氷河の年代は深さに依存

氷河の氷は長い時間をかけて堆積しているので、過去の気象情報(酸素濃度など)を持っています。南極の氷は最大で4000mの厚さがあり、下記によると3000m以上の深さまで掘って試料採取しているようです。3000mの深さで72万年前というのが同位体分析などでわかっているそうなので(宇宙線により放射性同位体ができてそれが閉じ込められて崩壊して少なくなっているのでその比を測定すれば年代がわかる)、何億年という古さではないようですね。 https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20200918.html 当然持ち帰って大事に保管してあるはずです。保管場所は色々あると思いますが、…

フィヨルド地形

地球の陸地面積の総計は氷河の面積は15000万km2で、日本の面積38万km2の約400倍です。現在、陸地の10%の1500万km2が氷河におおわれているとのことです。99%が南極大陸とグリーンランドに分布しているとのこと。 https://www.suntory.co.jp/eco/teigen/water/jiten/world/03/ 過去最大の氷河の面積は4300万km2で現在の約3倍とされています。その時は氷河として氷の形態の水が多かったので海水が少なく、100m以上海面が低かったとのことです。 北欧などにフィヨルド地形があります。これは最大で水深1300mにもなる溝状の湾です。海水…

世界の研究所:Swiss Federal Institute for Forest, Snow and Landscape Research WSL

先週のニュースで気になったものとして、スイスアルプスでの氷河の崩壊がありました。動画も上がっていますが、9万立米の氷と土石が落ちてきたとのことです。 https://www.youtube.com/watch?v=yAeg7z8m2f8 その10日前の5月19日に村の300人の住人はほぼ避難していたそうですが、1人行方不明だそうです。 https://people.com/man-missing-after-swiss-village-swallowed-by-gigantic-landslide-glacier-collapse-11744186 土石流で堰止湖ができ、それが決壊すると予想さ…

母星K18-2からくる光子数の見積もり

124光年離れた惑星K18-2bにジメチルスルフィドが存在しているという結果のスペクトルは下記です。 https://www.nasa.gov/wp-content/uploads/2023/09/sep-11-23-stsci-01h9rf4t1ems9mpnxfmm99n18f-2k.jpg データ点が白の丸に縦棒です。これが青い曲線であろうと推測しています。直感的には「本当かな??」というところですが、おそらくベイズ統計を使ったフィッティングで出てくるのでしょう。S/Nを高める必要がありますが、光の量が非常に少ないので限界があります。どのくらいの光子数か、計算してみましょう。 母星K18…

124光年離れた惑星K2-18b

昨日紹介した惑星K2-18bについては、日本語のwikipediaに最新の情報が載っていて驚きました。 https://ja.wikipedia.org/wiki/K2-18b それによると、直径は地球の2.72倍(34582km)、質量は8.63倍です。ガス惑星である可能性と、岩石の大地がある可能性の両方があるようです。 地球から124光年の距離にあるそうです。母星の前を横切るときに遮られた光のスペクトルを測定することでこの惑星の大気の光吸収スペクトルを測定しました。 どのくらい狭い角度の光を測定しないといけないか考えてみましょう。 124光年=1243x10^8 m 365246060=1…

世界の研究所:University of Cambridge, Institute of Astronomy

なかなか明るい話題がないので、浮世離れした地球外生命体の話にしましょう。先週(4月17日)、ジメチルスルフィド(CH3-S-CH3)、ジメチルジスルフィド(CH3-S-S-CH3)が120光年離れた惑星(K2-18b)に大量に存在することが報告され話題になっています。 https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/adc1c8 https://www.scientificamerican.com/article/what-is-dimethyl-sulfide-the-chemical-found-on-exoplanet-k2-18…

欧州宇宙機構の太陽探査機 Solar Orbiter

欧州宇宙機構の太陽探査機は Solar Orbiterというのが現役で、2020年打ち上げ、2021年から観測開始しています。 https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Solar_Orbiter https://www.youtube.com/watch?v=8yGeSSUaS1o また、電磁波を音に変えて動画をつくったりしています。 https://www.youtube.com/watch?v=XYXAdXf5gWU 太陽の活動が11年周期であることは知られていますが、下記のグラフにきれいに示されています。遠くから見たら変…

日本の太陽探査機 ひので

日本の太陽探査機は、ようこう(1991)、ひので(2006~)とつづき、現在3号機(SOLAR-C)の予算がついたところのようです。 https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/past/yohkoh.html https://hinode.nao.ac.jp/intro/faq/ https://www.jaxa.jp/projects/sas/solar-c/index_j.html この分野ではX線~ガンマ線の観測が日本のお家芸のようです。太陽の表面温度は6500Kで、これは黄色に相当する光のエネルギーに対応しますが、ずっと高いエネルギーをも…

Parker Solar Probeの諸元と発泡炭素+酸化物の耐熱シールド

米国の太陽探査機Parker Solar Probe についてもう少し見ていきましょう。太陽大気をくぐる時、人類が作って制御した物体としては最高速度(秒速192km、光速の0.064%)を出したそうです。そのためには、金星や木星をかすめて重力を使って軌道を変える操作(Hohmann transfer)を何回も行う必要があったそうです。西洋占星術では「惑星直列」など気にしますが、軌道遷移に使うためには地球との位置関係は重要な要素になりますね。ただ、Parker Solar Probeは2018年に打ち上げられてから6年かけて太陽に最接近したので、惑星との位置関係の効果が出るのは数年後になり、占い…

世界の研究所:米国の Parker Solar Probe と各国の太陽探査機

2025年第1週は、新年の初日の出ということで、太陽探査機を見ていきましょう。最初は米国の探査機Parker Solar Probeです。この探査機は昨年末に太陽コロナに突入して壊れずに出てこられたという報道がありましたが、取得したデータについては解析に時間がかかるものと思われます。また後日紹介することになるでしょう。 https://www.yourweather.co.uk/news/science/nasa-probe-makes-history-as-it-touches-the-sun.html Parker博士は太陽風の理論を確立したシカゴ大学の教授で2022年に亡くなりましたが、…