り方は、界面活性剤のミセルとSi, Alのアルコキシドを長時間寝かせてゾルゲルにして、焼き固めます。界面活性剤分子をうまく設計することで穴の大きさや形が変わります。長距離秩序を持つ結晶になるのは不思議ですが、数10μmサイズの単結晶は作られています(1)。市販品は数種類しかなく、自分で合成しなければなら…

世界の研究所 イナゴ対策(FAOとCIRAD)

今週の世界の研究所は、今年大発生したイナゴの研究をしているところを探しました。 若手研究者のベストセラー(「バッタを倒しにアフリカへ」)で日本では「モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センター」が有名になりましたが、その研究所のweb site は見つかりませんでした。ただ、1.によると今年はMauritaniaでの被害は少なかったそうです。 蝗害の防除には国連のFAO (United Nations Food and Agricultural Organization; 2は責任者のインタビュー)が活躍しているようで、下記が詳しいです。フランスの機関CIRADがかかわっているためか、フランス…

孫子 呉越同舟

今週の孫子は、第11章「九地篇」(The Nine Situations)から、「呉越同舟」です。 「29 故善用兵者、譬如率然。 率然者、常山之蛇也。撃其首則尾至、撃其尾則首至、 撃其中則首尾(にんべんに具、「ともに」)至。30 敢問、兵可使如率然乎。曰、可。 夫呉人与越人相悪也、当其同舟而済遇風、其相救也、 如左右手。31 是故方馬埋輪、未足恃也。32 斉勇若一、政之道也。33 剛柔皆得、地之理也。 34 故善用兵者、携手若使一人。 不得已也。」 常山にいる「卒然」という大蛇が一部を攻撃されると他の部分で逆襲するように、部下を一体として動かすにはどうするか。敵同士の呉と越の人が嵐の舟の中で…

赤外線吸収塗料

ドットパターン技術には、可視光に透明かつ赤外線を吸収するインキも重要です。そこで、赤外線吸収塗料について紹介します。 無機物 LaB6,Cs_xWO3,In_2-xSn_xO_3 等は、断暑(寒)用の窓ガラスに使えます。 http://www.ohkuchielectronics.co.jp/ink.html https://www.nanotechexpo.jp/2019/main/nano_insight_japan/190108_sumitomo_metal_mining.html 認識用のドットパターンの印刷は、カーボン粒子(安い)か、有機物のほうがいいでしょう。カーボン粒子は可視光で…

紙面位置認識の特許

紙面に場所によって異なる細かいパターンを印刷して位置を認識させる基本アイデアは、スウェーデンのAnoto AB(アノト社)の創業者Crister Fahraeus 氏の博士論文(1996)で、その年に会社が設立され、その子会社がAnotoだそうです。同氏は今は、Angel投資家になっているようです。このアイデアは画期的ですね。日本ではAnoto ABが2001年に特許出願しています。 Anoto ABは、スウェーデンのルント(Lund)市で1999年に設立されたそうです。 ルントは古い町で、12世紀にできた聖堂が有名です。また、MAX Lab放射光があります。 https://www.anot…

紙をなぞると声が出るペン

今週は、最近よく見るようになった、ペンでなぞると紙面上の位置を認識する技術を紹介しましょう。 http://gridmark.co.jp/en/technologies 赤外線のみを吸収するインクで細かいドットパターンを描き、可視光を吸収するインクで人間が見る情報(絵や文字)を描くなど、面白いですね。 応用は下記が一番威力があると思います。ペンでなぞると音声が出ます。ディズニーの幼児教育キットにも使われています。(お母さんが声を録音と紐づいたシールを貼る) https://www.kumonshop.jp/ 普通のペンと合体して手帳の予定表を書いたときに日付を認識して自動で取り込むという応用例…