巨大リン鉱床がノルウェー南部で発見されました

先週のビッグニュースは、ノルウェーで世界最大級のリン鉱床が見つかったというものです。 https://www.bbc.co.uk/newsround/66099273 リチウム二次電池の正極用にリン酸塩の需要が2050年に現在の20倍に膨らむと予想される中でナウルなど既存のリン鉱床が枯渇しました。わかっている人は気を揉んでいたと思いますが、これで今後50年以上心配なくなったとのことです。特にEUには朗報である、というニュースです。 今週の世界の研究所は、リンで鉱床を発見したNorge Mining社をとりあげます。 https://norgemining.com/ リン、バナジウム、チタン、金…

10Beは地球磁場反転の指標となる

放射性同位体の応用として変わったところでは、10Be (半減期1.51(6)x 10^6 年)が地磁気の逆転現象の証拠の一つになるようです。Beは安定同位体が中性子数が奇数の9Beしかない変わった原子核で、10Beは宇宙線の影響でわずかに作られ続けています。 https://en.wikipedia.org/wiki/Isotopes_of_beryllium 地磁気の逆転現象が起こる時には地球の磁場が弱くなり宇宙線がたくさん降り注ぐため、その時に地上で作られた岩石中の10Beが増え、地層の解析や他の同位体法で年代決定をすれば、地磁気の逆転の年代がわかるという仕組みです。鉱物中の強磁性体の磁化…

深海生物ランキング

深海は、200mより深いところをさすようです。水深10mあたり1気圧の圧力がかかりますから、20気圧になります(10mx1cm2の水の質量が1kgゆえ)。その圧力を出すためのポンプや耐圧容器の材質(通常は数~数10㎝程度のアクリルのようです)について解説しようと思いましたが、調べていたら下記の米国カリフォルニアのMonterey Bay Aquarium の深海生物ランキングの方が面白かったので今日はそちらを紹介します。スタッフ研究者がかわるがわる解説しています。日系人と思われる人が2人いて興味深いです。 https://www.youtube.com/watch?v=80OG2BGrmyA …

稲妻とUrey-Millerの実験

雷といえば雷鳴と稲妻です。雷鳴は、放電に伴って発生する高温による空気の膨張速度が音速を超えて衝撃波が生じ、それが音に変わるときにゴロゴロいう音になります。稲妻は放電経路から出る光ですが、例えば北斎の「山下白雨」にみられるように折れ曲がりと分岐があります。 https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hokusai049/ 動画はたくさんありますが例えば下記がスローモーションもあって見やすいです。 https://www.youtube.com/watch?v=UNEZnK6V2QE それほど直線部があるわけではないことがわかります。 その仕組みについて…

雷の電気が発生するしくみ

雷の電気はなぜ発生するかについては下記が詳しいです。 https://ztresearch.blog/education/electrification-of-clouds/ 簡単に言うと、激しい上昇気流で水を含む空気が冷たい上空に行くと水滴ができます(これが雲)、さらに上空に行くと氷になります。氷は核発生が難しいため過冷却の水滴も多く、いったん氷ができると過飽和水滴を取り込んで急激に大きくなることがあります。そのため、場所により氷の粒の大きさにむらが生じます。大きい氷粒は重力で落ちるため、低いところに小さい氷粒があると激しく衝突します。その際、H3O+イオンが動きやすいため、静電エネルギーの…

高い電圧を作るしくみ

雷の電圧は1億ボルトに達することもあると言われています。この電圧がどうやって生じるか、については昨日のサイトにヒントがありましたが、クイズ形式にすると: Q. 雷の高い電圧が発生する機構は下記の装置のうちどれに最も似ているか? 選択肢 1.van de Graaff 2. Cockroft-Walton 3. 高周波加速空洞 答えは、1.ヴァンデグラフ発電機です。 静電気を連続的に発生させて一ヶ所に蓄積させるという、単純ですが偉大なアイデアです。素材を工夫すると2000万ボルトを出せるそうです。 https://www.youtube.com/watch?v=rNEY3Yv9kC8 https…

世界の研究所 米国 National Center for Atmospheric research

先週末は激しい雷がありました。これから寒くなるという予告だと思います。今週は雷について調べる予定で、世界の研究所は、米国のNational Center for Atmospheric Research (NCAR, 国立大気研究所)を紹介します。当然米国の気象庁NOAAも雷の予報はしています。日本では、ちょっと前にとりあげた電力中央研究所が雷の研究部門(避雷用途)を持っています。 NCARの場所はコロラド州のBoulderです。Univ. Colorado, NOAA(気象庁)& NIST(標準局)の設備も近くにあり、また、隣接のWyoming州には付属の計算機センターがあるようです…

シェールガスはなぜ流行らなくなったか:温室効果ガスであるメタンが漏れるため?

米国のシェールガス(シェールオイル)開発はバイデン政権になってからぐっと下火になったように見えます。理由は私の理解では、民主党政権は環境問題に敏感で、界面活性剤を含む高圧水を地中に入れるのに抵抗があるようです。昨日の60minという番組( youtubeで2010年の録画を公開)では、水道水のトラブルや地震について言及がありました。去年の大統領選挙の時のテレビ討論でやりあっていました。 https://www.youtube.com/watch?v=f8isArC7hCg シェールガスに力を入れている石油掘削業者Halliburton社の会長が共和党ブッシュ政権のの副大統領だった関連もあるかも…

シェールガスの採掘

今日はシェールガス採掘の実際です。仕組みの動画は下記です。 https://www.youtube.com/watch?v=CM8Lh7SAm6A 実際の設備や住民・関係者への取材が下記です(2010年の報道)。当時の副大統領が元会長だったHalliburton社についての言及など、面白いです。 https://www.youtube.com/watch?v=Vr6b-WzIcyo 4分くらいに頁岩の実物が見えます。 Halliburton社は世界のシェールガス採掘のほとんどすべてにかかわっている、とwikipedia には書かれています。 https://en.wikipedia.org/w…

シェールガスは石の微小空隙に入っている

今週はシェールガスについて調べています。シェール(頁岩 けつがん)に炭化水素系のガスや石油が入っているということですが、岩石は多孔質なのでしょうか?下記は数年前の論文ですが、3次元画像が出ています。採掘する深さや場所によりますが、12-15%の空隙率ということで、思ったより隙間が多いですね。 https://www.nature.com/articles/s41598-019-56885-y 調べても岩石の種類と空隙率の関係の表が見つからなくて不思議に思いましたが、下記によると岩石ができる条件でだいぶ変わるためのようです。特に気体が発生しながら冷える火成岩などは差が大きそうです。 http:/…