マーチンの鉄仮説

マーチンの鉄仮説の話の流れはこうです。(J. H. Martin, Paleoceanography 5 (1990) 1-13) ・氷床試料中のCO2分析により、氷河期はCO2濃度が低いことが知られている。(氷河期は200ppm以下、産業革命前は280ppm、ちなみに2020年は420ppm) https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html ・海は植物プランクトンがCO2を吸収するため、大気の60倍のCO2貯蔵能力があることが知られている。 ・Martin博士らが、いろいろな海域・深さのFe,N,P,C濃度と植物プランクトン密…

PET分解酵素の仕組み

PETの加水分解酵素の仕組みはいろいろ調べられているようです(下記はpdf)。 https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/febs.14612 これを作る細菌Ideonella salaiensisは、堺市のリサイクル工場で京都工繊大の小田教授のグループによって2005年に発見されました(命名は2016)。素晴らしい成果ですね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%AB…

機械学習による酵素の改変

昨日のPET加水分解酵素の論文にはアミノ酸の入れ替えの効果を機械学習で調べるのに MutCompute という自作AIを使ったと書いてあります。 https://mutcompute.com/ 3D convolutional neural network で、neighboring chemical microenvironment of amino acids を調べるということですが、なんのことかわかりませんね。 下記論文がアイデアの発端のようです(open accessで無料で読めます。 pdf)。 https://bmcbioinformatics.biomedcentral.com…

PETボトル分解酵素

テキサス大学オースチン校(Univ. Texas Austin) のグループによる https://news.utexas.edu/2022/04/27/plastic-eating-enzyme-could-eliminate-billions-of-tons-of-landfill-waste の元論文を読みました。 https://www.nature.com/articles/s41586-022-04599-z 面白く勉強になりました。欲しい情報をすぐ入手できるのは大学にいる利点ですね。 今日はいくつか一般に有用な豆知識をピックアップします。 ・PET(ポリエチレンテレフタラート)は…

世界の研究所 Biodegradable Research Institute

連休は終わりましたね。私は近場を歩き回って気分転換ができました。 今週の世界の研究所は、米国の”Biodegradable Research Institute” です。 https://bpiworld.org/ ニューヨークの中心部にあり、従業員100名あまり、生分解性プラスチックの認証を与える仕事をしている機関のようです。組織形態がよくわかりませんが、国の機関とのかかわりは書いていません。会員企業になるには$8000=100万円の年会費が必要なようですから、民間(営利企業?)ではないかと思いますが、NIST等公的機関も検定サービスなどには高額のお金を取ります。目の…

呼吸できる液体

フッ化炭素(有機フッ素?)系の液体は酸素を溶かすので、哺乳類が中で生きていけるというデモがいくつかyoutubeにあがっています(1~2日以上はダメ、もしくは後で死ぬとの話もあります)。SFでは、宇宙旅行で加速度を高くするために酸素を溶かした液に人間が入って肺まで満たすという話もあります(巡航速度に達したら空気に戻さないと食事ができませんが)。密度が人体に近い液体中だと、加速度による疑似重力に対して浮力が働くので、影響がなくなります。空気が入っている肺が一番の問題になります。自分ではやりたくありませんね。息苦しい時の悪夢に出てきそうです。フッ化炭素系物質は密度がやや高い(フロリナートで1.8g…

Oxford Nanopore Technology社のDNAシーケンサと求人

月曜日にはDNAシーケンシングの話になるとは思わなかったのですが、直径数nm、厚さ数nmの穴をDNAが通過した時の電気抵抗変化の解析の現状が面白かったので紹介します。原理は、溶液中のイオンの透過が、穴を通っていくDNAの各塩基によって邪魔されるのですがその邪魔され方が違うこと利用するものです(電気抵抗が時間の関数として階段状に変化する)。DNAが通っていく速度はおそらく流体の圧力で制御しているのだと思います。信号は穴や流路、さらに膜が一つの塩基よりも厚いので、前後の塩基による影響もあるでしょう。これらによる「くせ」があるので、補正をどうするかが問題になります。昨日のyoutube解説では10-…

電解液+パルス電圧でナノメートルの穴を開ける

重慶緑色智能技術研究院の面白かった論文は下記ですが、電解液入りのキャピラリーを好きな位置に置いてから電圧をかけてSiN薄膜やグラフェン等に狙って小さい穴をあける目的の装置です。ちゃんと動いていてすばらしいです。 http://www.cigit.cas.cn/yjycg/kyjz/202201/t20220123_6347024.html https://aip.scitation.org/doi/10.1063/5.0024079 これは少し前に日立製作所が発表した方法の発展です。こちらは位置がどこになるかは決められません。 https://www.nature.com/articles/s…

樹木の種類と病気の遠隔観測とAI

UAV(unmanned aerial vehicle,無人航空機)を使って森林を見ると、地上を歩きまわって観察する方法に比べて圧倒的に省力化できることはわかると思います。少子高齢化により林業従事者が減っていますので、省力化は重要です。カメラ画像から木の種類を見分けること、木が健康かどうか(枯れているかどうか)を判別することは、伝染病を防除する上で重要です。病原体(カビや線虫)は昆虫などを媒介として周囲の木に移ります。 http://www2.kobe-u.ac.jp/~kurodak/health2007.html http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/matu/…

ドローンによる森林モニター

森林をドローンから見てその健康状態(日本語としては変ですが、英語はhealth)を調べるためには、カメラの他にLiDAR(ライダー)が使われます。LiDAR (light detection and ranging) は、レーザーをパルスで照射して、反射光の時間遅れを測ります。精度を上げるのは技術的にたいへんですが、それは明日にして、何が分かるかの動画が下記です。 GPSと組み合わせて森林の3次元像が見えます。 https://www.youtube.com/watch?v=EYbhNSUnIdU 葉っぱの隙間から見える地表を描画することでジャングルに埋もれた遺跡が分かります。 https:/…