世界の研究所 ベルギー IMEC

年初にあたり、2021年が皆様にとって良い年であるようにお祈りいたします。 さて、今週の世界の研究所は、ベルギーのimecです。電子工学(リソ、太陽電池、グラフェン、有機など次世代を狙う)・情報技術にかかわる先端技術をEUの中心の一つとして研究しています。所員は4000人、年間予算は535 million Euro(670億円)。数年前にASMLと共同でEUV技術の研究部門を作りました。名称がInteruniversity Microelectronics Centre であることからわかるように、大学とも共同しています。日本の産総研は年間予算1120億円、所員は3000人なので、対応している…

世界の研究所 オランダ TNO

今週の世界の研究所はオランダについて調べました。面白いことに、研究所連合(TNO)の支店が日本にあります。 https://japan.tno.nl/about-tno/ TNOはオランダの国立研究所や大学の研究をビジネスに結び付けて世界に売り込む、日本にはあまりないタイプの組織ですね。大学の教員も所属して、研究とともに方針を決めたりしています。日本でいうとNEDOに近いかもしれませんが、NEDOは大学の先生が長期のメンバーとして所属したり、技術を外国に売込んだりはしていないです。 https://www.tno.nl/en/about-tno/lead-scientists/ sell, p…

世界の研究所 IBM AlmadenとIBM robo-RXN

今週の世界の研究所は、アメリカのシリコンバレー(San Jose サンノゼ市)にあるIBM Almaden研究所です。(画像が大きく、ネット接続が重いので注意) https://www.research.ibm.com/labs/almaden/ ここはFortran(プログラミング言語)、SQL(relational detabase言語)等の発祥地で、人工知能Watsonがある場所です。また、STMを使って原子を並べて文字を書くデモンストレーションで一世を風靡しました。インターネットから使える量子計算機IBM-Qがあるのもここかもしれません。 実際に存在するのはAlmadenではないかもし…

世界の研究所 イナゴ対策(FAOとCIRAD)

今週の世界の研究所は、今年大発生したイナゴの研究をしているところを探しました。 若手研究者のベストセラー(「バッタを倒しにアフリカへ」)で日本では「モーリタニア国立サバクトビバッタ防除センター」が有名になりましたが、その研究所のweb site は見つかりませんでした。ただ、1.によると今年はMauritaniaでの被害は少なかったそうです。 蝗害の防除には国連のFAO (United Nations Food and Agricultural Organization; 2は責任者のインタビュー)が活躍しているようで、下記が詳しいです。フランスの機関CIRADがかかわっているためか、フランス…

世界の研究所 MAX IV Lab

今日はおそらく第150回です。余裕がない時は短くなってしまうかもしれませんが、できるだけ続けたいと思います。 今週の世界の研究所は、スウェーデンのMAX Labです。 https://www.maxiv.lu.se/ ここは、Lund市の郊外にあり、去年も学会で行きました。Lundはスウェーデンの南側のスコーネ地方にあります。このへんはニルスの不思議な旅の舞台です。 MAX Labは、内装に木材がふんだんに使われているのが特色です。去年行ったときは、日本のJ-PARCと同様の加速器による中性子発生施設(ESS; European Spallation Source)を併設するため工事をしていま…

世界の研究所 流浪地球&高能物理研究所

今週の世界の研究所は、中国から選ぼうと思いましたが、web上の情報が少なく、延期です。かわりに、去年ヒットしたSF映画を紹介しましょう。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E8%BB%A2%E3%81%AE%E5%9C%B0%E7%90%83 https://www.youtube.com/watch?v=0TDII5IkI3Y 原作は読みましたが、映画は相当ストーリーが変わっているようです。 太陽が赤色巨星になることがわかり、地球にたくさんの核融合エンジン(燃料は地殻の石のようです)を作って地球ごと太陽系を脱出してαケンタウリを目指すところまでは…

世界の研究所 Ioffe Institute

今週の世界の研究所は、ロシアのIoffe物理工学研究所(Ioffe Institute)です。Saint Ptersburg(サンクトペテルブルク、昔のレニングラード)にあります。ここには私が学生時代から共同研究している先生がいるので、何度も行ったことがあります。非常に古い建物が使われていますが、重点的にお金が配分されている研究室もあります。創立100年とのこと。サンクトペテルブルグは昔の首都なので、多くの宮殿や美術館があるきれいな街です。 http://www.ioffe.ru/index_en.html https://www.hermitagemuseum.org/wps/portal/…

世界の研究所 Geophysics Institute, Univ. of Alaska

世界の研究所シリーズ、大きなところがたくさん残っていますが、今週はマニアックに行きましょう。アラスカ大学の地球物理学研究所と、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の宇宙気象台(と訳しましたが、原語は space weather prediction center)です。オーロラ研究のメッカです。 アラスカ大学は以前、日本人の所長(Prof. Akasofu)がおられて有名になりました。今何をやっているか見たら電離層に強い電波を送って励起する実験をやっていますね。米軍から移管されたというアンテナ(世界最強のHF電波発信機とのこと;HFは3-30MHz,波長10-100m)が壮観です。 https://…

世界の研究所 CERN

今週の世界の研究所は、CERN(欧州原子核研究機構)です。 スイスのフランス国境近くMeyrinにあります。 素粒子実験の中心地と言っていいと思います。 また、インターネットの発祥地でもあります。 https://en.wikipedia.org/wiki/CERN 最近ではHiggs 粒子がありますが、 https://www.titech.ac.jp/research/stories/higgs_particle.html 私見では、反陽子や反水素の合成が一番印象深いです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Antihydrogen https://home.ce…

世界の研究所 Pasteur Institute

今週の「世界の研究所」は、フランスのパスツール研究所です。 L. Pasteur は若いころに酒石酸の光学異性体を発見し、それから細菌学に移ったことはどこかで習ったと思います。1885年に狂犬病ワクチンを発明したことにより世界から伝染病撲滅のための募金が集まり、研究所が設立されました。日本法人もありますね https://zaidan.pasteur.jp/institut/index.html https://www.pasteur.fr/en 予算は約3億ユーロ(360億円)、職員2782人なので、規模は物材機構と同じくらいでしょうか。この話は若い時に岩波文庫の「微生物の狩人」で読んで感動…