百人一首(9) 山の字が入っている歌 2 3 4 5 7 8 16 22 24 25 26 28 32 42 58 60 66 69 73 74 83 94

今週の百人一首は、山という字が入っているものを紹介します。たくさんあるので、英語は勉強になりそうなのだけ載せます。
(英訳はPeter Mcmillan, 文春文庫)

2 春すぎて夏来にけらし白たへのころもほすてふあまの香具山 持統天皇
3 あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麻呂
4 田子の浦にうちいでて見れば白たへの富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人
Coming out on the Bay of Tago, / there before me. Mount Fuji – /
snow still falling on her peak, / a splendid cloak of white
※ 白妙の は a splendid cloak of white でぴったりですね。 
splendid 壮麗な level 4
cloak 外套、荷物を預けるクローク(=a cloakroom)
an invisible cloak 透明マント
https://www.youtube.com/watch?v=xFlD6IctA9Y

5 奥山にもみぢ踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき 猿丸太夫
7(既出) あまの原ふりさけ見ればかすがなるみ笠の山にいでし月かも 安倍仲麻呂
8 わが庵は都のたつみしかぞ住む世を宇治山と人は言ふなり 喜撰法師
※世をうぢ を Hill of sorrows, fled from sorrow と訳しています。
fled フれッド < flee フりー level 5 避ける、逃げる、隠遁する

16 立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かばいざ帰り来む 中納言(在原)行平
22 吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐と言ふらむ 文屋康秀
24 このたびはぬさも取りあへずたむけ山もみぢのにしき神のまにまに 菅家(菅原道真)
On this journey / I have no streamers to offer up. /
Instead, deagr gods, if it pleases you, / may you take this maple brocade /
of Mount Tamuke’s colors
※紅葉を楽しんでいる様子が伝わるユーモラスな名作だと思います。
may you … は祈りの表現で倒置になっています。 May Force be with you! (スターウォーズのあいさつ)
brocade 錦 ブロ「ケ」イド

25 名にし負はば逢坂山のさねかづら人に知られで来るよしもがな 三条右大臣(藤原定方)
26 小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ 貞信公(藤原忠平)
28 山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草もかれぬと思へば 源宗干朝臣
32 山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬもみぢなりけり 春道列樹
42 ちぎりきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは 清原元輔
58 ありま山ゐなの笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする 大弐三位

60 大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ずあまの橋立 小式部内侍
この人は和泉式部(56番)の娘で、この歌にまつわる話は中学校の古文の教科書にも出ていました。期待の詩人でしたが、夭折したそうです。
https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%A8%E3%81%A9%E3%82%81%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%A6

66 もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし 大僧正行尊
Mountain cherry, / let us console each other. / Of all thouse I know /
no one understands me / the way your blossoms do.
※console は「慰める」と「制御盤」の2つの意味があります。

69(既出) 嵐吹くみむろの山のもみぢ葉は竜田の川のにしきなりけり 能因法師
73 高砂のをのへの桜咲きにけりと山のかすみ立たずもあらなむ 権中納言(大江)匡房
※ 外山の霞 は May the mist in the foothills not rise to block the view と訳しています。
74 (既出)うかりける人を初瀬の山おろし激しかれとは祈らぬものを 源俊頼朝臣
83 世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる 皇太后宮大夫(藤原)俊成
There’s no escape in this sad world. / With a melancholy heart /
I enter deep in the mountains / but even here I here /
the plaintive belling of the stag.
plaintive プ「れ」インティヴ 悲し気な level 12 ; belling < bell (この訳はnative でないと出ませんね)
a stag 牡鹿(おすのシカ) level 12 雌鹿は a doe あわせて a deer

94 み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒くころも打つなり 参議(源)雅経
※ころも打つなり は pounding cloths となっています。beating としている英訳もありました。
そのころの服は硬い繊維でできていたのでしょうか?女性の夜の仕事で、服をたたいて軟らかく光沢を出すというのがあったそうです。
https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1398/

百人一首は半分も紹介していないですが、あと1回くらいで区切りにして、次は現代の面白そうな本を読んでいきます。今のところ、自戒を込めてコミュ障対策になりそうな “You are not listening: What You’re Missing and Why It Matters” by Kate Murphy (2020) を考えていますが、変わるかもしれません。

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