世界の研究所 統計数理研究所

今週の「世界の研究所」は、文部科学省傘下の「統計数理研究所」です。これは東京の立川にあります。 専任の研究員が約50人(教授、准教授、助教、特任助教)、客員が同じくらいで構成されています。 コロナ等感染の解析、最近のinformatics、機械学習の研究も盛んにおこなわれています。創立75年で、長らく地道な活動を続けてきましたが、最近のブームで脚光を浴びています。 1970年代に情報量基準Akaike Informatics Criterion (モデルに含まれる変数を何個にしたらよいかを決める関数)を提唱した故 赤池弘次教授が有名です。今週は今日から機械学習の集中講義をしますので、関連した話…

世界の研究所 J. Craig Venter Institute

今週の「世界の研究所」は、J. Craig Venter Institute です。所長の名前を付けた研究所です。 正規の大学ではないと思いますが、25人の所員はfacultyとして、Professor, Assistant Professorなどの肩書があります。その他を含めて構成員は200人だそうです。下記に歴史が書いてあります。 https://www.jcvi.org/about/overview#history 日本語のwikipediaが要領よくまとまっています。英語のほうが詳しいです。海中の微生物のゲノムを探索したことは初めて知りました。土の中のゲノム探索は日本の大村博士(イベル…

世界の研究所 NIST (National Institute of Standards and Technology)

今週の「世界の研究所」は、米国の度量衡(どりょうこう)標準局であるNIST (National Institute of Standards and Technology;昔のNBS (National Bureau of Standards))です。 https://www.nist.gov/ 私は日本で毎年発行されるハンドブックの一部を担当しており、ここしばらく、夜中にこの一年に出た文献の調査をしていました。NISTは各種データベースを文献付きで公開しています。 https://www.nist.gov/pml/productsservices 私の担当部分でもNISTを参考にはしますが、…

世界の研究所 セガ 開発本部

先週は任天堂の話を少し出しましたので、今週はセガから始めましょう。 研究所という名前ではないですが、「世界の研究所」の代わりです。セガは社員4000人弱で、ある種の研究者もいるはずですが内訳は不明です。最近開発子会社を本体に取り込みました(人員配置を流動化させるため?)。羽田にモーションキャプチャーの施設があります。 https://techblog.sega.jp/entry/2019/11/28/100000 開発本部のブログに面白い情報がいろいろ載っています。下記デバッグ法は役立ちました。開発者が1000人規模であるという記述あり。 https://techblog.sega.jp/en…

世界の研究所 PHIVOLCS (フィリピン)

今週の世界の研究所は、フィリピンの火山地震研究所(PHIVOLCS; Philippine Institute of Volcanology and Seismology)をとりあげます。 https://www.phivolcs.dost.gov.ph/ ここは、1991年のピナツボ火山の大噴火への対応で素晴らしい功績を残しました。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%8A%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%9C%E5%B1%B1 日本は、火山の担当がいろいろな省庁に分散しているのと、大学の研究者が減っているとのことで、ち…

世界の研究所 FAO 国連食料・農業機構

今週の世界の研究所は、国連食糧・農業機構(FAO; Food and Agriculture Organization of the United Nations)を取り上げます。行政だけでなく、傘下に研究機関を抱えています。世界人口が90億人を突破しており、食料の確保は重要です。本部はイタリアのローマにあります。職員は3400人です。「Fiat Panis 食料を!」という意味のラテン語がロゴになっています。 最近FAOは「昆虫食」を勧めています。下記動画はラオスの日常食の紹介で「閲覧注意」です。 https://www.youtube.com/watch?v=BogV5aVW5zE 下記の…

世界の研究所 Mineral Resources Institute (Tanzania)

ヘリウムガスの価格が去年の約2倍に上がっていることに気づきました。ヘリウム循環型冷凍機が普及していますが、低温実験はヘリウムの消費をゼロにはできないのでたいへんです。また、今後、水素社会のための大規模な水素液化機(沸点20Kを作らないといけない)をどうするのかも気になります。今週は鉱産資源について検討します。 世界の研究所は、タンザニア・ダルエスサラーム大学のMineral Resources Instituteを取り上げます。webで検索するとここが最初に出てきますが、研究というよりも鉱工業に携わる技術者の教育機関のようです。 https://www.mri.ac.tz/ 名前を隠した成績表…

世界の研究所 Deepmind Technologies

今週の世界の研究所は、会社組織ですが英国のDeepMind Technologiesを取り上げます。囲碁で人間よりも強くなった人工知能 Alpha Goで有名です。2010年に設立、CEOは研究者のDemis Hassabis氏(1976年生まれ)です。Hassabis氏は13才でチェスの世界ランキングを取得し、15才で大学入学資格を得た神童で、Cambridge Universityがgap year取得を命じたときにゲーム会社でインターンをして傑作ゲームを作り、1年でPorscheを買うくらい儲けたそうです。学部卒業後に会社勤めをしてから大学院に入学して2009年に博士号取得、大学の仲間と…

世界の研究所 Logistic Management Institute と 運輸総合研究所

この3月、スエズ運河でコンテナ船が座礁して騒ぎになりました。コンテナ船の巨大さに驚き、物流の現状について少し調べてみました。 今週の世界の研究所は、物流に関する研究もしている(?)アメリカのシンクタンク(think tank, consulting firm) LMI(Logistic Management Institute)と日本の財団法人 運輸総合研究所をとりあげます。 LMIはもともと、米国政府の物流(兵站へいたん)の管理のためにKennedy大統領とMcNamara国防長官により1961年に設立されました。 https://en.wikipedia.org/wiki/Logistic…

世界の研究所 Konad Lorentz Institutes

今週の世界の研究所は、AustriaのVienna(ウィーン) 近郊にあるKonrad Lorentz Institute for Evolution and Cognition Research (コンラート・ローレンツ進化と認知の研究所)とKonrad Lorentz Institute of Ethology(同・動物行動学研究所)を取り上げます。Konrad Lorenzは、動物生態学の創始によって1973年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。同時受賞者はミツバチが8の字ダンスをして蜜の方向を仲間に知らせる方法を解読したKarl von Frischと魚の本能行動を解明したNico …